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Stories of fate


Horizon(R-18)

Horizon (信長の戦い) 17

 二人とも、いや、少なくとも私は、表の世界で光をいっぱいに浴びて生きてきた人生じゃなくて、生まれた初めから底辺を這って世間をいつでも見上げていたから、自分を他の人と同じ人種だとは考えていない。

 世の中、負け組み、勝ち組、のような区分けもあるらしいが、そんな甘いもんじゃないと私は思う。

 それは、スタート地点の同じ人々が一斉にスタートを切って、単にゴールにたどり着くのが早いか遅いかだけじゃないかと思う。そのゴールだって、そいつらが勝手に設定したものだ。

 つまり、ゴールは変えられるのだ。
 ここで、ゴールと本人が決めたら、それだけでそいつは勝ったことになるではないか。

 私の世界は違う。
 支配者と、被支配者の世界だ。
 これは、もう生まれた瞬間に振り分けられて、そこから抜け出すことなんて出来ない。
 そして、この二つの種類の人間は、ペアになっているのだ。
 支配する者と、支配される者。
 ヤクザの世界でもそうだし、世界の暗黒界を牛耳っている闇の世界は間違いなくそういう構造だ。

 もっと小さな身近なところでは・・・前者は信長で、後者は私。前者は相手を選べるが、後者にその権利はない。

 それから。
 私は、幼い頃より、表面でいくら取り繕って善人ぶっている人も、本当は何を考えているか分からない、ってことばっかりイヤというほど見てきた。

 そして、その逆もあった。
 そして、思った。いや、言葉で考えたのではない。なんとなく感じた・・・って方が近い。
 善悪定まらぬものが‘人間’なんだ、と。

 そこに救いを求めたつもりはない。
 だけど、顔を上げれば、星空が見えるだろうことを、いつも信じていたかったのだ。たとえ、それが切り取られた夜空でも。

 微かに届く月光を、温かいと感じていたかった。
 何度か休憩しながらも、黙々と作業を終える頃には、外の景色はきっかりと夕方になっていた。
 私は四角い空と切り取られた絵画のような外の風景を黙って見つめる。
 これが、私に与えられた自由だ。

 夕飯は、だいたい屋敷に戻って食べることになるので、私はあとは信長の迎えを待つだけだった。

   


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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