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Stories of fate


Sacrifice(R-18)

Sacrifice 2

 高階家の、15歳になったばかりの末の妹を養女に欲しいと言われた。
 家の事業とそれに関連するいくつかの子会社がのきなみ傾きかけ、そして、姉の縁談が進行しているときだった。その子を差し出せば、資金援助及び技術協力の提供も考えても良いと。

 3人姉妹の長女が26歳で、幼なじみで取引先の息子との縁談がまとまり、挙式の準備を進めているところに、倒産の危機が迫り、家族は金策に苦慮していた。このままでは破談になりかねなかった。
 そして、次女もまだ大学生。せめて卒業させてやりたい。

 少し離れて出来た末娘は、白痴・・・とまではいかなかったが、知能が少し遅れ、全体的な色素の薄い子だ。薄茶の髪、赤に近い茶色の瞳。病的に白い肌。顔の彫りがもう少し深ければ外国人に見えるほど、家族とは印象が違う。一本一本が細い髪の毛はさらさらと風に揺れ、この世の苦悩を知らない表情はいつまでも幼く、儚く、そしてぞっとするほど美しい。姉たちもそこそこ綺麗な子たちだったが、末の子のある種、まるでフランス人形のような無機質な美しさは群を抜いている。

 申し出を受けるしか、なかった。
 相手は、裏で暴力団との関わりを噂されている建設会社の社長子息だったが、今、彼らを突っぱねる何も一家には残されていない。
   



 末の妹―羽那(はな)は、父親の、神妙で悲しい表情に頷いた。

「良いよ、お父さん、羽那は養女に行く。」

 訳も分からず、彼女は父の手を握った。家族が皆、泣いた。取り分け、妹を可愛がっていた長女、千鶴は妹を抱きしめて涙を流した。

「やめて、お父さん。私の結婚が壊れたって良い!羽那をそんなところにやらないでっ」
「そうだよ、お父さん。…みんなで一緒に頑張ればなんとかなるよ。」

 次女、崇子も声を震わせた。

「…もう、どうしようもないんだ。父さんたちの会社の問題だけじゃない。今、ここで不渡りを出してしまえば、もっと多くの会社とその従業員、そしてその家族が路頭に迷ってしまう。…もう、方法はないんだ。」

 うなだれる父親に、母も号泣した。
 まだ中学生の羽那は、温かい家族の涙に、決心する。自分が、家族を救えるのなら。たくさんの人々を救えるのなら…。

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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[恋愛:エロス:官能小説

~ Comment ~


fateさんが語っていた闇が、根底に潜んでいるような物語ですね。

すこし怖いですが、マーメイドと一緒に読んで行きたいと思います^^


#142[2011/10/15 15:37]  lime  URL  [Edit]

lime さまへ

おお!こちらも…!!!
すみません、では、こちらもupしていきます。
怖い…かどうかは定かではありませんが、倒錯的(R-18官能)なシーンがかなり!出てきます。
ご注意ください(^^;
たま~に、fateがマトモな人間っぽくなっているときには、fateですら読み返すのがはばかられるstoryです…。

ここであまり語るとネタバレになるので、しゃべくりたいですが、沈黙いたします…!

#144[2011/10/16 05:06]  fate  URL 














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