FC2ブログ

Stories of fate


Sacrifice(R-18)

Sacrifice 3

 清水建設の社長の一人息子、智紀(ともき)は、やはりまだ高校生の18歳。登校途中の羽那を何度か見かけて、その不思議な美しさに興味を抱いていた。英才教育を受け、海外留学もしていた彼は頭が良い。将来を期待もされていたが、彼はあまり会社経営には興味がなかった。それで、父親の会社を継ぐ条件として、女を一人囲わせて欲しいと言った。

 結婚は相手に相応の身分が必要だ。しかし、ただ愛玩用の娼婦なら問題はない。父親は、養女という名目で息子の願いを聞き入れ、相手先に交渉した。経営の危機を救うという条件をチラつかせて。

 夏休みに入るという7月半ばのことだった。

「あの子を屋敷に連れてきたら、後は俺の好きにして良いんだろ?」

 智紀はその朝、朝食の席で父親に聞いた。

「相手もまだ中学生だ。最低限、学校へは引き続き通わせてやれ。」

 ちらりと息子を一瞥して、父親は言った。

「あなたも、勉学の妨げにならないようにね。」

 母親もちょっと箸を留めて言う。

「…分かった。でも、どうせもう夏休みだよ。俺は夏期講習には参加しないしね。」

 両親はその後は無言で食事を進める。しょっちゅう海外出張が入る二人が、そろって家にいるのは実は珍しい。海外で何をしているのか、だいたいの見当はついても、智紀は知らぬ振りをしている。彼に関わって欲しいのが純粋に会社経営のみであることを彼自身も分かっている。違法取引に、彼は手を染めるつもりはなかった。

「昨日高階家から届いた荷物は、そのまま処分してもらいます。すべてこちらで準備します、と言っておいた筈でしたし。今夜、羽那・・・さん、でしたね。いらっしゃったら私たちは挨拶をしてそのまま出かけますから。」

 食事が終わり、席を立つとき、母親は言った。

「発つのは明日じゃなかったの?」
「空港のホテルに前泊します。後のことはいつものように篠田に頼んでおきましたから。今回は、2週間ほどで一旦戻りますね。」

 父親は無言でコーヒーカップを傾けている。

「了解。」

 智紀は席を立った。


関連記事
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 紺碧の蒼
もくじ  3kaku_s_L.png 真紅の闇
もくじ  3kaku_s_L.png 黄泉の肖像
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 2
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 3
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 4
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 外伝集
もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い月
もくじ  3kaku_s_L.png 永遠の刹那
もくじ  3kaku_s_L.png Sunset syndrome
もくじ  3kaku_s_L.png 陰影 2
もくじ  3kaku_s_L.png Horizon(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png Sacrifice(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png 閑話休題
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←マーメイド・シンドローム 24    →Sacrifice 4
*Edit TB(0) | CO(2)
ジャンル:[小説・文学] テーマ:[恋愛:エロス:官能小説

~ Comment ~


不穏な……(^^;)

ついページを繰りたくなる手を押さえる(^^;)
#1227[2012/01/05 18:26]  ポール・ブリッツ  URL  [Edit]

ポール・ブリッツさまへ

ポール・ブリッツさん、

これは、実はもうお一方が現在進行形で読んでくださっております。
その方のご感想に唸ってます。
まぁ、どう読んでくださるかは読者さまの自由ですし、何より作品世界は好みですからね~
#1230[2012/01/06 06:26]  fate  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←マーメイド・シンドローム 24    →Sacrifice 4