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Stories of fate


月の軌跡(R-18)

月の軌跡 (鳥かごの小鳥) 36

 恋しい相手の腕に抱かれて、澪は、久しぶりに眠りをむさぼった。

 この家に来てから、胸がふさがれているように苦しくて、食事もろくに取れずに、彼女はやせ細っていく一方だった。

 柊と二人で生きる道はないと、澪はどこかで分かっているのだろう。

 例え、こうやって会えることがあっても、どこかで偶然に会える日が来ても、それは一時のこと。すぐにもっと深い絶望がやってくる。彼に触れた悦びを味わった後の闇は、更に暗さを増すだろうことを。

 もう、目覚めたく、なかった。
 このまま、幻想の夢に抱かれて、彼の腕に永遠に眠り続けたいと、そのとき、彼女は思ってしまった。




 そのまま、澪は、もう目覚めなかった。




 忠志の母親が帰ってくるまで、柊は、澪の身体を抱いていた。

 そして、彼女の帰宅を確認して、そのまま彼女を芝生に横たえ、後ろ髪を引かれる思いで何度も振り返り、生垣を乗り越えると、柊は闇に紛れた。

 忠志の母親は、澪の部屋の扉が開いたままであることを不思議に思い、部屋を覗き込んで声を掛ける。そして、中に彼女の姿がないことを知って悲鳴をあげ、家中を探し回る。そして、ふと見下ろした窓の外に、倒れている人の姿を見つけて、庭へ走り出た。

 彼女は、そこに、死んだように横たわる澪を発見し、慌てて救急車を呼んだのだ。




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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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