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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (永遠を抱いて) 123

 それから、数十年の歳月が流れる。
 小枝子は、それぞれ3つずつ年の離れた三人の息子を授かっていた。

 そして、落ち着いたのは南の島。隣人もいない小さな村。それでも、旅行者も訪れるそこそこ開けた町が近い穏やかな住処。

 二人は、遂に聖凛の一族、同じ運命を抱く仲間には出会えなかった。

 それでも、各地を放浪しながら、彼らは精一杯幸せに暮らした。各地で仕事もし、数年という短いサイクルでしか人々と交われなかったが、温かいものをたくさん得ることが出来た。

 子ども達は父親そっくりに成長し、各地で学校にも通った。普通の家族として、普通の幸せを満喫していた。





 やがて一番下の子が成人する頃、聖凛は体調を崩して、時々苦しそうな様子を見せるようになった。まだ、寿命にしては早かった。

 長い間の封印の影響が、時を経て表われたのかもしれない。

「聖凛・・・。」

 時々寝込んでしまう夫を心配して、怯える小枝子に彼は微笑む。

「大丈夫だよ。」

 聖凛は、少し休むと大抵翌日には調子を取り戻していたが、もう、それぞれ独立して二人の元から旅立っていた三人の息子に、小枝子は連絡を入れた。なんだか、不安で仕方がなかった。

 ほとんど自給自足の穏やかな生活の中で、それでも生活のための肉体労働は聖凛の体力をどんどん消耗させているようだった。

 ほどなく、一番上の息子が二人の元を訪ねる。

「ただいま、母さん。父さんの具合はどう?」
「ああ!おかえり、暁(あきら)。・・・ああ、あなたは元気そうね。」

 小枝子は、突然玄関先に現れた、とっくに自分の身長を追い越した背の高い息子を満面の笑みで迎える。彼は聖凛よりも輪郭や表情が柔らかく、むしろ小枝子によく似ていた。それでなのか、聖凛は彼を一番可愛がっている。

 母を抱きしめてその額にそっと唇を押し付けて、彼は、こんなことすると父さんにやきもち焼かれるよな、と笑う。

 そして、暁は、外で仕事をしている父に挨拶に向かう。
 小枝子はその姿を目で追いながら、久しぶりに親子で囲む食卓に、少し張り切って支度を始めた。
 父と息子は、何事かをしばらく話していた。




 
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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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