Stories of fate


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業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

業火 あおいそら 48

 突然行方をくらませた基に、葵の家族も更に基の父も大騒ぎだった。

「いったい、どういうつもりなんだ」父は青ざめ、「どうして? 何が気に入らなかったの?」と母は泣きそうだ。

 何かを知っていそうなのが葵だったため、母も父も何度もいろいろなことを聞いた。行き先に心当たりはないのか、何故引き止めなかったのか、と。しかし、葵にも答えられる何もなく、基の居場所を知りたいのは彼女の方だった。

 時差も気にせず国際電話で基の父親から苛立った電話があったとき、葵は思わず叫びそうになった。

「今更そんな風に心配するくらいなら、どうして、もっと早く基の心を救ってくれなかったの?」と。
「基は、女のお前とは違う。この家の跡取りなんだ」と父親は言った。

 跡取り? 子どもは家を継がせる道具? 家の名前の存続のためだけに男の子である基を引き取り、息子の心の傷を一切顧みることなく演じる良い子に満足していたのか?

 抑えきれない暗い怒りが湧き起こってきた。

「基を返してよ!」

 受話器を叩き付け、葵は叫んだ。

「基を返して!」
「葵?」

 娘の様子に母は驚き、慌てて抱きしめた。真夜中の静寂の中だった。

「葵、落ち着いて」
「基、基、基…っ、どこに行ったのよぉぉぉっ!」

 うわあああ、とまるで子どものように声をあげて泣き出した葵に、母は言葉を失う。
 違う。これは、母である自分の罪だ。

「葵…ごめんね」母の声は震えた。「ごめん、葵。一番悪いのはお母さんだったね。基のことをあんたに任せっきりにして、ちゃんと向き合ってあげなかった。ごめんね、ごめんね、葵」

 だけど葵にとって、周囲の喧騒は単なる騒音にすぎなかった。彼女は彼女自身の嵐に立ち向かうだけで精一杯だったのだ。



 時間の経過と共に、葵には基の声が聞こえるような気がした。冷たい態度の裏側で、ガチガチの鎧の内側で、幼い子どもの基が膝を抱えてうずくまっている姿が見える。

 基は、私に助けを求めていたのだ。

 基は、―止められない狂気を、止められない欲望を、私に受け留めて消し去って欲しかった。知りたい、と言いながら、私は基の何も理解してあげられなかった。彼が本当に苦しんでいることを気づかない振りをして、常識という刃物を振りかざし、彼の心を傷つけた。

 基は、…ただ、愛して欲しかっただけなのに。ただ、愛したかっただけなのに。


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[恋愛:エロス:官能小説

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