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Stories of fate


永遠の刹那

永遠の刹那 (静の家族) 23

 それから30分もしない内に、家の前にシルバーの高級車が停まる。車のことは詳しくないから車種なんて分からないけど、絶対、高い!ということだけは分かる。よく、どこぞの社長さんが乗っているような型だ。これで、色が黒だったら、超!ヤバイだろう。

「あの・・・出迎えなくて良いんですか?」

 窓から外を眺めているだけで、動こうとしない静を見て、私はおろおろする。

「勝手に入ってくるから、気にしなくて良いよ。」
「・・・でも・・・」

 やっと振り返って、静は微笑む。

「なんだかんだで、彼らはここにけっこうしょっちゅう来てるんだから、気を使わなくて良いの。それより、お湯沸かしておいてくれる?」
「はい。」

 ひとまず、親子の対面だろうか。私はキッチンへ引っ込む。やかんに浄水器を通した水を注ぎ、コンロにかけていると、呼び鈴も鳴らさずに玄関から人の気配が聞こえてきて、いかにも適当な挨拶を交わす声が響く。壁はないが、リビングとキッチンはけっこう間があって、しかも、リビングが南向きで明るいのに比べてキッチンの窓は北側に面している。向こうからこちらの様子はそれほどはっきり見えない。

「お嫁さんは?」

 女性の声に、私はぎくりとする。
 いやいやいや、私は嫁じゃないからね、静のお母さま!

「今、お茶を淹れてるよ。」
「お茶はあなたが淹れなさいよ。まずは早く紹介してちょうだい。」

 凛と若い声だ。私は振り向くのが怖くてちょっと固まり気味・・・。
 仕方ないな、という声色で、静が私を呼ぶ。

「は・・・はいっ」

 声が上擦る。コンロの火を止めて、私は慌ててリビングへ向かう。
 そこには、大柄だが、どちらかと言えば筋肉質のすらりと背の高い男性と、小柄で華やかな印象の可愛らしい女性がソファに座っていた。どちらも50代半ばくらいに見える。静は、あれだ。双方の親に均等に似ている。

 静が彼らの向かい側に座っていたが、私が恐る恐る彼のそばに行くと、皆、一斉に立ち上がる。
 思わずぎょっとして、私は益々小さくなる。
 就職の面接か何かのような妙な緊張感が漂った。

「この子が天音ちゃん。今、受け付けと事務関係をやってもらってる。」

 そして、私に向かって、静は言った。

「これが俺の父と母。ハワイ旅行からたった今戻ってきたらしいよ。」
「え・・・っ?あ、いえ。はじめまして。宇・・・、ええと、天音と申します。」

 姓を名乗ったらやっぱりマズイよね?と途中ではっとして、私はとりあえず頭を下げる。

「はじめまして、天音さん。」

 お父さんが手を差し出してきたので、私もそれを握り返す。ふと、静と同じ感触の大きな手と彼の満面の笑みに、心がふわっと満たされた。

「ずいぶん、お若いのね。いくつ?」

 お母さんも私に手を差し出しながら声を掛ける。こちらの視線はさすがに厳しい。ちょっとひるんでしまう。

「・・・20歳です。」
「あら、一回りも違うのね。静ったら、何も言わないから今まで全然知らなかったわ。どのくらいのお付き合い?」

 それを聞くのか・・・。
 私が助けを求めるように静を見上げると、彼は笑って言った。

「とりあえず、みんな、座って待ってて。お茶を淹れてくるよ。」
 


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[コメディ・恋愛

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