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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (年越し) 52

 夏休みはずっと補講があり、家のお盆に顔を出しただけだったので、クリスマスから年明けにかけて、小枝子はゆっくり家に帰った。

 聖凛は、あの日、小枝子と出かけた日の夜から彼女の前に姿を現さなかった。それまで、小枝子も自分から聖凛に連絡を取ろうと考えたことがなかったので気にしたことはなかったが、彼は大学部の方なので、もともとそういうことはけっこうあった。だけど、今回は年末年始とアパートを空けることになるので、家に帰る、とひとこと断ってこなくて良かったのだろうか・・・と支度をしながらちょっと考えた。そして、そういうことを考えること自体に、不思議な気がした。 

 私は、聖凛をどう思っているんだろう?

 なんとなく、その答えはいつも奥底に潜んでいる気がする。それなのに靄がかかったように、そこへの道のりはあやふやだ。

 そして、あの初めの夜。

 聖凛が小枝子に施した呪術的な縛り。それが網の目のように彼女の自我意識の回りにヴェールのように張り巡らされているような気がするのだ。それが白く霞んだ幕となって、彼女の視界を常にぼんやりさせている。

 日常生活に支障は出ないので普段意識はしない。

 その痕跡を強く感じるのは、何か、曾祖母や聖凛自身に関わる記憶を辿ろうとするとき。それから、彼の腕に抱かれてやけつくような熱さを身体に感じるとき。

 それなのに、冷たい目で小枝子の抵抗をねじ伏せ、彼の意のままにその身体を抱く聖凛が、不意に切ない視線を落とすことがある。

 それは、小枝子が意識を失う刹那。或いは、不意に目覚めた真夜中の暗闇の中でその気配を感じることがある。
 そのときの、言葉には表せない複雑な気持ち。




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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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