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Stories of fate


アダムの息子たち(R-18)

アダムの息子たち (契約) 6

 小枝子が目を開けてみると、見慣れた部屋の天井が視界にあった。ぼんやりとした状態で、彼女はここは自分の部屋だと思う。ベッドのシーツの感触も、違和感はない。

 あれ?・・・私はどうやってここへ帰って来たんだっけ?
 確か、奈々子たちと飲んで・・・。

 そこまで考えて、小枝子は顔をしかめた。なんだか、頭の奥に鈍い痛みがあった。

 二日酔い?
 帰り道の記憶がなかった。
 そもそも、そんなに飲んだ覚えはない。

「やっとお目覚め?」

 不意に、耳元で男の声がして、小枝子ははっとする。瞬間、全身が緊張するのが分かった。

「・・・誰っ?」

 かすれる声で小枝子はその声のした方向に視線を移す。
 そこにいたのは、聖凛だった。

 彼女のベッドのすぐ脇の壁に寄りかかり、腕を組んで彼女をじっと見下ろしていた。小枝子はぞうっと背筋に冷たいものを感じ、身体が強張る。

「・・・どうして・・・ここに?」
「君をここまで送ってあげたんじゃないか。」

 聖凛は冷たい微笑を浮かべる。
 言われて、小枝子は帰り道で突然睡魔に襲われ、道端に倒れそうになったことを思い出した。

「・・・あの・・・」

 お礼の言葉を言わなければ、と思って口を開きかけたのに、その言葉が喉元で止まってしまった。身体を起こした彼女は、何も身につけていなかったのだ。

「・・・っ?」

 小枝子は、あまりの状況に自分の身体を抱きしめてかがみ込んだ。がちがちと音が聞こえるくらい身体が震える。

 何故、こんなことになっているのか、さっぱり分からない。

「確かめただけだよ、小枝子、君が約束の、俺の探していた女なのかを。」

 聖凛は、彼女の怯えた様子には構わずに言う。

「君は、黒田家の巫女の一族の末裔だね。」

 小枝子は、黒田という名前に覚えがあった。祖母の旧姓が確かそんな名前だった。

「俺を殺そうとしたあのばあさんの曾孫だろう?」

 そう言った彼の声のトーンは一気に低くなった。それはぞっとするような冷たい声だった。

「・・・こ・・・殺そうと・・・?」

 小枝子は、その、物騒な言葉が自分にまったく結びつかなくて、ただ震える声で繰り返してみた。

「そう。確かに、俺は、彼女に殺されかけた。お陰で、自由に動けるようになるまで、随分かかったからね。」

 その声はどこまでも冷たい。感情のカケラもないような、湖の底から響くような声だ。

「ねえ、小枝子・・・。」

 聖凛は、彼女に近づいてきて、うつむいて震えている彼女の顔を覗き込む。

「君に、その対価を払ってもらうよ。それで、君の一族への報復はおしまいにしてあげる。そういう、約束だったよね?」



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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[ファンタジー小説

~ Comment ~


はじめまして
blackoutと申します

まだ序章のようですが、不穏な気配が満載ですねw

自分は好きです、こういう世界観w
#2430[2012/09/22 00:00]  blackout  URL 

blackoutさまへ

blackoutさん、

ほほう、良いお名前ですねぇ!
「暗転」
フフフ。
好きです、その語感。

> 自分は好きです、こういう世界観w

↑↑↑ありがとうございます(^^;
が、はい、世界観は確かに・・・世界観として確率しておりますがっ!
これ、R指定入りまくりのちょっと今更fate自身も読み返せない赤面ものになってますのでっ
・・・まぁ、これが「官能」ものを手がけた最初だったので、アラは見逃してください(^^;
はははは・・・
#2432[2012/09/22 08:37]  fate  URL 














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