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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (堕ちた闇の中で) 31

 4度目の新月の夜。

 その日が、そうであることを、小枝子は忘れていた・・・というより、もう、考えることを諦めていた。

 帰宅すると汗を洗い流すためにすぐにシャワーを浴びて、小枝子はもうほとんど外出もせず、かといって勉強するわけでもなく、ぼんやりと部屋で本を読んだりテレビを観たりして過ごすことが多くなっていた。

 その日も、夕食を軽く済ませ、シャワーを浴びると寝巻き代わりの大き目のTシャツを羽織り、お茶を飲みながらぼうっとテレビ画面を眺めていた。

 9月の初め。まだ、夏の暑さが夜まで残っている季節で、裸でいてもじっとりと汗がにじむような気温だった。
 その夜、まだ宵の内に、聖凛が小枝子の部屋を訪れた。

 玄関の扉の開く音に、小枝子は、もうあまり驚きもせず、彼の姿を認める。その日、彼はスーパーの買い物袋を抱えていて、その中には小枝子の冷蔵庫にいつもあるミネラルウォーターのボトルが入っていた。

 小枝子は、座っていた小さなソファから反射的にそっと立ち上がる。
 聖凛は、そのペットボトルをキッチンの床に置いて彼女を振り返った。

「そういえば、小枝子、先月、家に帰ってたんだったね。」

 その声色に、びくりと小枝子の身体が反応した。

「どう?何か分かった?俺の弱点でも見つけて、逃げる算段をするための材料は?」
「・・・ちっ・・・違う・・・。」

 だけど、小枝子はそう言葉にして言われて、自分が知りたかったことはそういうことだったのだと知った。
 曾祖母のことを知りたかったのは、彼の秘密を探るため?

「何が分かったの?言ってご覧?」

 黒いシャツに真っ黒なジーンズ姿の聖凛。黒くつややかな髪に漆黒の瞳が闇に光っている。

「・・・何も。」

 近づく聖凛から、小枝子は無意識にじりじりと後ずさる。それでも、彼の近づく速度の方が断然早かった。あっという間に彼の腕に捕えられ、小枝子はその触れられた部分からどんどん身体が冷えていくような感覚を味わう。

「俺には、もう逆らわないんだったよね?」

 小枝子の顎を片手でつかんで、その震える唇にキスを落とす。深く舌を押し入れ、ゆっくりと中を舐めまわす。Tシャツの下は無防備な素肌で、下着の上には何も穿いていなかった。
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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

~ Comment ~


>このジャンルは、ほぼ、かなり以前に描いているもので、うわぉ! いったい誰が描いたんや? ってくらい、違和感あります。

limeさんへのfateさんのコメ返を見て、納得しました。
西幻は今まで読んできたfateさん作品と少し文章の感じとか雰囲気が違う、と思ってたんです。「アダムの息子たち」は、空気感が少し薄いかな、と感じました。

fateさんの作品で西幻が感じているもの…異常な状況の中での「錯覚」にも似た愛情・恋情と、親を求める子供のような渇望(のようなもの)、それにプラスして性愛。「アダムの息子」たちもそんな雰囲気の中で進んでいくんでしょうか…。


>やっと、少し‘変態'モードをoffにしつつあるのに…

えぇぇっ!それはつまらない…

>っていうか、おお! 爆笑してくださいましたか! でも、fateは何が笑われたのか分からないっ

これはですねぇ、爆笑というか、「ついニヤニヤしちゃった」のです。

「すでにローズがものすご~く渋い顔をしてこっちを睨んでいるのが見えて、スミレが大爆笑していて、奈緒ちゃんがなんとなくおろおろしております。」

というところで…。スミレと一緒に爆笑しちゃったぃ!

あーなんかでも、西幻の中ではスミレってローズの保護者的な役割のように見えたんですね、「花籠」で。その「保護者的」な雰囲気というのが私はとても惹かれるみたいで、「ああ、もっとローズを守ってあげて、スミレ!」とか思っちゃうんです。でもローズには奈緒ちゃんがいるわけですが、「心に深い闇をもっているローズを守ってあげられるのはスミレしかいない!奈緒ちゃんじゃまだ無理だよーん」とか思ってしまうんです。

「悪魔の花嫁」ってちゃんとしたラストがなかったように記憶してるんですが…。きっと作者は収集つかなくなって最後どうしたらいいのかわからなくなったんだわっ。それか編集者ともめてちゃんとしたラストをつけられないまま連載打ち切りになったとか。

と思ってアマゾンで検索してみたら「悪魔(デイモス)の花嫁―最終章」というのが出てました。ひえ~。

ええと・・・
西幻は「limeさん一派」でしょうか??
うん、たぶんそうでしょうねぇ。
えぇぇぇ!「もう一個のヤバい世界」って!?
うーん、楽しみ…(ドヒャ

>もしかして、竹宮恵子さんとか…あの人!清水玲子、高河ゆん、河惣益巳さんなどお好きでした?

高河ゆんさん以外は…
「ど真ん中のストレート!」でございます。
とくに竹宮さんのマンガは学生時代にはまりましたからね~。

「徹底的な破滅」というのは西幻も書いてみたい…
しかし、「しっかりした決着」というのをつけると、下手するとリアリティ崩壊すると思いませぬか?そこんところ、難しいよな~と思うんですけれど…。でもたしかに読者としては「しっかりした決着」がつかないと「後味わるい」というのはあるかも…。

「物語の中だけでも良い人だけで溢れさせたい」っていうの、西幻も激しく同感っす~!やっぱそうじゃないとね、書いてても楽しくないのですよね…。
#895[2011/12/12 14:48]  西幻響子  URL  [Edit]

西幻響子さまへ

西幻響子さん、

> 西幻は今まで読んできたfateさん作品と少し文章の感じとか雰囲気が違う、と思ってたんです。「アダムの息子たち」は、空気感が少し薄いかな、と感じました。

↑↑↑えええぇっ?? 薄いですかっ? fateは変態モード全開だったかと思っておりました…(・・;
皆様よくご存じのとある方が、これは『○恋物語』だと表現してくださいましたが、その的確な捉え方に、おお! と感嘆いたしました!

> fateさんの作品で西幻が感じているもの…異常な状況の中での「錯覚」にも似た愛情・恋情と、親を求める子供のような渇望(のようなもの)、それにプラスして性愛。「アダムの息子」たちもそんな雰囲気の中で進んでいくんでしょうか…。

↑↑↑ものすごいことを言われた気がします。
まさに、これがfateの物語すべてに流れるテーマですね。しかもっ!!
この『アダム~』がfateの原型です。ここで実は何もかもすべて言い尽くしてしまっているので、その後に生まれた世界は、この中の一点だけを強調したり、誰かの作品に影響されてそれを取り込んで更にある一つのことに焦点を絞ったり…というその繰り返しです。
これは、fateがfateとして世界を描き始めた最初の作なので、一番訳が分からずに進んで、一番何もかもを込めたfsteそのものが投影されている世界かも知れません。

> あーなんかでも、西幻の中ではスミレってローズの保護者的な役割のように見えたんですね、「花籠」で。

↑↑↑おおおおっ! またまたfateはびっくりっ
今、『花籠 3』を執筆中ですが、まさにそんな感じで始まっていきます。実は‘2’にはローズも奈緒ちゃんもスミレも出てきません(^^; また別のグループのハナシです。
あの3人だけだと世界が狭くなりすぎて病み方が足りない!
やはりfateは‘闇’(=病み)が足りないと世界が健全すぎて発狂するので(--;(どーしよーもねぇなぁ…)

> しかし、「しっかりした決着」というのをつけると、下手するとリアリティ崩壊すると思いませぬか?そこんところ、難しいよな~と思うんですけれど…。でもたしかに読者としては「しっかりした決着」がつかないと「後味わるい」というのはあるかも…。

↑↑↑なるほど~。リアリティを持たせつつ破滅させる。そして、謎を残さない。
初めはそうだったんだけど、あ、謎を残さない、という方。
いろんな作家さまの作品を拝読させていただいている内に、必ずしもそれは必要じゃないかも、と思うようになりました。読者の想像力に任せるとか、‘救い’を残すために。或いはfateの場合、僅かの‘狂気’を残すために。
それと、徹底的な悲劇、というのにも憧れるのですが、描いてる途中でfateがくじけそうな気がして。だけど、何気に物語の主導権はfateにはないので、突き進む時は引きずられて泣きながらでも描き上げざるを得ないのであろう。
なんか、怖いよ~
誰か、そういことを秘かに目論んでいる気がして…

やはり、ご存知でしたか~(^^)
竹宮さんはしかし『地球へ…』で泣きましたわ~

なんか、いっぱいコメントいただき、fateは朝から無駄にテンションあがってます~(^^)

#900[2011/12/13 08:24]  fate  URL 














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