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Stories of fate


Horizon(R-18)

Horizon (逃亡ゲーム) 3

 一度、本気で怒らせて、私はヤクザの世界に逆戻りさせられそうになった。

 たった一日だったが、そこでよってたかって一度に三人の脂ぎった男たちに犯されたときには、本気で身体が壊れるかと思った。朝から昼過ぎまで、いや、もしかして夕方近くまでそれは続いた。もちろん、相手は都度入れ替わった。何人の男たちに好きにされたのか、分からない。そして何より、これが明日からも続くのかと思った瞬間の深い絶望を、どう表現して良いのか分からない。

 身体の芯から凍って、腐っていきそうだった。

 あの、本気で死のうと考えた一週間を思い出した。そして、明確に‘死’を考えられる時点ではまだ意識はしっかりしているのだと、虚ろに、何も見ていない少女たちの目に、ぞっとした。

 生死をも含めて、もう、何もかもを諦めてしまった人間の、操られるゾンビか何かのような生活。
 そこにいたらいずれ自分もそうなってしまうことが火を見るよりも明らかだった。

 この世の中には、もっともっと想像すら出来ないひどいことがいくらでもあるのだと、私は、この年にして知った。どんなに理不尽なことも、彼らの世界では普通にまかり通るのだ。彼らには彼らの正義や信念があって、それは生まれたときから絶対のもので、何があっても揺るがない。

 何もない、信じるものも、曲げられない信念も、そういうものは何一つない一般人に、彼らの世界は理解できないし、抗う術を持たないのだ。

 初めの一週間でとっくに処女は失っていたが、一度に三人の男に穴という穴に男の欲望を突き刺され、悲鳴を上げることすら出来ない屈辱と苦痛の只中で、私は不覚にも、信長の名を呼んだらしい。

 あいつは、どこかでその様子を眺めていたのだろう。
 今考えるとかなりムカっとするが、あいつを怒らせた私がバカだったのだ。

 全身、男共の精液まみれになって、更に涙と失禁とでどろどろの状態の私を、信長は、その日のうちに連れ帰ってくれたらしい。とっくに気を失っていたので、私には何も分からない。

 次に目覚めたのは、信長に、身体を洗い流してもらっているときだった。
 一瞬、私は自分がどこにいるのかさっぱり分からなかった。
 そこにいるのが、彼だということも。

 もう、すでに半分狂いかけていたのだろう。抵抗する気も起きなかったし、ここがどこで、自分を抱いている腕が誰のものなのか、これから自分がどうなるのかも考える気力がなかった。

 一日食事も与えられず、ただひたすら犯され続けていた私は、マトモな思考などとっくに失っていた。

 そして、助け出されたのだと知ったのは、彼が私の口に何か液体を、恐らくスポーツドリンクの類だと思うが、何か甘い液体を流し込んでくれたときだ。

 開いていても、まったく何も見えていなかった私の目が、そのとき不意に彼の顔を捉えた。

 叫びすぎて声が枯れていた私は、無意識に彼の名前を呼んだことにも気付かなかった。声で、自分で確認出来なかったし、頭と身体がバラバラで、自分ではまったく制御不能だったのだ。

 しかし、私の口の動きだけで、やつは分かったらしい。
 にこっと目を細めて、温かい手で軽く私の頬に触れた。

「今回は、これで許してやるよ。俺の名を呼び続けてたみたいだし?」

 覚えはなかったが、否定はしなかった。というより、声が出なかったし、恐らくそれは本当だろう、と感じていたのだ。何故なら、私には他に誰も、いないのだから。私を私として欲しがってくれる人間など。

 そして、とにかくあそこから助け出されたことに、本当に神に感謝していた。

「次は、もう連れ戻してやらないよ。」

 微笑んだままで、信長は言った。目だけが冷たく光った。その光に、私は心底震え上がった。本気だろうと思った。

 だいたい、この屋敷に彼の他に私しかいないということは、他の子たちは、間違いなくやつらに売り渡されているのだろう。

 彼が気まぐれで連れてきた子が私だけとは思えなかった。

 他の男に犯される私を平気で見ていられるくらいなのだから、信長にとって、私は商品と変わりないのだ。飽きたら棄てられるような玩具でしかないのだ。

 せめて、飽きて棄てられるまでは、彼の逆鱗に触れないように生きていくしかない。
 棄てられる先が、やつらの世界ではないことを虚しく祈りながら。




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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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