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Stories of fate


Horizon(R-18)

Horizon (wedding) 49

 私はもしかして・・・マジで‘結婚’してしまったのか?
 そんなバカな。

 私、一度でもプロポーズのようなことされたっけ?
 いやいやいや、それより、私で良いのか?信長?私を誰だと思ってるの?
 あ、それはやつの方が知ってるのか。
 いや、そうじゃなくてっ
 奴隷と同じような人間を桐生家に迎えて良いのか?
 親は?
 親戚は?
 会社の人間は?
 っていうか、せめて、今日のこの目的を、本当にせめて車の中ででも説明してよねっ?
 



 私の胸中は、皆から受ける祝福の嵐の中で、笑顔のまま、まったくの支離滅裂状態だった。




「あのう・・・どういうことでしょうか。」

 写真撮影も終わって(その写真撮影もプロがやってきてかなり本格的に時間をかけての撮影だった・・・)、やっとその衣装を着替えるために元の部屋に戻ったのが、お昼過ぎだった。そこに控えていた女性たちがてきぱきと私の着替えを手伝うところを眺めている信長に、私はやっと聞いてみる。やつは、タキシード姿のまま、応接用のソファに腰掛け、幸甚さんが用意してくれたコーヒーを優雅に飲んでいる。

「なんだ?気に入らないのか?」
「いや、そういうことじゃなくて。」
「こういう設定の方がお前が喜ぶかと思ったんだが。」

 私はほぼ下着だけの状況になり、大きなタオルをかぶせられ、更に蒸しタオルで顔を包まれて、マトモに話しが出来なくなる。

「別にサプライズを狙ったとかじゃなくて、いろんな条件が今日、たまたますっかり合ってしまってこういう運びになったんだよ。計画はちょっと前からあったんだけど、形になる予定が全然なかったのが、ここの神父様と知り合いだったことを思い出して、予定を聞いたら、今日しかなくてね。メイクをしてくれた美容師さんとか子ども達の手配とか。それに、君津さんの予定もね。昨夜になって、やっとすべての問題がクリアされたと連絡が入ったんだ。」
「それにしても、それを説明する暇はあったと思うんだけど?」

 半分フガフガした声で私は恨み言を並べようと意気込む。

「お前が聞かなかったんじゃないか。」
「・・・だからっ」

 叫ぼうとしたところを、蒸しタオルを口元に押し付けられ、おでこからゆっくりとメイクを拭き取られていく。

「まぁ、ゆっくり着替えてこい。外で待ってる。」

 コーヒーを飲み終わったらしい信長は、そう言い残して去っていってしまった。

 くうぅっ!
 まったく、どういうことよっ




 でも・・・、と私は視界をタオルですっかり遮られた状態で考えた。
 他に望むべくもないことかもしれない。
 だって、私には過ぎたことだ。

 こんな風に、誰かに祝福されてウェディングドレスと着ることなんて、一生縁がないと諦めていたのだから。
 なんだか、左手の薬指にはめられた華奢なデザインの指輪がくすぐったい。

 いや。本当は一番望んでいたのは私か?
 信長のそばにいたいと祈ったのは?
 何もかも展開が突然すぎて、ゆっくり考える暇も感傷や感動に浸る間もない。
 


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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