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Stories of fate


Horizon(R-18)

Horizon (逃亡ゲーム2) 32

「な・・・っ、なんで、あいつはこんなことばっかり・・・っ」

 息を切らせて走りながら、私は恨み言をぶつぶつと呟いている。
 夏真っ盛りのこの休日。昼過ぎの一番暑い時間帯。

 今度は、一時間以内に捕まったらおしおきだ、と言い渡されて、私はまた信長の狩りゲームに参加中・・・。

「少しは頭を使って考えろ。痕跡を残さない方法だとか、敵をやり過ごす隠れ方とか。」

 直前までそんなことを言いながら、私の身体を適当にいたぶる信長は、最後に後ろの穴にぐい、と指を入れる。

「いやあぁぁあっ」

 瞬間、そのおぞましさにあそこで一日犯され続けたときの恐怖と悪夢が蘇った。あのとき、複数の男たちに前と後ろを同時に犯され、気が狂いそうになった嫌悪の記憶が。

「一時間以内に俺に捕まったら、こっちを丁寧に犯してやるよ、鴻子。」

 信長は悲鳴をあげる私を押さえつけて、そう冷酷に笑った。
 やる、と言ったらあいつはやるだろう・・・。
 私は瞬間、この灼熱の炎天下の日差しの中でぞくりと寒気が走る。

 今回は、30分後に追いかける、と言われた。しかも、門の前の警備員に、私は直接交渉して開けてもらわなければならなくって、前と同じで、信長の遊びだから、と泣きそうになって訴え続けてやっと開けてもらった。その間、恐らく5分近くのロスタイム!

 ほとんど下着姿のまま放り出され、慌てて部屋からTシャツを引っ張り出す。上着を貸してやろうか?とニヤけるあいつの言葉は無視して。

 それにしても、この暑さ!
 5分走ればもう息があがってくる。
 ダメだ、このまま闇雲に走り続けていたら、倒れる。

 私は立ち止まって、辺りを見回した。屋敷の裏へ向かうと比較的のどかな景色が広がって、とても隠れる場所なんてないような気がして、表通りへ向かってしまったけど・・・。目の前に続く町並み。行き交う人々。暑さで歪むその景色を見つめながら、私は少し後悔していた。

 裏へ逃げた方が少しは涼しかったんじゃないかな・・・?
 落ち着こう。
 とにかく、一時間、見つからなければ良いのだ。

 遠くへ向かうより、どこか、見つからない場所を探そう。
 そして、はっとする。
 そうだ。今、一体何時だろう?隠れ場所を探す暇はあるの?

 信長が出がけに言った言葉を思い出す。

「何か、欲しいものは?一つだけなら与えるよ?」

 あいつから何か受け取ったら最後だと思って、私は完璧に無視したけど。
 そうか。だったら、自分の部屋から時計を持ち出すべきだった。

 あまり周りの人々から不審に思われないように、私は目だけで必死に隠れられそうな空間を求めて歩き回る。
 脇道へ入るよりも、むしろ、表通りで普通に他の人々の中に紛れ込んでいた方が見つかりにくいんじゃないかしら?
 


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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