次に気付いて目を開けたとき、澪は、疲労と痛みにほぼ放心状態だった。窓のないその部屋では、時間の経過すら曖昧で、あれから何時間経って、今、一体いつの何時頃なのかすら分からなかった。
言葉として思考が戻るまで、かなりの時間を要し、澪は、ゆっくり首を動かし、部屋に誰もいないことを確認する。
手も足もだるくて持ち上げることすら困難だった。
澪の腹部の辺りには薄い毛布が掛けられており、少し空気がひやりとしていることを感じて、澪は今、夜なのだと思う。
自分に一体何が起こったのか、澪にはさっぱり分からなかった。そして、受け入れられなかった。
陵辱。という事実を。
あまりのショックに感情が動かなかった。夢なのだと、悪夢をみているに違いないと、澪は何度も自分に繰り返す。
しかし、澪の身体は自分に起こったことを無慈悲に残酷に彼女に伝える。
涙、という方法で。
不意に澪の目からは次から次へと熱い涙が零れ落ちてきた。始め、澪は自分が泣いていることに気付かなかった。頭と身体がバラバラで、思考すらついてこなかったのだ。
頬に伝うものが涙なのだと知ったとき、澪の心に言葉が蘇ってきた。
どうして・・・?
どうして、こんなことに?
次第に嗚咽が喉から漏れてくる。痛む身体を丸めて、澪は毛布を抱きしめて泣きじゃくる。苦しくて辛くて惨めで、澪は涙が止まらなかった。
あんな、まるで浮浪者みたいな男。
獣みたいな男。
汚らわしい、と澪は思った。彼女の周りにいる男性、とりわけ、父を訪ねてくる男性たちは、皆、スーツを着て物腰が丁寧で、澪に対してもとても礼儀正しかった。彼女が不快になるような言動など一切しなかった。
私は、何も悪いこと、してないのに。
お父さまだって、沢山の病気の人を助けている立派なお医者さんなのに。恨まれるようなことは何もしてないのに。
ひどい・・・!!!あんな男に・・・っ
誰か助けて!!
帰りたい・・・
言葉として思考が戻るまで、かなりの時間を要し、澪は、ゆっくり首を動かし、部屋に誰もいないことを確認する。
手も足もだるくて持ち上げることすら困難だった。
澪の腹部の辺りには薄い毛布が掛けられており、少し空気がひやりとしていることを感じて、澪は今、夜なのだと思う。
自分に一体何が起こったのか、澪にはさっぱり分からなかった。そして、受け入れられなかった。
陵辱。という事実を。
あまりのショックに感情が動かなかった。夢なのだと、悪夢をみているに違いないと、澪は何度も自分に繰り返す。
しかし、澪の身体は自分に起こったことを無慈悲に残酷に彼女に伝える。
涙、という方法で。
不意に澪の目からは次から次へと熱い涙が零れ落ちてきた。始め、澪は自分が泣いていることに気付かなかった。頭と身体がバラバラで、思考すらついてこなかったのだ。
頬に伝うものが涙なのだと知ったとき、澪の心に言葉が蘇ってきた。
どうして・・・?
どうして、こんなことに?
次第に嗚咽が喉から漏れてくる。痛む身体を丸めて、澪は毛布を抱きしめて泣きじゃくる。苦しくて辛くて惨めで、澪は涙が止まらなかった。
あんな、まるで浮浪者みたいな男。
獣みたいな男。
汚らわしい、と澪は思った。彼女の周りにいる男性、とりわけ、父を訪ねてくる男性たちは、皆、スーツを着て物腰が丁寧で、澪に対してもとても礼儀正しかった。彼女が不快になるような言動など一切しなかった。
私は、何も悪いこと、してないのに。
お父さまだって、沢山の病気の人を助けている立派なお医者さんなのに。恨まれるようなことは何もしてないのに。
ひどい・・・!!!あんな男に・・・っ
誰か助けて!!
帰りたい・・・
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