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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (帰郷) 22

 途中の駅で電話を入れ、実家に戻った小枝子は、その夜の夕食の席で、おばあちゃんの実家の神社を訪ねてみたいと言い出した。

「おばあちゃんの実家?・・・どうして急に?」

 父も母も怪訝そうだった。もう社会人の姉も不思議そうに妹を見る。

「うん、ちょっと聞きたいことがあって・・・。」
「まあ、別にそれは構わないけど・・・。」

 母はご飯を口に運び、そしてふと言った。

「そういえば、ひいおばあちゃんは、あんたが生まれたとき、やっと後継者が出来たと喜んだそうだけど・・・、結局、あんたにもそういう徴候は表れずじまいだったわね。」
「えっ?」

 と小枝子は驚いた。

「それ、どういう意味?」
「あんたが生まれたとき、巫女の力を引き継ぐ者が生まれた、ってそのときひいおばあちゃんは言ったそうよ。まあ、でも、その後、間もなく亡くなるくらいお年だったから、それを望むあまり、夢でも見たんじゃないか、って今ではそういう話になっているそうだけど。」
「私に、何かそういう・・・徴が、あったの?」
「全然。」

 母は笑った。

「そういう力みたいなのは・・・なんていうのか、修行とか、訓練に寄って引き出されるものじゃないかとお母さんは思うわ。血とか、関係なく、素因を持った子が。血筋が関係あると思われているのは、そういう家に生まれた子は、そういう環境で育っているからでしょう?あんたがあの神社で生まれ育って、ひいおばあちゃんと一緒に暮らしてたら、そりゃ分からないけど、こんな遠く離れた地で、普通の生活してたら、いくら直系とはいえ、あまり関係ないんじゃないのかしら。」
「・・・そうか。」

 小枝子はなんだかほっとした。

「それが、訪ねたい理由?」
「・・・それだけじゃないんだけど。」

 小枝子のどこか元気のない様子に母は心配そうな視線を向ける。

「大学で何かあったの?」
「ううん。違うの。」

 小枝子は慌てて微笑んだ。

「ただ、そういう時代的なものをテーマにレポートを書かなきゃならなくて。ちょうど良いかな、って思っただだけ。」




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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

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