FC2ブログ

Stories of fate


Horizon(R-18)

Horizon (夏の終わり) 45 

 間もなく夕食だと言われて、こちらに運びますか?という幸甚さんに、ダイニングに行くよ、と応えた信長は、私にも着替えしろ、と言う。

「・・・じゃあ、部屋に戻って良い?」

 ちらりと私を見て、彼は、良いよ、と言った。
 ‘過去に好きになった女はいない・・・’
 部屋で着替えをしている最中、不意に彼の言葉が蘇った。
 ‘どうしても欲しいと思ったのも・・・’
 でも、男なんて、もちろん、目の前の女にとりあえずお前だけだ、って言うもんなんだろうけど。
 ‘愛しいと感じたのも・・・’
 それでも、なんだか、私はちょっと胸があったかくなった気がした。
 ‘お前だけだ。’

 だって、私はそれまで、そうやって私が私であることだけを条件に誰かに必要とされたことなどなかったのだ。




「どうでも良いけど、私が信長をどう思ってるのかは、考慮に入ってないのね。」

 夕食を終えて部屋に戻る廊下で、不意に思い出して私は呟いてみる。

「どう思ってるんだ?」

 聞こえてないと思っていたのに、そう背後から声を掛けられ、私はぎょっとして振り返る。その目が、ものすごく自信あり気で、私はちょっと呆れた。

「・・・なんで、そんなに自信あるの?」
「自信?どんな?」
「私が・・・ええと、信長を嫌いじゃないって。」
「好き嫌いの問題か?」
「違うの?」
「お前は俺に、殺して欲しいんだろ?」
「・・・それは、あんまり関係ないんじゃ・・・。」

 信長は、ふふん、と笑う。その意味あり気な笑みに私はちょっと悔しくなる。なんか、弱みを握られたみたいな気分だ。

 だいたい、なんであの会話がそういう解釈になるのよ。

「いずれにしろ、お前は俺の手の中に在るか、俺に殺されるかしか選択肢はないんだよ。」
「・・・なるほど。」

 私は妙に納得した。
 確かに好き嫌いの問題じゃないわ。




関連記事
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 紺碧の蒼
もくじ  3kaku_s_L.png 真紅の闇
もくじ  3kaku_s_L.png 黄泉の肖像
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 2
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 3
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 4
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 外伝集
もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い月
もくじ  3kaku_s_L.png 永遠の刹那
もくじ  3kaku_s_L.png Sunset syndrome
もくじ  3kaku_s_L.png 陰影 2
もくじ  3kaku_s_L.png Horizon(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png Sacrifice(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png 閑話休題
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←Horizon (夏の終わり) 44    →Horizon (夏の終わり) 46
*Edit TB(0) | CO(0)
ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~















管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←Horizon (夏の終わり) 44    →Horizon (夏の終わり) 46