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Stories of fate

倒錯の世界です。R指定作品(カテゴリ下半分)はお勧めするものではありません。警告は必ずご確認ください。共通テーマは‘闇’の昇華です。

業火 futari 43 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

「もう、良いよ」

 基は大きなため息を吐いて身体を起こし、そのまま葵に背を向けてベッドの端に座った。

 まるで初めて見るように、部屋の中をゆっくりと眺めて、基は僅かに息苦しさをおぼえた。思考を遮断し、それまで何度もそうしてきたように、静かにすべての思いを凍らせる。

 ドウスレバ、良イノ?
 ―ドウシテ良イノカ、分カラナイ。

「約束の一週間は終わった。葵、お前はもう自分の世界に帰れよ。もう、俺に構うな」
「…基? 何、言ってんの?」

 心配そうな目をして彼を見上げているだろうことが背中の気配だけで分かる。基は決して葵を見なかった。

「受験が終わったら俺はこの家を出る。そしたらお前たちには二度と会わない。俺のことは忘れて良いよ、葵」
「待っ…」

 ゆっくりと立ち上がった基は一人淡々と衣服を身につけ、振り返ったときの彼の眼に、葵はぞっとした。

「さよならだ、姉さん」

 それは、他人を見る目だった。それまで狂気とともに彼の内側にあった愛憎はすっかり消えうせ、彼の瞳の中に、もはや葵の存在はなかった。

「も―、基?」
「ごめん、自分で着てくれる?」

 差し出された服を茫然と受け取りながら、葵はまるですがるように弟を見上げた。彼の言葉は柔らかいのに、その声は冷たいというより、むしろ一切の感情が見えなかった。

「基!」
「飲み物でも取ってくるよ」

 部屋を出ていこうとする基の背中に葵は悲鳴のような声を掛ける。

「待って、基。置いていかないで」

 しかし、ドアに手を掛けた基は一瞬のためらいもなく、彼女を振り返ることもなく、扉の向こうに消えて行った。パタン、と彼の背後で扉が閉まる音が響き、その瞬間、葵は恐ろしいほどの絶望の淵に突き落とされた気がした。

 そして、知った。基が、それまで付き合ってきた女性たちを最後に容赦なく裏切るときの瞳の冷たさを。ある瞬間、彼がそう決めたなら、もう基の心は一切動かないのだろう。

「もと…い?」

 たった今までここにいた基の気配はまるで吸い込まれるように消えてしまい、基がもう本当に何もかもを終わりにしようとしていることを全身で感じた。ぞっとするような寒さに、葵は身震いをする。

 こんな風に身体の芯が冷えるような恐怖を味わったことが、彼女はなかった。こんな風に、まるで人格が切り替わるように空気が変わる人間を彼女は知らなかった。機械じゃないのに、スイッチが切れるように心が変わってしまうことなどあり得るのだろうか。

 やがて、コーヒーカップを手に戻ってきた基の顔はもうすっかり他人行儀で、憎しみもなければ愛情のカケラも見当たらなかった。

「なんだ、まだ服を着てないの? 風邪ひくよ」

 ここで何を言っても、もう基の心には届かないだろうことが葵には分かった。半ば茫然としたまま、のろのろとシャツに袖を通し、ストッキングを穿き、スカートを身につけた。その様子に基は一切関心を示さず、机に向かったままゆっくりとコーヒーカップを傾けている。

 葵はベッドをおりて基の背中をじっと見つめる。漂う空気の静けさに涙が出そうになった。

「どうして?」思わず、声が漏れた。「基…」
「母さんが淹れてくれたコーヒー、飲む?」

 ようやく振り返って差し出された見慣れたカップに、葵は唇を噛んだ。つい昨日まで、一緒に飲んだカップだった。その映像が鮮やかに蘇ってきて、葵は泣きそうだった。

「…要らない」
「そう」

 穏やかに基は笑い、「じゃ、俺がいただくよ」と彼女に背を向けた。

 さよならだ、と再び言われた気がした。葵は軽い眩暈を感じてその場にへたり込む。大丈夫? と差し出された手を振り払って、葵はよろよろと立ち上がり、やっとの思いで彼女の部屋へ戻った。

 扉の内側に背をあずけて顔をあげ、葵は奇妙に視界が歪むことを不思議に感じた。そして、頬を伝い落ちる熱いものの存在に気付いたとき、膝ががくがくと震えて身体を支えて立っていることが難しいことに愕然とする。ふらふらと床の上に座り込んで、葵は声を殺して泣いた。

 基、いったい何を言ってるの?
 もう二度と会わないって、どうして?
 さよなら、ってどういうこと?
 何を言ってるのか分かんないよ。

 身体に力が入らなかった。崩れるように床に倒れこみ、葵は軽い吐き気をおぼえる。目に映る部屋の壁がぐるぐると回っていた。


業火 futari 42 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

「なんで抵抗しないのさ」

 基に好きにされるがままの姉を組み伏せて見下ろし、彼は言った。半分正気を失ってはいたが、彼女の瞳には甘い悦びよりも、一段深い憂いのような色が見えた。

「どういうつもり?」

 その身体を意のままにしどれだけ酷い責め方をしても、手の中の獲物は、決して自分の手には堕ちない。そんな錯覚を得て基は苛立っていた。 

「俺を蔑んでいるのか?」

 そして、苛立ちと同時に彼女の瞳に映る憂いが彼を苛んだ。言われたことを理解した訳ではなく、彼の声色に反応して、葵はゆっくりと基と視線を合わせた。

「それとも、憐れんでいるのか?」

 葵もまた、基と心を通わせることが出来ないもどかしさに苦しんでいた。何かを言おうと口を開きかけたが、基が彼女の言葉を聞いてくれたことなどなかった。それを思うと、くじけてしまう。力でねじ伏せることではなく、もっと温かいものを、何か、もっと確かな―

「基、…どうすれば、良いの?」

 声になったかどうか分からない。しかし、それは彼に届いたような気が、した。



 つい先ほど、葵は基の部屋の中で彼があの夜「媚薬のようなもの」と表現したオイルのビンを見つけた。あのとき、バスルームで感じた身体の奥から湧き起こるあの甘い官能と基に対する恋にも似た感情は、きっとその薬効なんだと彼女は半分納得していた。しかし、そのビンの成分を何気なく読んで、背筋がすうっと冷えるような感覚を得たのだ。

 そこに表示されていた成分は純粋なハーブと美容成分のみ。媚薬に相当するようなものは一切含まれていなかった。
 それを手に取って愕然としている葵の背中に基は近づいて声を掛ける。

「なんだよ、それ気に入ったのか? また使ってみる?」
「ねぇ、これ、マッサージでもするの?」
「なんで、マッサージ?」

 きょとん、と基は彼女を見つめる。では、彼も知らなかったのだ。媚薬だと、そう、思い込んでいただけで。つまり、効能を知っていて自ら手に入れた物ではないということだろうか。

「匂いがきつくて俺はあんまり好きじゃないけど、葵がその方が燃えるっていうなら」

 くく、と基は彼女の背中を抱き寄せて笑う。その途端、不意に胸の奥にもやもやとしたイヤな感触を得る。

「…これ、どうしたの?」
「ああ、もらったんだよ、昔」

 誰に、とは聞かなくても分かる気がした。彼の取り巻きの女たち。彼に気に入られようといろいろな物をプレゼントした女たちがいたのだろう。

「女の人から?」
「なんだよ、妬いてるのか?」

 からかうような基の軽い声に、ぞくりと背筋に痺れが走り、胸がムカムカと苦しくなった。

「これ、捨てても良い?」

 思わず、葵はそう言っていた。その声色に、基は驚いた目をして姉の顔を覗き込む。

「どうしたんだよ?」
「別に。私も嫌いなの」
「…好きにすれば良いよ。俺は別に構わない」

 そのビンをゴミ箱に投げ入れて、葵は、初めて彼女の中に感じたどす黒い感情の渦を眺めてみる。由美の友達が基のことを紹介して欲しいとうるさかったと言っていた。それまでまったく気にしたことのなかったそういう女性の視線がそのとき、葵には許せないほど煩わしいと感じられる。

「葵?」それまで見せたことのなかった姉の複雑な表情に、基は僅かに動揺した。
「葵が嫌いなら、もうその手のオイルは使わないよ」

 それまでと違って、そんなことを言い出す弟を見上げて、葵はなんとも形容し難い感情に彼女自身戸惑っていた。

「基、私に興味ある?」
「…どういう意味?」

 じっと彼を見つめる姉の視線から逃れて、基はベッドへ腰を下ろした。

「私を知りたいと思う?」
「君の何を?」

 視線をそらそうとする基の前にしゃがみ込んで、葵は彼の腕を掴んだ。また振り払われるかと思ったのに、基はそうしなかった。

「ねぇ、基は誰かを好きになったこと、あるの?」
「ないよ」即答だった。「だいたい、好きって何さ」
「相手を知りたいって思うことと、相手の喜ぶ顔が見たいってことと…一緒にいたいっていう、そんなことだと思う」
「葵はあるの?」ふん、と基は嘲笑うように唇の端をあげる。「恋愛経験のない君に?」
「人を好きになったことはあるよ。それに、家族を好きだし、友達を好きだし、好きなものは沢山あるよ」
「俺にはないね」
「じゃあ、ちゃんと私を好きになって?」

 は? という表情で基は目の前の不可思議な言動を繰り返す相手を見つめた。

「何を言ってるのか分かってんの? 姉さん?」バカにするように基は大袈裟に驚いた表情を浮かべる。
「俺たちって双子じゃなかったっけ?」
「言ったでしょ? 私は家族をちゃんと好きだよ。由美のことだって、お父さんもお母さんも、それに―」
「うるさいよ」突然、基は顔色を変えて声を震わせた。「お前に何が分かる!」

 基はベッドから立ち上がった。

「分からないよ!」葵は叫んだ。
「分からないから聞いてるんじゃない。言ってよ、何でも話してって言ってるじゃない! 話してくれないと分からないんだよ。だって、ずっと離れて暮らしてきたんだもん。今までどんなものが好きだったのかも、何をしたら嬉しいのかも、全然教えてくれないじゃない!」

 一瞬、言葉に詰まって、基は怒りに身体を震わせた。振り上げようとする腕に必死にすがりついて、葵は言う。

「ねぇ、基。世界中がみんな基を間違ってるって言っても、私たち家族は基の味方なんだよ。私が基を守るから!」

 何かを叫ぼうとして口を開いた―ように見えた基は、そのまま大声で笑い出した。呆気にとられる葵の前で身をよじって笑い転げ、仕舞いには涙を浮かべて笑い続けた。

「…基」
「何、言ってんのさ、姉さん? 俺は犯罪者か?」
「そんなこと言ってないでしょ! もっと一般的に考えてよ!」

 二人の会話は階下にも聞こえていた。ひそひそ交わされた不穏な部分はもちろん知らずに、葵が必死に弟に寄り添おうとしている部分だけを聞いて、母は温かい笑みを浮かべて安心してしまった。恐らく基は、それを分かっていて、「姉さん」と呼び掛けたのだろう。

「じゃあ、聞くけどさ」ようやく呼吸を整えて、基は言った。「葵は俺が好きなの?」
「…うん」
「へえ。俺って可愛い弟なんだ」
「違うよ」
「じゃ、なんだよ? 可哀相なやつだと同情してんの?」

 葵は一瞬言葉を探して躊躇った。

「よく分かんないけど、弟だと思ってるし、同情もしてるし、でも尊敬もしてる。それに―」本当に分からないという表情を浮かべて葵は眉を寄せた。
「でも、一番はただ‘好き’って思う」
「なんだ、それ?」

 嘲笑を浮かべたままの表情で基は握られていた葵の腕を振り払い、次の瞬間には彼女の手首を掴んでベッドへ引き倒した。

「ひゃ…っ」
「これだけ酷い目に遭わされてよくそんなことが言えるね、葵」

 両手首を一緒に掴まれてうつ伏せに倒れこんだ葵の背中にゆっくりと圧し掛かりながら基は笑う。

「も―基っ」
「なんだよ、文句はないだろう? 俺のことが‘好き’なんだから」


業火 futari 41 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

「も―基?」

 扉を叩いても、中から返答はなかった。

「基、どうしたの?」

 階下の母に聞こえないような小さな声で、葵は呼びかける。一見、彼はごく普通に振舞っていたし、笑顔も見せていたから、恐らく母は基の様子の変化には気付かなかっただろうと思う。いや、母には母親の勘で何かを察していただろうか。

 扉の向こうの姉の気配を、基は感じていた。心配そうな声色も。もっと言えば、食事をしている最中にすら、葵が彼に気遣わしそうな視線を送ることにも気付いていた。

 どんなに具合が悪くても、或いは悲しいことが起こった日も、基の両親は彼の様子を気に掛けることもなければ、話を積極的に聞いてくれることもなかった。だから、彼は体調の管理は薬の服用も含めて自分で行っていたし、辛いことも楽しかったことも、誰かと分かち合うということを知らなかった。

 母と姉の家庭を壊してやろうと周到に計画してきたことだった筈なのに、苦労も悲しみも知らない幸せの中で生きてきた姉をズタズタに切り裂いて、笑ってやろうと思っていた筈なのに、基は、今、どうして良いのか分からなくなっていた。どれだけ貶めても、虐げても、葵が彼を見る瞳の温かさは変わらなかった。

 基、と。初めから変わらぬ柔らかい声で彼の名を呼び、微笑み、憎まれ口をたたき、寄り添おうとしてくれる。それを言葉では分からなくても、包まれているような、守られているような奇妙な感触を消せずにいた。

 そして、あれほど憎んだ彼を生んだ母親は。明らかにどこか疑っているのに、決して問いただしも責めもせずに基の存在を無条件で受け入れ、分け隔てせずに‘きょうだい’として、我が子として笑いかけてくれている。相応の対価を要求することもなく。

 やがて、諦めて葵が彼女の部屋の扉の向こうへ消えていったことが分かった。その途端、基の心にすう、と冷たい風が吹いた。

「やっぱりね」と彼は呟くように、嘲るように声にした。「結局は、その程度か」

 心配されても、どう振舞って良いのか分からない。むしろ、もっと相手を傷つけたい衝動に駆られる。愛情の示し方も確かめ方も彼は知らない。―だから、傷つけることでしか、愛情を図る術を知らない。

「見せ掛けの同情で近づいたらどうなるか思い知らせてやるよ」

 歪んだ欲望をその瞳に浮かべ、基は扉をそっと開き一歩を踏み出そうとして、思わずぎょっとしてその場に立ち竦んだ。

「あ、なんだ。基、大丈夫?」

 彼の部屋の扉の前に、葵が枕を抱えて座り込んでいたのだ。部屋から出て来た弟を見上げて、葵はほっとしたように笑みを見せた。

「な―」基は声が上擦りそうになり、一旦、ごくりと唾を飲み込んだ。
「何、やってんだよ、ここで」
「だって、基が出て来ないから」
「だからって、なんで…」

 声が震えた気がして、基は口を閉じた。

「ねぇ、基」葵は立ち上がって扉に掛けていた弟の手を取った。
「もっとちゃんと話して。話したいことがあったら、言いたいことがあったら、ちゃんと話して。お母さんも私も基の話を聞きたい」
「話すことなんかないよ」

 それでも、いつもの凍りつきそうな冷たい声ではなかった。どこか弱々しく、手負いの獣が痛みに呻くような力ない声色だった。

 拒絶の空気がなかったことで、葵は見上げた弟の目を覗き込む。そして、冷静さを装った表情の下の、まるで触れれば悲鳴をあげそうな傷が見える気がして、彼女は必死に言葉を選んでそっと言った。

「基。私は、基が好きなものを知りたい。好きな映画について語り合いたいし、どんなゲームが好きなのか、どんな音楽が聴きたいのか。そういうことを話したいし、聞きたい。それから、イヤなことはイヤだって教えて?」
「ふん」と基はどこか泣きそうな、それでいて嘲るような笑顔を見せた。
「俺のことを知って、どうするつもりさ?」
「どうもしないよ」葵は言った。「知りたいだけ」
「それなら―」基はまるで抑揚のない口調で葵を見下ろし、腕を振り払った。
「俺が望むように、葵、俺のものになれよ」
「基」葵は振り払われた手で、再度彼の腕を掴んだ。「そうやって逃げないでよ」
「誰が逃げてるのさ」

 基の声は恐ろしく低く静かだった。自分の手首を掴んでいる葵の小さな手をじっと見つめて彼は不意に冷笑を浮かべた。

「逃げようとしているのはそっちだろ? 話をはぐらかして、優位な立場に持っていこうとしているようだけどね」

 掴んだ手から冷気が伝わってくるような気がするほど、基は、その瞳にぞっとするような冷たい光を湛える。

「思い出したよ、俺がここで何をしたかったのかを」


業火 kazoku 40 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

 その後、夕食だと母が呼ぶまで、基は部屋から顔を出さなかった。あまりに静かな弟の部屋の前で、時々葵は耳をすましてみた。物音のしない静かな扉の向こう。

 そういえば、基は普段どんなことをして過ごしているのか、葵はまったく知らなかったことに気付く。どんな音楽を聴きどんな本を読み、世の中のどんなことに関心を示すのか。知りたいと思った。普段の、誰も知らない素顔の彼の姿を。

 夕食の席で、一通り家族が年末年始をどんな風に過ごしたかを聞かされ、家に残った二人はどうしていたのか、と聞かれて、葵は一瞬、言葉に詰まった。基がそつのない答えを用意してくれているかと彼の様子を窺ったが、彼は涼しい顔をして、食事を続けるのみだ。

「勉強は進んだの?」

 母は、ちょっと心配そうに二人の顔を交互に覗き込む。

「俺は俺なりにやってましたけど、姉さんが部屋で何をしていたのかは知りませんよ。たまにコーヒーを淹れてくれたりはしてましたけど」
「う、―私だって少しはやってたよ」

 基につられて、葵も思わずそう叫ぶ。何もかも完璧な基なのに、彼は箸の使い方だけがどうも苦手のようで、スプーンで済ませられるシチューは楽に食べているようだ。

「気分転換に大掃除をした程度で、あとはテレビを観たり…」
「紅白は観たの?」母は微笑んだ。
「紅白?」基は不思議そうな顔をした。彼の家では、家族揃って年末にテレビを観る習慣などないのだろう。
「うん、観たよ」葵はそのとき何をしていたのかを思い出して思わず顔を伏せる。
「でも、眠くって…あんまり覚えてない」
「じゃあ、初詣も行ってないのね」娘の様子には気付かずに、母はシチューを口に運ぶ。
「お守りを買ってもらいましたから、もう必要ないですよ」

 基は、ごちそうさま、と箸を置いた。そのまま席を立って、すうっと二階へ上がっていく後ろ姿を見送って、二人は僅かに沈黙した。

「葵は…」
「あ、私も良いよ。ごちそうさま、片付けるね」

 どこか慌てたように、そそくさと席を立ち、食器の片付けを始めた娘を見て、母は僅かに眉を寄せた。葵は、弟をどう思っているのかと彼女は聞きたかった。まさかとは思うが―。

「どうしたの、葵?」
「え、何が?」
「何を急いでるの?」
「べ…別に」

 なんだか、基の様子がおかしい気がして、葵は気になっていた。声に力がない、というのだろうか。一段、距離を置かれていることを気配で感じていた。立ち上がってから、母が何か云いたそうな顔をしているのに気付き、こちらから質問を投げてみる。

「そういえばお母さんこそ、どうして一人で帰ってきたの?」
「え? ああ、うん。ちょっと疲れて先に戻ってきたのよ。それに、あんた達がちゃんと食事してるのか気になってたし」
「食事はちゃんとしてたよ。基も時々作ってくれたし」
「え? 基、料理出来るの?」
「…あ、う―うん。手伝ってくれたよ」
「そう」

 母は別の意味で少し安心した。基も家では義母の料理を手伝ったりしていたのではないかと思えたのだ。

「分かった」母は息を吐いた。信じるしかないのいだ。我が子たちなのだから。「片付けはやっておくから、あんたも部屋に戻って少しは勉強しておきなさい」
「うん」

 葵はわずかにちくりとした胸の痛みを抱えたまま、母親に微笑んでみせた。



業火 kazoku 39 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

「お母さん」部屋で着替えている母の背後から、葵は声を掛ける。
「あら、どうしたの?」
「…基は」
「え」母は振り返った。
「ねぇ、お母さん、基はお父さんの家でどんな風に暮らしてたの?」

 どこかぎくりとして母は一瞬言葉を失った。それは、彼女もずっと考えていたことだった。常に演じているような基の不自然な態度。言葉遣いがどんなに丁寧でも相手を見下した光を湛える聡明な瞳。笑顔を見せてもその目は決して笑ったことがない。双子として生まれた葵とはあまりにかけ離れた息子の様子。

「お母さんもよく知らないのよ。ずっと連絡を取ってなかったから」
「でも、お母さん、私の写真を送ってたんでしょう?」
「え」母は驚いて目を見開いた。「どうして知ってるの?」
「だって、基が言ってたよ。だから、私のことは知ってたって」
「そ―、そうなの」

 何故か分からない。瞬間、激しい後悔の念が彼女を襲った。

 ソレガ、全テノ間違イノ元ダッタノデハナイカ―?

「私も、基のそういう写真、見たかったな。お父さんは一枚も送ってくれなかったの?」
「あ―、そう、そうね。私が送る度に、基の写真を送って欲しいって、手紙は入れていたんだけどね」

 どこかウロたえたような母の様子を怪訝に思いながらも、葵は、そう、と答えた。

 時々ぽつりと漏らす彼の言葉から、葵も薄々ながら感じていた。自分たち家族とはまったく違った家庭環境で育ったらしい彼の境遇を。

 今の生活が当たり前の彼女には、想像することも出来ない。冷たい家庭。

「お母さん、どうして基も一緒に引き取らなかったの?」

 今度こそ本当に母は言葉を失った。

 答えを期待していた訳ではなかったのかも知れない。葵は、独り言のようにそう呟いて、そのまま部屋へ戻っていった。

 ドウシテ僕ヲ一緒ニ引キ取ッテクレナカッタノ?
 基に、そう責められた気が、した。



 葵が作ったシチューが鍋にいっぱいあって、買い置きしていった食材もほぼ綺麗に使われていたのを見て、母は安堵する。二人はしっかり食事は取っていたらしい。ずっと離れ離れだった姉弟である。他の家族に対しては気遣いを見せる基だったが、双子の姉には心を許しているのかも知れない。

 そうやって、ここで暮らす時間が少しでも彼の心の傷を癒してくれることを母は祈った。基の父親は、もともと家庭的な夫ではなかった。子どもに興味がなかったのに、何故、頑なに基を引き取ると言ったのか、彼女には未だに理解出来ない。あのとき、裁判を起こしてでも二人とも手元に置くべきだったのではないか。

 母は、基のことを忘れたことは、一日もなかった。葵の成長を見つめながら、双子の弟ももう一年生なのだ、もう中学生になった筈だ、と常に想像の中でしか会えない息子の面影を求めて暮らしてきた。何度も写真の一枚でも送って欲しいと手紙を書いた。しかし、別れた夫から返信があったことは一度たりとなかったのだ。

 17年振りに再会した息子。葵と並んで眠っていた赤ん坊の幼い顔立ちしか記憶になかった母は、その変貌振りに驚きを隠せなかった。葵の方は、当時の面影が残っているくらいそのまま成長したのに対し、基の瞳の暗さに彼女は凍りついた。

 これは、本当に葵の双子の弟だろうか。父親似の彼はすっきりとした目鼻立ちをしていて、葵とはあまり似ていなかった。しかし、基が僅かに瞳を閉じた瞬間、当時の面影が蘇る。違和感を抱くのは、その瞳の冷たさなのだと彼女は気付いた。

 しかし、いったいどんな暮らしをしていたのかと彼女は聞けなかった。彼女に今出来るのは精一杯の愛情で彼に接することだと、母は信じたのである。


業火 motoi 38 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

「三者面談? 何、それ?」

 義母の疲れたような声が遠くに聞こえる。

「進路なんて、好きに決めて良いのよ。あたし達は干渉はしないわよ」

 小学校、中学校と両親は学校へ顔を出したことは遂に一度もなかった。息子の成績にも学校の評価にも関心がなく、彼が普段何を考え、どんな思いをしているのかすら、まるで知ろうとしなかった。

 親の関心を引きたいがため、問題児になる子どもが多いのに、基はそうはしなかった。周囲の大人たちが、こぞって彼を褒めるので、褒められる良い子でいることが、大人の気に入る子どもなのだと思い、親に愛されたいがために、必死に優等生を演じ続けてきたのだ。

 そして、彼らの愛情を得ることをすっかり諦めた頃、優等生の仮面はすでに彼の衣服というよりは、身体の一部となって彼の本当の心を覆い隠してしまっていた。

 自らの傷にすら気付くことが出来ない。
 その奥で闇はどんどん暗さを増し、傷は膿み、腐敗し、すべての感情を曖昧にさせてしまった。

 校内では成績優秀、部活でも活躍する模範生。しかし、一歩外へ出ると、彼は手当たり次第に女の子を誘い、身体を求め、相手が本気になって付き纏うようになると、手ひどい裏切り方をして捨てていくということを繰り返していた。

 それは、彼を捨てた母、彼をまったく省みない義母への復讐に他ならない。
 彼は‘家族’という存在の意味を知らなかった。


業火 kazoku 37 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

「これは、いったいどういう意味さ?」

 階段を上りながら基の声はこれ以上ないくらい不穏だった。後ろをついてきた葵は、聞かれた意味が分からなくてぽかんと立ち止まる。

「…何が?」
「この‘お守り’とペンだよ」
「ああ」葵は何のことはない、という風に笑った。
「お母さんは毎年私たちにお守りを買ってくれるのよ。それから、このペンは、きっと一応受験生だからってことかな」
「受験生だから?」
「う~ん、だから、…筆記用具?」

 基は、不意に立ち止まって振り返った。

「そうじゃないよ。なんだって、色違いの同じ物を俺たちに買ってきたのか、ってことだよ」
「…双子だからじゃない?」

 きょとん、と葵は答える。

「ふん」と基は、冷酷な視線を階下へ向ける。「俺たちのことは分かってるっていう警告かと思うけどな」

 ぽかん、と葵は弟を見上げる。

「何言ってんの?」

 基は、そのまま階段を上りきり、部屋への扉に手を掛ける。

「待って、基。本当に、何考えてんの? お土産が気に入らないの?」
「そういうことを言ってるんじゃないよ」
「じゃあ、そんな言い方はやめてよ」

 何故だか、葵は泣きそうな気持ちになった。扉を開けた基の背中に追いすがり、階下の母に聞こえないように声をひそめる。

「お母さんは、ただ、私たち…違う、きっと基に喜んでもらいたくて、一生懸命お土産を探して選んできたんだから」

 一歩部屋に足を踏み入れ、振り向いて姉を見下ろした基の表情はとても冷たいものだった。

「だから、お前たちはおめでたいんだよ」
「どういう意味?」

 基は、もう何も答えずに彼女の目の前で扉を閉めてしまった。


業火 kazoku 36 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

「ただいまぁ」と母親が一足先に戻ったのは、翌日のお昼前だった。未明まで掃除に励んだ二人は、まだ眠ったばかりで、辛うじて基がその声にはっと目覚めた。

「お帰りなさい、母さん」

 キッチンで何か荷物を解いている彼女の気配に、しっかり着替えを終えた基が顔を出す。

「あ、ただいま、基」

 微笑んだ母の表情が微かに動揺したのを基は見逃さなかった。

「葵は?」何気なさを装っていたが、明かに彼女の瞳には疑いの色が見えた。
「まだ寝てるみたいだよ」
「また夜更かししてテレビでも観てたのね?」

 母は、ため息を吐いてみせ「これ、二人にお土産よ」と小さな包みを二つ見せ「これは、基に」と一つを手渡した。

「ありがとう」彼はちょっとそれを見つめて、ゆっくり顔を上げて母の手からそれを静かに受け取った。
「お土産なんて、もらったの初めてだ」
「え」と母は、きょとんと息子を見る。
「あ、…ああ、一緒に旅行に出ていれば、もらうことはないよね」

 基は、何も言わずにゆっくりと笑みを浮かべる。

「父さん達は?」
「あ、そうそう。私だけちょっと体調崩して先に帰ってきちゃったの。父さんと由美は予定通り明日の夕方に帰ってくるわよ」
「そうなんだ。…え、じゃ、どうやってここまで来たの?」
「電車とバス。年末はあれだけ混んでるのに、すごいのよ。全然人がいないんだもの!」

 母は屈託なく笑い、基も、そう、と笑ってみせた。
 やがて、階下の騒ぎに気付いたようで、葵が降りてきた。

「あれ? お母さん、どうしたの?」
「あ、葵。ただいま。あなたこそ、まだ寝てたの?」

 基は、二人の会話を聞きながら受け取った包みを抱えたままお湯を湧かし始めた。

「だって、夕べは基と家中を大掃除したんだもの」
「ええ? どうしてまた!」
「うん、なんとなく」

 予め基と打ち合わせていた通り、なるべくさり気なく、葵は言った。

「せっかく男手があったから、普段出来ない所とかやってもらったの。綺麗になったでしょ?」

 母は娘の顔を見て安心し、ようやくそれに気付いた。

「あら、ほんと。すごい、床なんてピカピカじゃない」
「でしょう?」
「まぁ、基まで一緒に掃除してくれたのね?」
「運動の一環のようなものでしたから」

 二人の前のテーブルに紅茶のカップを差し出して、どうぞ、と基は促す。

「あら、ありがとう」母は席に就いて、カップを手に取った。

 二人の様子がごく普通の姉弟のようで、彼女は取り越し苦労だったと胸を撫で下ろした。そして、ふと思い出して、もう一つの包みを葵の前に置いて言った。

「お土産よ」

 それは、初詣に訪れた神社で買った勾玉のお守りと、それぞれの名前を入れてもらったお揃いのペンだった。
 変によそよそしく振舞うでもなく、お互いに相手のもらった品を覗き込んで笑い合っている二人の様子を見つめて、母は、ずっとこうやって過ごしてきたような錯覚を得る。二人とも自分が引き取っていたなら、こういう光景は日常としてここに在った筈なのだ。

 双子。
 母にとって二人は、彼女が産んだ双子の姉弟なのだ。それを、二人とも、その‘きょうだい’という一括りの土産物に知る。二人は彼女にとって同じ位置に存在する子ども達なのだ。

 しかしそれは葵にとってはごく当たり前のことで、そして、基にとってはどう対処して良いのか分からない奇異で奇妙なことだった。



業火 futari 35 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

 すっかり昼夜が逆転した二人は、食事を取り、家中を掃除してその夜を過ごした。ソファの上に敷いたシーツは洗濯し、部屋中に掃除機をかけ、テーブルも壁も磨いた。ダイニングやキッチンも基が使った後は残さないよう、食材もある程度処理し、簡単なシチューを大量に作った。

 床を磨き終えて、葵は辺りを見回して思わず感嘆する。

「なんか、年末の大掃除より綺麗になったみたい」
「へえ、それは良かったね」

 同じように雑巾を手にしていた基が汗をぬぐいながら僅かに笑みを見せ、その笑顔に葵は意図せず心臓が鳴った。作った笑顔ではなくて、それは達成感が見せた純粋な喜びの表情だった。

「え…と、じゃ、コーヒーでも飲んで休もうか」
「淹れてくれるの?」
「も、文句言わないならね」
「言ったことないだろ」

 時計の針は真夜中過ぎを差している。キッチンに漂うコーヒーの香りに、基も掃除用具を片付けてテーブルに就いた。

「基は」コーヒーをカップに注ぎながら、葵は何の気なしに聞いてみる。「将来、何をしたいとか考えてるの?」
「将来の夢、ってやつ?」

 ふん、とカップを受け取りながら基は皮肉な笑みを浮かべる。

「ホストでもするかな」
「ホ…ストって、あの、ホスト?」
「そうだよ、ホストクラブのホスト」
「…な、なんで? 基なんて頭良いし、どんな仕事だって選び放題なのに」

 もったいない、と葵は目を丸くする。

「葵はどうなのさ?」
「私は、特にやりたい仕事なんて…」

 どこかごにょごにょと言葉を濁す姉を見て、基は、ふうんと笑う。

「せっかくやりたいことがあるなら、挑戦してみろよ」
「でも、私、あんまり成績良くないし」
「夢には関係ないだろ、そんなこと」
「でも、まずはその学校に入れないと、勉強すら出来ないじゃない」
「勉強なんてどこでもいくらでも出来るよ」
「…そ、そうかな」

 思わず上目遣いで賢い弟を見つめる。自信家の彼にそんな風に言ってもらえると、根拠なんかなくても説得力がある気がする。

「でも、まぁ―」目を細めて基はさらりと恐ろしいことを口にする。
「赤ん坊を身篭ってしまったら、それどころじゃなくなるだろうけどな」
「な…っ、ななな、何よ、それ」

 基は涼しい顔をしてカップを傾ける。そして、ぼそりと本音ともつかない言葉を漏らした。

「親が一番望まない生き方をするのが俺の‘夢’だよ」



業火 futari 34 

業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

 葵がぼんやり覚えているのは、基に抱きかかえられて運ばれた感覚だけだった。未明のまだ外は暗い時間帯だったが、とっくに新年は明けていた。すっかり茹で上がってのぼせそうなほど、二人でお湯に浸かっていたのだから、基も相当体力を奪われていた筈だった。それでも、彼は葵を部屋まで連れて行き、もう何かを身につける気力もなく、そのままベッドに倒れこんで、一緒に眠り込んだ。

 二人が目を覚ましたのは、夕刻だった。

 先に目覚めた基は、階下へ降りて留守電の点滅を見た。そして留守電に残っていた母からのメッセージを聞き、彼女が何度も電話を入れ、心配していたことを知った。その母の声色から基は母が何かを感づいたらしいことを知る。

「不味いな」基は呟く。心配した彼らは、予定を切り上げて戻ってくる可能性がある、と彼は思った。
「葵」まだ基のベッドで寝息を立てている葵を揺さぶる。「葵、起きろ」

 ぼんやりと目覚めた姉に、基は言った。

「家中を掃除するぞ」
「ん…なんで?」
「君の家族が帰ってくるかも知れない」

 それでも、葵はまだ寝ぼけたままだった。

「リビングとかお風呂場とか、片付けないとね」

 まだよく分かっていない葵だったが、身体を起こして頷いた。濡れたまま眠ったせいで、葵の髪の毛はあちこちに跳ね上がっている。それを見て、基は僅かに甘い気持ちになる。

「ああ。それより、まず、何か食べようか。さすがにお腹が空いたな」

 それを聞いた途端、葵はお腹が鳴った。
 う、…そ、そうか、いったいいつから食べてないんだっけ?

「今、何時?」
「4時だよ。夕方のね」
「えっ」
「俺は掃除を始めるから、君、何か作ってくれる?」

 葵は、ふるりと頭を振った。

「ま、待って。…それ、逆の方が良いと思う」
「そんなことは分かってるよ」基はもう腕をまくって掃除をする支度を始めている。「お風呂場は換気して、すっかり空気を入れ替えたり、天井も拭いたりした方が良いから、君には身長が足りないんだ。ほら、これ着て」
「あ…そう」

 葵は、ため息を吐いてのろのろと弟が差し出してくれた服を身につける。扉に手をかけた基はふと振り返って葵を見つめた。

「そうだ、葵、君、なかなか激しかったね」
「…え」
「あんなに乱れるなんて、驚きだったよ」

 にやりと笑みを見せて基は扉の向こうに消えていった。

「え、え?」

 その途端、葵は今朝方のことを思い出す。浴槽の中での情事を。しかし、その間の記憶がどうも曖昧で、とにかく最初から最後まで頭がぼーっとして、ただ身体が熱く火照っていたことしか明確には覚えていない。それでも、彼女自身がどんな風だったのかは分かっていた。そこに在ったのは純粋な欲情とお互いがお互いを求める激しい情熱、いや、肉欲だっただろうか。動物としての繁殖欲ではなく、人間としての支配欲だった。

 そのとき、葵は感じたのだ。基と彼女が「同じモノ」であることを、お互いを貪りつくして、寸分違わずに上りつめた頂で。身を寄せ合って寄り添って過ごした時間があったことを。母の胎内で共に過ごした双子として。

 しかし、それは、基が使ったと言っていた媚薬の効果だったのだ、と葵は思っていた。あれは錯覚に過ぎない。だって、これは、‘弟’だ。恋情を抱く筈がなかった。そして、その弟は、冷たい瞳の奥に孤独の影がひそんでいるケモノでしかない。

 だけど、と。葵はふと思った。彼は葵にないものをいっぱい持っていた。尊敬に値する多くのものを。



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