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Stories of fate


Horizon(R-18)

Horizon (レポート) 19

 週末、何食わぬ顔で帰ってきた信長。
 もしかしてそっちも忘れていてくれるんじゃないかと思ったのに、顔を見るなり言われた。

「レポートは?」
「・・・。」
「今すぐ書け。」
「・・・まだ、全部読んでない。」
「読んだところまでで良いよ。その代わり書きあがるまで食事はお預けだ。」

 お預けって・・・私は犬か?と多少ムッとしたが、言われたことをやっていない自分が悪いことは分かっていたので、敢えて黙っていた。

 その日、彼はお昼前に戻っていた。ということは、レポートを書き上げるまで、お昼ご飯もなしってことだ。
 あ~あ・・・、と私は半分ふてくされて、私に与えられている部屋で机に向かう。

 普段は私はその小さな部屋で生活しているが、週末、信長が帰ってきてやつの部屋に呼び出されたあとは、彼が仕事に出るまで自分の部屋には戻れない。

 と言ってもまあ、部屋は隣なんだから、用があればすぐにでも戻れるのだけど。
 昼前からあいつに好きにされるのと、どっちがマシかちょっと考えてみる。が、正直、よく分からない。

 私が決死の覚悟で読み始めたのは、闘病記のドキュメンタリーだった。著者が不治の病に侵され、いろいろ健康法などを模索して各地を放浪する。・・・と、まだその辺りだ。あと三分の一くらい残っている。

 なぜ、こんなものを選んだのか?

 信長がこういうタイプの本を好きそうだからとか、感動ものを提出した方が受けが良いかもしれないとか、そういう計算が私は出来ない。学校でもそうだった。信長には、そういう計算もしないとダメだとよく言われるが、なかなかそういうことってすぐには切り替わらないものだ。

 そう。なんのことはない、これが一番、薄い本だったのだ。

 と、初めからそんなことを書いたらまたあの目で静かに睨まれそうなので、少しは真面目なことを書く。私は、気が向けば勉強はしっかりやる方だった。だから、気が向いたときとそうでないときの成績の差が激しかった。

 今はまったくやる気がないのに、やらなければならない・・・。

 夜まで食事を抜かれたくないし。
 ちぇっ。早く済まそう。

 半分くらい進んだところで、部屋をノックされる。

「はい?」

 と返事をすると、佐藤さん・・・本当にそうだっけ?が、昼食を呼びにきた。

「ええと・・・はい、ありがとうございます。」

 と、一応返事だけはした。けど、終わらないと食べられない。私はとにかく必死に書くこと、に集中した。そして、なんとなくまとまった文を書き上げて、大きく息をつく。

 あれ?何枚以上とか、何枚に収めろとか言われてたっけ?
 なんとなく、学校の課題みたいな気分になって、私はふと考え込んだ。

 いや、何も言ってなかったから、これで良いや。



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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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