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Stories of fate


業火 ~hellfire~(R-18)

業火 14

 冬休みが明け、日常は淡々と流れる。
 何も変わったことはない、というように。

 先日、生理が始まり、葵は安堵する。妊娠、なんてしてしまったら、それが弟の子どもでなくても、困ったことになってしまう。短大進学を諦め、・・・子どもを生むのか?弟の子を?

 ぞくり、と心が震える。
 あの会話をしたときの基の目を思い出した。

 何故?・・・あれは、恨みの色だった。・・・いったい、誰に対して?
 記憶にすらない家族を、恨んでいるのだろうか?憎んでいるのだろうか?

 あっという間に2月に入り、たまたま、基が近くにいないとき、葵は母親に聞いてみた。

「お母さん・・・、あの、どうして基のお父さんと別れたの?」

 ああ、と母親は答えた。

「お互い一人っ子だったから、私たち。私が出産する頃、彼の郷里の両親が倒れてね。お互いに、お互いの親のそばにいなければならなくなって、そういう部分で揉めて、結局、一緒には暮らしていけなくなっちゃったのよ。」
「じゃあ・・・、どうして、私と基は別々に引き取られたの?」
「うん、本当は二人とも私が育てるって言ったんだけど、彼の家でも跡取りが欲しかったのよ。しかも、男の子をね。」
「じゃ、望まれて引き取られたんだよね?どちらも。」
「そうよ。なんでそんなこと聞くの?基くんが何か言ってた?」
「あ・・・ううん。ただ、突然、弟がいるって知って、びっくりして、・・・どうしてなのかな?って思ったの。」
「そうね。一生会わずに終わってた可能性もあるのよね・・・。」

 どこかしみじみ、母親は呟く。

「お母さんは、後悔してる?基のお父さんと別れたこととか、基を引き取らなかったこととか・・・。」
「・・・してない、つもり。」

 複雑な笑顔を作って、母親は答えた。

「でも、あんなに大きくなった基を見ると、手元で育てたかったな、っていう思いはやっぱりあるわね。」
「そう・・・。」

 双子の母は、母親らしい感慨を述べ、そこに何らかの問題点など見つけられなかった。実際、葵は今の両親に疑問や不満を抱いたことはない。実の父親ではない今の父だって、由美と分け隔てなく葵を娘として育ててくれた。

 基の深い‘憎しみ’の炎はどこからくるのだろう?
 葵を抱くのは『復讐』のため?

 それとも、葵が勝手にそう思い込んでいるだけで、そんな‘思い’はもともとどこにもなかったのだろうか?基の言葉に深い意味はなかったのだろうか?
 


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[恋愛:エロス:官能小説

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