「三者面談? 何、それ?」
義母の疲れたような声が遠くに聞こえる。
「進路なんて、好きに決めて良いのよ。あたし達は干渉はしないわよ」
小学校、中学校と両親は学校へ顔を出したことは遂に一度もなかった。息子の成績にも学校の評価にも関心がなく、彼が普段何を考え、どんな思いをしているのかすら、まるで知ろうとしなかった。
親の関心を引きたいがため、問題児になる子どもが多いのに、基はそうはしなかった。周囲の大人たちが、こぞって彼を褒めるので、褒められる良い子でいることが、大人の気に入る子どもなのだと思い、親に愛されたいがために、必死に優等生を演じ続けてきたのだ。
そして、彼らの愛情を得ることをすっかり諦めた頃、優等生の仮面はすでに彼の衣服というよりは、身体の一部となって彼の本当の心を覆い隠してしまっていた。
自らの傷にすら気付くことが出来ない。
その奥で闇はどんどん暗さを増し、傷は膿み、腐敗し、すべての感情を曖昧にさせてしまった。
校内では成績優秀、部活でも活躍する模範生。しかし、一歩外へ出ると、彼は手当たり次第に女の子を誘い、身体を求め、相手が本気になって付き纏うようになると、手ひどい裏切り方をして捨てていくということを繰り返していた。
それは、彼を捨てた母、彼をまったく省みない義母への復讐に他ならない。
彼は‘家族’という存在の意味を知らなかった。
義母の疲れたような声が遠くに聞こえる。
「進路なんて、好きに決めて良いのよ。あたし達は干渉はしないわよ」
小学校、中学校と両親は学校へ顔を出したことは遂に一度もなかった。息子の成績にも学校の評価にも関心がなく、彼が普段何を考え、どんな思いをしているのかすら、まるで知ろうとしなかった。
親の関心を引きたいがため、問題児になる子どもが多いのに、基はそうはしなかった。周囲の大人たちが、こぞって彼を褒めるので、褒められる良い子でいることが、大人の気に入る子どもなのだと思い、親に愛されたいがために、必死に優等生を演じ続けてきたのだ。
そして、彼らの愛情を得ることをすっかり諦めた頃、優等生の仮面はすでに彼の衣服というよりは、身体の一部となって彼の本当の心を覆い隠してしまっていた。
自らの傷にすら気付くことが出来ない。
その奥で闇はどんどん暗さを増し、傷は膿み、腐敗し、すべての感情を曖昧にさせてしまった。
校内では成績優秀、部活でも活躍する模範生。しかし、一歩外へ出ると、彼は手当たり次第に女の子を誘い、身体を求め、相手が本気になって付き纏うようになると、手ひどい裏切り方をして捨てていくということを繰り返していた。
それは、彼を捨てた母、彼をまったく省みない義母への復讐に他ならない。
彼は‘家族’という存在の意味を知らなかった。
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