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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (休息) 74

 だるさが思考を妨げて、恐怖にさらされ続けることで、感覚はどんどん鈍っていく。彼の手腕は巧妙だった。

 二人が食事を終え、聖凛が片付けているとき、不意にドアチャイムが鳴り、小枝子はびくりとする。
また、隆一が・・・?

 聖凛もそう思ったのかもしれない。憮然、とした表情で玄関へ向かう。しかし、扉の向こうにいたのは奈々子だった。聖凛の姿を見て、奈々子は声をあげる。

「あれ~?聖凛?どうしてここに?」
「何か不都合でも?」

 なんとなく、憮然としたまま聖凛は答えた。

「いや、別に良いんだけどさ。」

 奈々子はちょっと意味ありげににやにや笑う。二人の秘密を遂に知ってしまった、とでも感じているらしい。

「ああ、そうそう!実はあたし、今、こっちに戻ったんだけど、今日の講義分のノート、小枝子に借りようかと思って。」
「小枝子も欠席だよ。」
「あれ?そうなの?」
「・・・あがれば?」

 ちらりと小枝子を振り返って聖凛は言う。小枝子は、二人の会話に慌ててガウンの襟を合わせた。
 一歩部屋に入り、ベッドの上の小枝子に、奈々子はちょっと驚く。

「風邪でもひいたの?」
「・・・あ、ううん。・・・えっと・・・あ、そう、なの。」
「熱でもあるの?」

 奈々子は遠慮無しに部屋に上がりこみ、迷わず小枝子のそばに寄って、傍に腰掛けた。彼女がここを訪ねるのは初めてではなかった。それほど頻繁に出入りすることはなかったが、小枝子が唯一部屋の中まで招き入れるのは奈々子くらいのものだろう。

 たまに、お互いの実家から送られてきたものを分け合ったししている。

「もう、大丈夫。」
「それで、聖凛が看病しにきてたの?・・・あれ?なんか、良い匂い~。」

 キッチンの鍋に向かって、奈々子は鼻をくんくんさせる。

「君に食べさせるために作ったんじゃないよ。」

 聖凛は皿を片付けながら尚も憮然と言う。

「ひゃあ、聖凛が作ったの?甲斐甲斐しい!え?もう、二人とも食べたの?あたし、お腹ぺこぺこなんだけどなぁ!」

 奈々子の悪びれのない態度に肩をすくめて、聖凛は残ったスープを奈々子によそってやった。
 


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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