FC2ブログ

Stories of fate


Horizon(R-18)

Horizon (逃亡ゲーム2) 35

 ふと目を覚ましたとき、信長は机の上のパソコンに向かって何かをしていた。
 仕事かな?
 と私は思う。休みの日でも電話は容赦なくかかってくるようだし。

 窓を背にしてこちらを向いている信長は、ちらりと私に視線を走らせた。
 目が合って、何故か、しまった、と私は思う。
 目を覚ましていたのがバレちゃった、と。

「そんな顔しなくたって、もう襲わないよ。」

 パソコンに視線を戻して、信長は言う。

「勉強と運動のメニューを作ったから、日課としてやっとけ。」
「・・・べ・・・勉強???」

 私は茫然として、頭を持ち上げた。

「な・・・ななな、なんで?」

 それでなくとも、結局あれ以来、本を一冊読んで週末までにレポート、という作業は固定化してしまっている。それだけでもういっぱいいっぱいなのに・・・。

「なんで、だと?聞きたいのか?」

 信長が意味ありげに笑うので、私は思わず首を振った。

「・・・いえ。聞きたくないです。」

 信長は、脇の台の上にあるプリンターにデータを送信してプリントアウトを始め、机から離れた。そして、印刷された紙を数枚手に持って、ベッドへ向かってくる。

 私は、その紙に書かれていることを想像してげんなりしながら、近づいてくる彼を見つめていた。

「詳細はあとでじっくり見ておくように。とりあえず、軽いメニューにしておいたから、出来ないってことはないはずだよね?」

 妙に楽しそうな信長に、私は心の中で毒づく。
 こいつって絶対、ガキ大将的存在で、弱いものイジメしてたタイプだ・・・。

 いや、弱いものどころか、先生とか先輩とか、目上を目上とも思わないふてぶてしいやつで、周り中敵だったに違いない。

 私の表情が思い切り不満そうだったのだろう。
 信長は、ふうん、とイヤな笑みを浮かべて、思わず身の危険を感じて毛布に潜り込もうとした私から、その毛布をばっと剥ぎ取る。

「ひゃあぁぁっ」

 そして、身を翻そうとした私をさっさと組み伏せて、両腕を頭の上に固定する。

「も・・・っ、もう、何もしないって言ったよっ?」

 私が悲鳴のように叫んでいるのに、やつのもう片方の手は私の胸をぐい、と掴んで押し潰す。

「やあぁあぁぁっ」
「何もしないとは言ってないよ。」
「だ・・・だってっ・・・」

 尚も抗議しようとする私の口をふさいで、信長の手は私の胸をむちゃくちゃにもみしだく。

「んんっ・・・」

 まだ身体がほとんどいうことをきかなくて、しかも両腕を押さえつけられているので、私は足だけバタつかせて抵抗を試みる。

「お前、まだ元気じゃん?」

 にやりとする信長に、私は本気で青ざめた。
 元気じゃない、元気じゃないっ
 本当にもう身体がだるくて、きつくて、これ以上何かされたら、もう無理っ
 涙目になる私を見おろして、やつは不意にふっと笑う。

「まあ、今日は壊さない程度に、これで許しておくよ。」

 そう言って私の頭を撫でて、やつは剥ぎ取った毛布をふわりと私に掛ける。

「起き上がれるようになるまで、休んでな。」

 ・・・ひどいやつなのか、優しいのか、よく分からない。分からないが、とりあえず、今は機嫌を損ねるようなことはしてはいけない。

 私は、またパソコンに戻っていった彼の後ろ姿を見送って、目を閉じた。




 浅い眠りの中で夢をみた。
 戦場を馬を駆って走る夢を。

 う~ん、信長の名前に毒されてるなぁ、と夢の中で私は思う。だいたい、信長は戦で死んだんじゃないじゃない。信頼する家臣に裏切られて志半ばで炎に消えたのだ。

 そう。
 裏切りだ。

 その記憶が彼を狂わせるのだろうか?
 やつは、本当に信長公の生まれ変わりなんだろうか?
 では、私は・・・?

 濃姫ではあり得ない。彼女は、嫁いだ以後の記録が何一つない。信長と共に生きた時間が本当にあったのかすら分からない。

 私は、信長のそばで生きた名もない女だったのかな?




 そんなことを思う夢は優しく甘く、切ない。
 目が覚めたら、きっと、もう何もかも忘れているに違いないけど・・・。



関連記事
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 紺碧の蒼
もくじ  3kaku_s_L.png 真紅の闇
もくじ  3kaku_s_L.png 黄泉の肖像
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 2
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 3
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 4
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 外伝集
もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い月
もくじ  3kaku_s_L.png 永遠の刹那
もくじ  3kaku_s_L.png Sunset syndrome
もくじ  3kaku_s_L.png 陰影 2
もくじ  3kaku_s_L.png Horizon(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png Sacrifice(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png 閑話休題
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←Horizon (逃亡ゲーム2) 34    →Horizon (信長の奥方) 36
*Edit TB(0) | CO(2)
ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~


愛し方

fateさんの作品をここまで読んできて思うことは。

それが主題ではないにせよ、男性たちは女の愛し方を知らないっていうか、どうしてこんなふうにするのか、私には不可解です。

例外もありましたけど、たいていの男性は恐怖だとか、なんらかの制約だとかで女を縛りつける。
直接的暴力とは別の、逃げられないという意味ではなお悪いかもしれない。そこがfateさんのおっしゃる「闇」なのでしょうか。

うーむ。ということ自体が、とっても深いのか。
私には理解できない「愛の世界」ではありますが、小説としてはいつだって面白くて引き込まれていきます。

よくわかってもいないのに失礼な書き方かもしれなくて、すみません。

このストーリィはどこに到達するのか。
あ、もちろん不快ではなく、「不可解」なわけですので、そのあたりも今後ともよーく考えてみたいと思ってます。

ミニリレーVER.1、アップしましたので、見て下さいね。
#420[2011/11/08 11:49]  あかね  URL 

Re: 愛し方

あかねさん、深いコメントありがとうございます。

そう、まさにそれが‘闇’です。
でも、人に救えない闇はない、と思うのであがいてみるのです。結局、女性たちにも呼応する‘闇’があるから惹かれてしまう。そして、とことん闇を漂って同じところまで堕ち込んで、闇に取り込まれて、呑みこまれてしまう寸前に、微かな‘ひかり’を掴もうともがくのだ~。

でも、fateは読者さまには特に何も求めません。
まぁまぁかな、orまぁ、読めないこともない程度に面白かった、と感じてもらえれば、それで十分です(^^)
ただ。
fate world を不快に感じる方は別に入って来ていただきたくないので、即効ご退出ください、というだけです。
不快になったと言われて文句を言われるのは困ります。(他サイトでそういう目に遭って…まぁ、厳密にはちょっと違いましたが、それでも、一旦抜けたりしましたので(^^;)。嫌いなら近寄らないでくれ~ってことです。割と何でも読む物語大好きfateでも、開いた途端閉じるブログもありますので。

> ミニリレーVER.1、アップしましたので、見て下さいね。

↑↑↑おお! これからちょっくら見学(?)にお伺いさせていただきます!


#423[2011/11/08 16:29]  fate  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←Horizon (逃亡ゲーム2) 34    →Horizon (信長の奥方) 36