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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (おしおき) 28

「きゃああぁぁあっ」

 その痛みとおぞましさに、全身がぞうっと総毛立った。呼吸が乱れ、頭が真っ白になる。

「あ・・・あ・・・っ!・・・い・・・イヤ・・・、お願い・・・やめて!・・・やめて!」

 小枝子の目からは涙があふれる。その感覚はただただおぞましかった。鳥肌が立つ、という感覚を初めて体験した。耐えられなかった。

「他に、言うことは?」

 優しい声で、聖凛は小枝子の顔を覗き込む。

 彼がどんな言葉を引き出したいのか、小枝子には分からなかった。意識はずっとそこに集中し過ぎていて、それから逃れることしか考えられない。指先を入れられているだけで、吐きそうに苦しい。

「いや・・・あ、あぁ・・・っ」
「他に、言うことは?」

 一段、冷たい声で、彼は繰り返す。ぐい、と指先が少し奥へと進む。ぞくっと背筋に悪寒が走り、その痛みに小枝子はもう声も出ない。硬直した身体からじっとりと汗がにじみ、息をうまく吸えなくて、呼吸困難に喘いでいた。

「二度と、俺から逃げようなんて考えないと誓えるかな?」

 聖凛の声が遠くで響くようににじんで聞こえる。

「・・・ち・・・誓います。」

 涙声で喘ぐように、小枝子はただ繰り返す。

「もう・・・逃げようなんて・・・しません。」
「本気で言ってるのかなあ?」

 不満そうな声が上から降ってくる。ずい、という感じに指が動き、びくん、と小枝子の身体には更に力が入る。もう、限界だった。苦しくて痛くて、そして怖くてただ涙があふれてくる。

「許して・・・、許して。お願い・・・します。もう、逆らったりしないから・・・。」

 小枝子は小さく首を振り続けて哀願する。
 他にどうして良いのか、彼女には何の考えも浮かばない。

 しばらくその様子を黙って見下ろしていた聖凛は、不意に、すっと指を抜く。おぞましい感覚が消え去り、小枝子はがくがくと全身から緊張が抜けた。がちがちに固まっていた身体にようやく血が廻り始めるのが分かる。

 それでも、その違和感はずっとそこに残り続け、震えが止まらなかった。

「シャワーを浴びておいで、小枝子。」

 そう言われて気が付くと、いつの間にか、聖凛はベッドの脇に立って、彼女を見下ろしていた。

 がくがくと震えたままの身体をゆっくり起こして、放心したように小枝子は彼を見上げた。涙が流れ続けたまま、彼女は自分の感情すらもう把握できない。



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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

~ Comment ~


んんん~。なんとも威圧感。
今まで読んできたキャラよりも、不気味さと恐ろしさが大きいですねぇ。
でも、なんか好きだなあ、聖凛。
この青年が、普段普通に健全な振りをして大学生をやってるのを想像するのも楽しいです。
いや、もしかしたら、そんな健全な面も、真実なのかなあ・・・とか。
それもまた、切ないです。
この後どんな顔を見せてくれるのか、じわじわ、通ってまいります^^
#360[2011/11/04 18:33]  lime  URL  [Edit]

limeさまへ

limeさん、こちらは、恐らくfate自身、今読み返すと「ううむ…」となりそうな作品と思われます(^^;
このジャンルは、ほぼ、かなり以前に描いているもので、うわぉ! いったい誰が描いたんや? ってくらい、違和感あります。
まぁ、過去の作品って大抵、あとで読み返してびっくりしますな。良くも悪くも。

聖凛は一番、異様な人物かも。
まぁ、あまりに長い生を生きていると、どうしてもひねくれちゃうよな~
いろんな意味で…。

(また、いろいろ言いたくなってしまったので、口を閉じます!…まったく油断もすきもない! ←誰が? (--;)




#366[2011/11/05 08:27]  fate  URL 














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