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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (怒り) 41

 それまで小枝子は、聖凛を本気で恐ろしいと感じたことは、本当にはなかったのだと、その夜、初めて知る。そして、彼もまた、小枝子に対して本気で怒ったことも実はまだなかったのだと。

「君はどうも俺の言うことが聞けないようだね、小枝子。」

 壁際に追い詰めて小枝子を捕らえ、その身体を押さえつける腕の、いたわりのカケラもない強さ冷たさに、小枝子は心底震え上がった。声のトーンの低さ、静けさは、そのまま彼の心の炎の揺らぎを換気させる。

「誰が、君の心の内を他人に打ち明けて良いと言ったのかな?」

 片手で小枝子の喉を締め上げながら、ひどく静かな声で聖凛は微笑む。

「俺は君に、‘余計なことを考えるな’と言ったよね?」

 青ざめすっかり血の気を失っている小枝子の唇を指でなぞりながら、聖凛はぞっとするほど冷たい視線を落とす。

「加賀見先生は同情して慰めてくれたかい?いつでも相談においで、って?」
「・・・ゆ・・・許し・・・」

 小枝子は恐怖に声が震え、押さえつけられた喉が苦しくて、ほとんど言葉を紡ぐことが出来ない。彼の手を解こうとするのではなく、ただ、苦しさに喘いで、小枝子は聖凛の腕にしがみつく。



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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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