FC2ブログ

Stories of fate


サードゥ ~修行者・遊行者~(R-18)

サードゥ 1

※<R-18>一部ですが、R指定描写あります。




 長い患いの後、母を看取り、俺は自分に近い血の者をすべて失った。

 母は幼い頃に、火事で家族を一辺に亡くしている。長い間家族の愛に飢えていた彼女は、父親ほど年の離れた俺の父親に嫁ぎ、そして、父は俺が中学校に入学する姿までを見届けて逝ってしまった。

 父には兄弟がいて、その子ども達も遠くにいることはいるのだが、何分、世代も違うし、しかも俺もその親戚も交通の便の良い場所には住んでいないので、もうあまり会うことはないだろう。

 母の葬儀で会ったのが、恐らく最後になるのではないかと思う。




 母がお世話になった病院で、記憶喪失の少女の姿を度々見かけていた。

 なんでも、裸足で、しかも下着姿のままで道路に飛び出し、車にはねられて病院に運び込まれてきたそうだ。
 怪我は治っても、記憶は戻らず、未だに家族らしき人も現れない。

 病院側では医療費の請求先も分からず、しかも、もう退院させなければならない時期になっても引き取り手がなく、ほとほと困っていた。

 母のことで頭がいっぱいだったときには俺もそれどころではなかったのだが、お世話になった医師や看護師にお礼に訪れて、改めて隣の病室だったその子を見てみると、俺は、何か「おや・・・?」とした感覚が引っ掛かった。

 年の頃は10代後半から20歳前半。
 色白で、髪の毛はさらさらと背中まで流れている、丸顔で小さな目鼻の日本人形みたいな子だった。

 いつか、会ったことがある・・・?
 そういう気がした。

 俺は仕事柄、ものすごくいろんな人に会うし、取材にも出かけて日本中歩くし、それこそ絶世の美女と言われているものすごい美人も会っている。

 それでなくとも、あまりに人に会うので、俺はあまり人の顔を覚えない。いや、意識して消去しているわけではないので、むしろ、覚えられないのだ。

 取材で会った本人は覚えていても、その周辺人物は冷たいほど綺麗さっぱり忘れる。
 パーティなどで挨拶を交わした程度の人物など、いくら名刺をいただいていても、まず、覚えていない。

 だから、名前も浮かばない相手をこんな風になんとなくでも覚えているのは珍しかった。何か、特に印象に残る出会いだったのかもしれない。




関連記事
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 紺碧の蒼
もくじ  3kaku_s_L.png 真紅の闇
もくじ  3kaku_s_L.png 黄泉の肖像
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 2
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 3
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 4
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 外伝集
もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い月
もくじ  3kaku_s_L.png 永遠の刹那
もくじ  3kaku_s_L.png Sunset syndrome
もくじ  3kaku_s_L.png 陰影 2
もくじ  3kaku_s_L.png Horizon(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png Sacrifice(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png 閑話休題
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←Horizon (まどろみの悪夢) 10    →サードゥ 2
*Edit TB(0) | CO(2)
Tag List  * |

ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~


順順なので、今回はこれを拝読させていただきます^^

fateさんの作品はとにかくたくさんあって、なっかなか最新作にたどりけないのであった…。
有村司in fateワールドの旅は続く…。
#1107[2011/12/26 19:30]  有村司  URL 

有村司さまへ

有村司さん、

> fateさんの作品はとにかくたくさんあって、なっかなか最新作にたどりけないのであった…。
> 有村司in fateワールドの旅は続く…。

↑↑↑ちょっと笑いました。
でも、そういう読み方、分かる気がします。
fateもその方の順を追ってみたい衝動に駆られることがあります。
ただ、fateの場合は、こちらに掲載している順番と制作順序が必ずしも一致していないのであった~(^^;

#1114[2011/12/27 08:40]  fate  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←Horizon (まどろみの悪夢) 10    →サードゥ 2