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Stories of fate


黄泉の肖像

黄泉の肖像 (サキ) 17

「それで、どうやって仕事をするつもり?」

 所長の機嫌は悪くなる一方だが、俺だって元凶を引き受けたのは誰だよ! と言いたい。地下牢の捜索なんて、普段なら絶対引き受けない変わった依頼を請け負ったりしなければ少なくとも今こんな事態には至っていない。

 サキは、結局、早乙女家が用意してくれたらしい服に着替えさせ、そんなに長い距離を歩けないので、乗り物に乗る以外、行程の何パーセントかは俺が抱いてきた。いくら軽いとはいえ、さすがに俺も息が切れた。しかも、くっつかれていると、ものすごく暑い! 外へなんて恐らく出たことのないサキは怯え切って、ずっと俺にしがみつきっ放しだったから、二人とも汗びっしょりだ。

「お昼まで、ちょっと事務所に置かせてください」
「ここは、託児所じゃない」
「そんなことは分かってますよっ…って、そういう問題じゃないでしょう? 地下牢の依頼主に連絡取ってなんとかしてもらってくださいよっ」

 俺に怒鳴り返されて、所長は渋い顔をした。
 サキを俺の席の椅子に下ろそうとしたら、他に人がいることに怯えて、益々ぎゅうぎゅうしがみつかれる。

「もう、礼金はもらってある。警察沙汰になったお詫びだと別に充分な金額ももらった。それから、ほら…」

 所長は封筒を俺に差し出す。

「何ですか?」

 俺はサキを抱いたまま所長の前に行ってそれを受け取った。

「お前に、個人的な礼金だそうだ。結局は、その子を任せた、という意味だろう」
「そ…っ、そそそ、そんなバカな…っ」

 所長の言葉に俺は茫然となる。封筒にいくら入っているかなんて問題じゃないくらい、愕然とする。

「ちょっと待ってください! そっ、…そしたら俺はこれからどうしたら良いんですか?」
「…‘待て’、と‘ハウス’が出来る程度に躾けてくれ」
「なんすか、それっ!!!」

 俺の飼い犬じゃねぇっつ~んだっ!!!
 すべては金か?
 良いのか、それでっ!


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ホラー・恋愛

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