<※:R-18>
~異形の神の子~
聖書から抹消された異端の神の子孫がいた。
アダムが自らの子孫と交わって生まれた人の形をした魔物。
母親は誰の娘だったのか、もはや記録はない。その母親ごと、史実から消えてしまったのだ。
その子どもは、美しい若者に成長し、一見するとどこもおかしなところのない普通の青年だった。ただ、彼はその姿から年をとらなかった。寿命が尽きて‘死’を迎える瞬間まで、彼の姿は若々しく、その心も若者のままだった。
人々はその奇妙さを恐れた。
羨望が渦巻いた。
彼が生ませた子どももまた、成長して父親に負けない美しい青年となった。そして、彼もまたそれ以降年を取らずに死んでいった。
その気味の悪い血筋は、そこで絶えたかに思われた。
それで、史実からは抹消された。
しかし、彼の子孫は秘かにその血を受け継ぎ続けていた。
何千年も、脈々と。
一つ不思議なことは、彼の子孫は、必ず男児しか生まれないということ。命を受け継ぐべき女児は決して誕生しない。故に、その一族の男たちは、外へ出て女性をさらって来なければならない。自らの命を受け継ぐ子宮を得るために。
それは或いは、濃くなりすぎた‘血’が生んだ初めての遺伝病の類だったのかもしれない。遺伝子の重複や欠損など、老化のスイッチが入らない仕組みを得てしまった結果と、男性化を促すホルモンの過剰。
それでも、そういう知識のなかった時代に、彼らは異端だった。生命の枠をはみ出た悪魔の使いと恐れられ、迫害を受けた。
そうして、その一族は恨みを引き継いでいく。
人々を呪い、憎み、同じ神の血を分けた子孫だったということを忘れていく。
~異形の神の子~
聖書から抹消された異端の神の子孫がいた。
アダムが自らの子孫と交わって生まれた人の形をした魔物。
母親は誰の娘だったのか、もはや記録はない。その母親ごと、史実から消えてしまったのだ。
その子どもは、美しい若者に成長し、一見するとどこもおかしなところのない普通の青年だった。ただ、彼はその姿から年をとらなかった。寿命が尽きて‘死’を迎える瞬間まで、彼の姿は若々しく、その心も若者のままだった。
人々はその奇妙さを恐れた。
羨望が渦巻いた。
彼が生ませた子どももまた、成長して父親に負けない美しい青年となった。そして、彼もまたそれ以降年を取らずに死んでいった。
その気味の悪い血筋は、そこで絶えたかに思われた。
それで、史実からは抹消された。
しかし、彼の子孫は秘かにその血を受け継ぎ続けていた。
何千年も、脈々と。
一つ不思議なことは、彼の子孫は、必ず男児しか生まれないということ。命を受け継ぐべき女児は決して誕生しない。故に、その一族の男たちは、外へ出て女性をさらって来なければならない。自らの命を受け継ぐ子宮を得るために。
それは或いは、濃くなりすぎた‘血’が生んだ初めての遺伝病の類だったのかもしれない。遺伝子の重複や欠損など、老化のスイッチが入らない仕組みを得てしまった結果と、男性化を促すホルモンの過剰。
それでも、そういう知識のなかった時代に、彼らは異端だった。生命の枠をはみ出た悪魔の使いと恐れられ、迫害を受けた。
そうして、その一族は恨みを引き継いでいく。
人々を呪い、憎み、同じ神の血を分けた子孫だったということを忘れていく。
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