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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (デート) 47

 心臓の鼓動はますます激しくなる。
 聖凛は、かなり洒落た造りの豪華なレストランの前で立ち止まる。

 小枝子がそれに気付いてぼうっとそのきらびやかなエントランスを見上げている間に、聖凛は気圧された様子もなく、彼女の肩を抱いたままごく普通に入って行く。 

「あ・・・、あの、聖凛・・・」

 驚いて、慌てて、小枝子は小さく叫ぶ。そのときになって、ようやく‘食事に行く’という彼の言葉を思い出した。

「私、その・・・そんなにお金が・・・」
「俺が誘ったんだから、ごちそうするよ。」

 聖凛は笑って小枝子の頭を抱き寄せた。反射的にかああっと頬が熱を持つ。

 係りに席に案内されて、丸いテーブルに二人は向かい合って座った。おどおどと周りを見回すと、場違いなところに来ている気がして、小枝子は気が気ではない。席に就いている客は皆、ある程度の正装をしており、普段着姿なのは聖凛と小枝子だけだ。それでも、聖凛はまだ白いシャツとパンツ姿なので、ちょっと崩した程度の正装に見えないこともない。彼女はブランド物でもない、ただの着古したワンピース姿だった。

 メニューを渡されて小枝子はどぎまぎしたままそっと開く。
 材料名と共に料理の名がずらりと並んでいる。コース料理のメニューのようで、見方が分からず、小枝子は茫然とした。そして、メニューに値段がついていないことに気付いた。これでは何を頼んで良いのかすらさっぱり分からない。

「小枝子、肉類、魚介類なんでも大丈夫?」

 聖凛がメニューを見ながら思案顔をする。恐らく彼の方のメニューにはしっかり金額が表示されているのだろう。そういえば、聖凛はどこかの企業の社長子息ではないかとの噂を聞いたことがあった。こういう店での食事は、彼にとっては日常のことなのだろうか。

「あ・・・あの、肉はあまり・・・」
「じゃ、彼女には魚介類を中心に、軽い食材で。俺はメインをこれで・・・」

 聖凛は慣れた様子でウェイターにメニューを返す。




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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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