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Stories of fate


サードゥ ~修行者・遊行者~(R-18)

サードゥ 18

 それから半月ほどして、篠崎さんはやってきた。

「結局、私も自分で動く時間を取れずに、探偵社任せになったのですが、最後の確認だけは私が、してきました。」
「えっ???・・・とおっしゃると、分かったんですか?この子が誰か?」

 俺はかなり驚いた。まったくその可能性を考えなかったわけではないが、やはり、難しいだろうと俺は思っていた。今まで(確かに探してはいなかったのだが)まったく分からなかったみどりの素性。それをこんなにあっさりと知ることになるとは。

 篠崎さんをこの間のソファに案内し、コーヒーを淹れながら、どこか動揺していたのだろう、俺はそれを溢しそうになって慌てていた。

 そういう報告を聞くことになるとは俺は実は考えていなかった。それで自分で思った以上に混乱していた。もしかして、みどりと離れることになるのかもしれない、と俺はどこかで怯えてもいたのだろう。

 篠崎さんは、ひどく複雑な表情をしていた。
 俺はみどりを呼んで一緒に向かい側に腰を下ろしたが、正直、聞くのが怖かった。

「まず、私にとっては残念なことでしたが、彼女は私の娘ではありませんでした。」
「ああ・・・、そうですか。」

 俺は、むしろ、彼が父親であった方が良かったと思った。彼なら、いろんな事情を考慮して、みどりが一番幸せでいられる道を選択してくれそうな気がしたからである。

「彼女のお名前は・・・‘山村美緒里’(やまむらみおり)さん、今年の誕生日が過ぎましたので20歳だそうです。」
「みおり?」
「ええ、当たらずとも遠からずと言ったところでしたね。」
「・・・だから、みどり、という呼びかけに反応したんだ。」

 篠崎さんが微笑み、俺は横に座るみどりの・・・いや、美緒里の顔をまじまじと見つめた。美緒里は俺の視線に気付くと、不意ににこっと笑う。

「そして、御影さん・・・、あなたは覚えてらっしゃいますか?彼女に初めてお会いになったときのことを?」
「え?病院でですか?」
「違います。」

 彼は静かに首を振り、探偵社からの報告書をテーブルの上に置いた。

「あなたは、美緒里さんの、命の恩人のようなものだったそうです。」
「・・・俺は、この子にいつか会っていたんですね?」

 不意に、病院でこの子と、目を見交わした瞬間に襲ったデ・ジャ・ヴュのようなものが蘇る。俺はいつかこの子会ったことがある、とあのとき、感じていた。そのとき蘇りそうだった何かが、再び頭をもたげ始める。

「いったい、どこで・・・?」

 呟いて俺は、その報告書を手に取った。



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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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