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Stories of fate


マーメイド・シンドローム(R-18)

マーメイド・シンドローム 16

 翌朝早くに、健二はやって来た。

「おい。朝釣りしようぜっ」

 小屋の扉を勢い良く開けて入って来た彼は、久継と真珠が一緒に眠っている姿を目にして、一瞬、絶句して固まってしまった。

「…なんだよ、健二。やけに早いじゃないか…。」

 夜釣りが専門の俺は寝ぼけた顔のまま身体を起こした。真珠はまだ目を覚ます気配すらない。

「お前…お前…」
「なんだよ。」
「お前、彼女とは何でもない、って言ってたじゃないか。」
「え?…ああ、この子?何でもないよ。」

 今のところはね、と心で呟きながら、俺はベッドから下りて伸びをする。冷蔵庫へ向かい、水のボトルを取り出してそのまま口をつけて飲んだ。

「…抱いたのか?」

 なんだか、健二のらしくない表情がおかしくて、俺はちょっとからかってやろう、という気になってしまった。

「まあね。」

 飲み終わったボトルを、とん、とテーブルに置き、ふ~っと息をついて俺は椅子に座った。

「ど…どうだった?」
「何が?」
「彼女、処女だったのか?」

 相変わらず、本当に誰でも良いのか?こいつ…。俺は思わず、知るかよ、と言い掛けて、口を閉じた。

「俺にもちょっとやらせてくれないかな。」
「お前、この間の子はどうしたんだよ。」

 つい先日こいつを見かけたとき、一緒だった髪の茶色い小柄な女の子を思い出して俺は聞いた。

「ああ、フラれた。」
「なんで?」
「ん~…まぁ、価値観の相違っていうか。」
「お前と価値観合うやつなんているのか?」
「だから、ぴったり合う子を探してるんじゃないか。」
「…なるほど。」

 しかし、お前の価値観は下半身で量るのかよ?

「この子はよしとけ。」

 これだけ騒いでもくうくう寝息を立てている真珠を見下ろして俺は言った。

「なんでさ?やっぱり惜しくなったのか?」
「…そういうんじゃないんだけど、この子はお前に合わないよ。」
「そんなの分からないじゃないか。意外性ってのがあるんだぞ?」
「意外過ぎるのも考えもんだぞ。」
「はあ?」

 ようやく、真珠は目を開けた。そして、寝ぼけた顔で俺を見上げ、そして隣に立つ健二を見つけて、表情が強張った。

「おはよう、真珠ちゃん!どうだい?昨夜の久継は、良かったかい?」

 朝から、かっ飛ばすなぁ、こいつ…。
 俺は呆れて、もう何も言わず朝食の支度に取り掛かった。
 

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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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