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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (桜) 86

 不意に、聖凛の声ではっと目を開けると、彼は何かを話し終えて受話器を置いたところだった。内線でフロントと話したところだったらしい。

「良いよ、まだ、ゆっくりしてて。」

 時間を気にして身体を起こそうとした小枝子の耳元で、聖凛は言う。いつの間にか、ローブはすっかり脱がされ、手を縛っていた紐も外されていた。そして、背後から聖凛の腕にしっかり抱かれ、小枝子はベッドでとろとろとまどろんでいたようだ。

「部屋を延長してもらったから、お昼を食べてから出よう。」

 少し開いたカーテンの隙間から見える空は相変わらず重い灰色だった。気だるい雨の日。桜を観て、外を歩き回っているときは入ってくる情報がいっぱいで考える暇がなかったが、こうやってぽっかり空いた時間、小枝子の心は虚空を彷徨ってしまう。

 どうして?を考え始め、自分が今何をすべきか?という問いに廻る。
 答えは出ない。
 何故なら、答えは彼女の中に在る。

「小枝子、余計なことは考えなくて良いからね。」

 聖凛の声にはっと我に返る。

「君に、隙を与えちゃダメだね。俺に鳴かされ続けたいのかな?それでも、構わないけどね、俺は。」

 聖凛の手がすい、と小枝子の胸とまだ少し湿ったままの秘部を捕える。

 ぞくり、と彼女の背筋が冷える。これ以上抱かれたら一人で歩くことも出来ないくらい疲弊してしまうことは分かっていた。

「ひゃ・・・っ、あぁっ・・・いやぁ!ごめんなさいっ」

 小枝子は叫んで、必死に彼の腕を押さえる。

「俺に壊されたいの?言っとくけど、決めたらもう俺は容赦はしないよ?」
「いやぁ!・・・ごめんなさいっ、ごめんなさい・・・っ」

 本気でぽろぽろ涙を零す小枝子の震える身体を後ろからぎゅっと抱きしめて、聖凛はくすくす笑う。

「バカだな、しないよ、そんなこと。」

 ぽかんと涙目で彼を見上げた小枝子の額にキスを落として、聖凛は身体を起こす。

「俺はちょっとロビーのパソコンを使ってネットで調べものをしてくるけど、小枝子、君はしばらく休んでいると良い。」

 小枝子が茫然としている間に聖凛はさっさと着替えを済ませる。

「ああ、・・・俺が誰に似てるか、教えてあげる約束だったね。」

 部屋の扉に手をかけたとき、思い出したように振り返って、聖凛は言った。

「俺の父親だよ。」
「・・・。」

 小枝子は、答えようがなくて、ぼんやりする。当たり前じゃない?と突っ込んで欲しいわけではないことだけは百も承知だった。




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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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そろそろ、いよいよ?

佳境に入りつつある、のでしょうか。
この先も楽しみです。

fateさんのサイトのリンクで、
いくつかの小説ブログを読ませていただきました。
いろんなのがあるなぁ。
私も妄想ストーリィは書くけど、
イマジネーション貧困だな、
なんてことが改めてよくわかりました。
#76[2011/10/03 11:44]  あかね  URL 

Re: そろそろ、いよいよ?

ありがとうございます(^^)

実はfateは訳ありでこのブログを本格的に稼働したとき、ものすご~く、物語に飢えていて、小説ブログの方がご訪問してくださったとき、その方を捕まえて訪問し、その方がリンクされている他作家さんなどを渡り歩いたり、小説ブログランキングを放浪して、高順位からけっこう果てしなく下りつつ、ぱっと心惹かれるブログタイトルを冠していらっしゃる方のブログを片っ端から訪問し、コメントを書きまくりました。
まぁ、コメントを書くに至った方は10分の1にも満たなくて、リンクを貼らせていただいて良いですか?とおうかがいした方は結局、現在の人数です。
もともと存じ上げていた方々のブログも中にはありまして、その方たちは本当に素晴らしい作家さん達ですが(小説サイトで知り合っていたので)、ブログだけでの掲載の作家さんも、素晴らしい方がたくさにらっしゃることを知ることが出来たのは嬉しいことでした。
放浪したお陰であかねさんのブログにも辿り着きました。
リンクを貼らせていただいている方々は、fateの超!お気に入りです。(と、初めに訪れた肩に片っ端からリンクのお許しをお願いしておりました。)
残りの方は…他にもかなり放浪はしておりますが、fate作品が‘倒錯’世界に走っているもので、ちょっと躊躇われるのが第一と、放浪してひょっとお邪魔する楽しみも残しておこう…ということですかね(^^;

ああ、何故、返信がこんなに長くなるやら…。
fateは日記的な記事がないから、欲求不満なのかも、です。

アダム~は、そうですね。一つの山場を迎えます。
っていうか、山場って普通一個しかないですかね。
お読みいただき、本気で嬉しいです(^^)

すみません、現在置かれている状況を無事終了し、晴れて解放されたら、fateも他作家さまの物語を読みに出かけます。
くっそ!まだ出かけられない!!!
悶えるわ~!!!

#78[2011/10/04 12:11]  fate  URL 

またひとつ鍵が…

こんにちは!

またひとつ鍵が現れましたね。
セイリンの父親…。
その父親をセイリンは憎んでいるのか愛おしんでいるのか…?
それもまた物語の鍵になるような気がします。

アダムの息子…その偉大なる呪われた始祖は…。
#599[2011/11/20 13:02]  有村司  URL 

Re: またひとつ鍵が…

有村司さん、いつもコメントありがとうございます。
そうですね~
聖凛のご両親。これはいずれ鍵となります。
なかなか鋭いご感想をいただき、いつも「わお!」とびっくりです。
へへへ~
最後、どんな風におっしゃるのか楽しみです(^^)

#605[2011/11/20 20:31]  fate  URL 














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