「・・・子どもが出来たら、どうするの?」
真夜中近く、信長がベッドに入ってきた気配を感じて、ふと私は言った。あれから、しばらく私は意識不明の状態だったが、信長は起き出してお酒を飲んできたらしかった。
彼の姿を夢の中のように見ながら、大分ぼんやりした後、私は不意に正気に返ったのだ。
ここ最近、まったく避妊をしていない彼に、私は最近考えていた疑問をぶつけてみる。
彼は私の顔を一瞬見つめて、起きてたの?と言う。
「今、・・・目が覚めた。」
「赤ん坊が出来たって?」
別に驚いた様子もなく、彼は言う。
「違うけど・・・」
「じゃ、今考えることじゃないだろ。」
私は怪訝に思って聞く。
「出来ても・・・良いの?」
「縁が深ければいずれ出来るだろ。」
「縁?」
どう考えても、突っ込むところはそこじゃないはずなのに、私は信長の口から出るあまりに意外な言葉に、思わず、そこに食いつく。
「そうだよ。」
信長は私の顔を覗き込んで、不意に唇をふさいだ。
「だ・・・だって、そうじゃなくて、どうすんの?」
私は彼のお酒くさい顔を押し戻して一気に叫ぶ。
「何を?」
ぺろりと唇を舐めてやつはにやりとする。
「身篭ったら、生んで育ててもらうよ、当然。」
「・・・私に?」
「他に誰がいるのさ。」
「でっ・・・でも、私は・・・」
私は単にお金で買われた女で、奥さんでも恋人でもなくて・・・しかも、親の顔も知らない捨て子で、信長の家に釣り合うような何もないよ?
そして何より。
親の愛を知らない私が、信長の子どもを、マトモに育てられるのか分からなかった。もしかして、愛せなくて虐待してしまったり・・・。育て方が分からなくて、病気にさせてしまったりするかもしれない。
そういうことを口に出して言ったわけじゃないのに、信長は、まるで聞こえていたように、ふふん、と笑う。
「俺の子だ。ちゃんと育ててもらうよ。」
あんまり頭が働かなくて、私はそのとき、うまく反応できずにぼんやりと彼を見上げた。信長は私の顎をくい、と指で持ち上げて、分かった?と覗き込む。
「・・・はい。」
反射的に私は頷いた。理解したのではない。
信長は私の頬を撫でてベッドに潜り込み、いつものように私の腰に腕をまわして抱き寄せる。
「お前、もう少し身体鍛えないとダメだな。」
「な・・・なんで?」
「それに、この辺にもう少し肉をつけないと。」
ぐい、と胸を掴まれて、ひゃあっ、と私は声を上げる。
「まあ、ゆっくり鍛えてやるよ。」
言いながら、信長は私の前髪をかき上げてそのまま髪の毛を鷲摑みすると、有無を言わさず舌を絡めてくる。
「んっ・・・ふぅ・・・っ」
何を意図してそんな風に言われるのか、さっぱり分からない。
考えようとしても、この状況では、ほぼ無理だ。
もう、頭の芯が甘く痺れてくる。信長の手はただしっかりと私の背中を抱いて、髪を撫でる。
あれ・・・?
と、私は何かを思い出しそうになった。
この感じ・・・?
そして、官能に溺れる前の一瞬、思い出したのだ。
ああ、そうだった・・・と。
それがいつ頃から本性を表したんだっけ?
闇に堕ちる寸前、そう考えたのが最後だった。
真夜中近く、信長がベッドに入ってきた気配を感じて、ふと私は言った。あれから、しばらく私は意識不明の状態だったが、信長は起き出してお酒を飲んできたらしかった。
彼の姿を夢の中のように見ながら、大分ぼんやりした後、私は不意に正気に返ったのだ。
ここ最近、まったく避妊をしていない彼に、私は最近考えていた疑問をぶつけてみる。
彼は私の顔を一瞬見つめて、起きてたの?と言う。
「今、・・・目が覚めた。」
「赤ん坊が出来たって?」
別に驚いた様子もなく、彼は言う。
「違うけど・・・」
「じゃ、今考えることじゃないだろ。」
私は怪訝に思って聞く。
「出来ても・・・良いの?」
「縁が深ければいずれ出来るだろ。」
「縁?」
どう考えても、突っ込むところはそこじゃないはずなのに、私は信長の口から出るあまりに意外な言葉に、思わず、そこに食いつく。
「そうだよ。」
信長は私の顔を覗き込んで、不意に唇をふさいだ。
「だ・・・だって、そうじゃなくて、どうすんの?」
私は彼のお酒くさい顔を押し戻して一気に叫ぶ。
「何を?」
ぺろりと唇を舐めてやつはにやりとする。
「身篭ったら、生んで育ててもらうよ、当然。」
「・・・私に?」
「他に誰がいるのさ。」
「でっ・・・でも、私は・・・」
私は単にお金で買われた女で、奥さんでも恋人でもなくて・・・しかも、親の顔も知らない捨て子で、信長の家に釣り合うような何もないよ?
そして何より。
親の愛を知らない私が、信長の子どもを、マトモに育てられるのか分からなかった。もしかして、愛せなくて虐待してしまったり・・・。育て方が分からなくて、病気にさせてしまったりするかもしれない。
そういうことを口に出して言ったわけじゃないのに、信長は、まるで聞こえていたように、ふふん、と笑う。
「俺の子だ。ちゃんと育ててもらうよ。」
あんまり頭が働かなくて、私はそのとき、うまく反応できずにぼんやりと彼を見上げた。信長は私の顎をくい、と指で持ち上げて、分かった?と覗き込む。
「・・・はい。」
反射的に私は頷いた。理解したのではない。
信長は私の頬を撫でてベッドに潜り込み、いつものように私の腰に腕をまわして抱き寄せる。
「お前、もう少し身体鍛えないとダメだな。」
「な・・・なんで?」
「それに、この辺にもう少し肉をつけないと。」
ぐい、と胸を掴まれて、ひゃあっ、と私は声を上げる。
「まあ、ゆっくり鍛えてやるよ。」
言いながら、信長は私の前髪をかき上げてそのまま髪の毛を鷲摑みすると、有無を言わさず舌を絡めてくる。
「んっ・・・ふぅ・・・っ」
何を意図してそんな風に言われるのか、さっぱり分からない。
考えようとしても、この状況では、ほぼ無理だ。
もう、頭の芯が甘く痺れてくる。信長の手はただしっかりと私の背中を抱いて、髪を撫でる。
あれ・・・?
と、私は何かを思い出しそうになった。
この感じ・・・?
そして、官能に溺れる前の一瞬、思い出したのだ。
ああ、そうだった・・・と。
それがいつ頃から本性を表したんだっけ?
闇に堕ちる寸前、そう考えたのが最後だった。
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