FC2ブログ

Stories of fate


黄泉の肖像

黄泉の肖像 (地下牢) 2 

 意を決して地下へ下りてみようと思い立つまで、かなりの時間を要した。

 家具の移動で疲弊した筋肉を言い訳に、俺はしばらくその場に佇んだままだったのだ。入り口の写真だけを撮って、あとは警察に任せるってのはどうだ?などと頭を巡らしていたのだが、警察を呼んで、実は何にもありませんでした、では所長が怒る。しかも、警察が出入りしたなんてそんないわくがついちゃ、依頼主が土地を売ろうとしたときの値段にダイレクトに跳ね返ってくるだろう。

 はあぁぁぁぁっ、と大仰なため気をついて、俺は懐中電灯のスイッチを入れる。まずは足元を照らす。
 そして、更に絶望的な気分に陥る。階段にはくっきりと真新しい足跡が埃の中に浮かんでいるのだ。

「どう見ても、この足跡、最近のモノじゃね~か! 誰だよ、こんなところを出入りしたバカ者はっ」

 悪態をつきながら、俺は、実は足が震えていた。

「マジで幽霊とか、やめてくれよな~」

 いや、もっと悪いのは死体だ。そして、更に最悪は誰か生きた人間がいることだ。
 せめて、白骨死体くらいなら許そう…。
 俺の思考回路はすでに訳が分からなくなっている。

 俺はしがない探偵で、得意なのは浮気調査であって、死体捜索も霊能関係も専門外だ!くっそ、こういうのは、ちゃんとした専門家に頼めよ!

 怒ってでもいないと、気力が保てない。

 そうっとそうっとイヤな音できしむ階段を下りていく。意外に長い階段だ。急な勾配でよろけそうになる。ようやく階段が終わり、地面に足を着く。

「コンクリート?」

 急に冷やりとした空気を肌に感じた。冷気?霊気じゃないよな?

 平らなコンクリート製の床が広がっている。真っ暗闇だ。周囲を照らしてみるとけっこうな広さがあった。奥に箱が積み重なっているのが見えて、もしかして、単なる倉庫では? と俺は一瞬喜んだ。

 しかし、反対側を照らした瞬間、俺は本気で叫び声を上げた。

「う…っわああああああっ」

関連記事
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 紺碧の蒼
もくじ  3kaku_s_L.png 真紅の闇
もくじ  3kaku_s_L.png 黄泉の肖像
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 2
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 3
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 4
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 外伝集
もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い月
もくじ  3kaku_s_L.png 永遠の刹那
もくじ  3kaku_s_L.png Sunset syndrome
もくじ  3kaku_s_L.png 陰影 2
もくじ  3kaku_s_L.png Horizon(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png Sacrifice(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png 閑話休題
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←Sacrifice 30    →Sacrifice 31
*Edit TB(0) | CO(0)
ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ホラー・恋愛

~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←Sacrifice 30    →Sacrifice 31