Stories of fate


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業火 ~fell fire~(Rewrite編)(R-18)

業火 futari 34

 葵がぼんやり覚えているのは、基に抱きかかえられて運ばれた感覚だけだった。未明のまだ外は暗い時間帯だったが、とっくに新年は明けていた。すっかり茹で上がってのぼせそうなほど、二人でお湯に浸かっていたのだから、基も相当体力を奪われていた筈だった。それでも、彼は葵を部屋まで連れて行き、もう何かを身につける気力もなく、そのままベッドに倒れこんで、一緒に眠り込んだ。

 二人が目を覚ましたのは、夕刻だった。

 先に目覚めた基は、階下へ降りて留守電の点滅を見た。そして留守電に残っていた母からのメッセージを聞き、彼女が何度も電話を入れ、心配していたことを知った。その母の声色から基は母が何かを感づいたらしいことを知る。

「不味いな」基は呟く。心配した彼らは、予定を切り上げて戻ってくる可能性がある、と彼は思った。
「葵」まだ基のベッドで寝息を立てている葵を揺さぶる。「葵、起きろ」

 ぼんやりと目覚めた姉に、基は言った。

「家中を掃除するぞ」
「ん…なんで?」
「君の家族が帰ってくるかも知れない」

 それでも、葵はまだ寝ぼけたままだった。

「リビングとかお風呂場とか、片付けないとね」

 まだよく分かっていない葵だったが、身体を起こして頷いた。濡れたまま眠ったせいで、葵の髪の毛はあちこちに跳ね上がっている。それを見て、基は僅かに甘い気持ちになる。

「ああ。それより、まず、何か食べようか。さすがにお腹が空いたな」

 それを聞いた途端、葵はお腹が鳴った。
 う、…そ、そうか、いったいいつから食べてないんだっけ?

「今、何時?」
「4時だよ。夕方のね」
「えっ」
「俺は掃除を始めるから、君、何か作ってくれる?」

 葵は、ふるりと頭を振った。

「ま、待って。…それ、逆の方が良いと思う」
「そんなことは分かってるよ」基はもう腕をまくって掃除をする支度を始めている。「お風呂場は換気して、すっかり空気を入れ替えたり、天井も拭いたりした方が良いから、君には身長が足りないんだ。ほら、これ着て」
「あ…そう」

 葵は、ため息を吐いてのろのろと弟が差し出してくれた服を身につける。扉に手をかけた基はふと振り返って葵を見つめた。

「そうだ、葵、君、なかなか激しかったね」
「…え」
「あんなに乱れるなんて、驚きだったよ」

 にやりと笑みを見せて基は扉の向こうに消えていった。

「え、え?」

 その途端、葵は今朝方のことを思い出す。浴槽の中での情事を。しかし、その間の記憶がどうも曖昧で、とにかく最初から最後まで頭がぼーっとして、ただ身体が熱く火照っていたことしか明確には覚えていない。それでも、彼女自身がどんな風だったのかは分かっていた。そこに在ったのは純粋な欲情とお互いがお互いを求める激しい情熱、いや、肉欲だっただろうか。動物としての繁殖欲ではなく、人間としての支配欲だった。

 そのとき、葵は感じたのだ。基と彼女が「同じモノ」であることを、お互いを貪りつくして、寸分違わずに上りつめた頂で。身を寄せ合って寄り添って過ごした時間があったことを。母の胎内で共に過ごした双子として。

 しかし、それは、基が使ったと言っていた媚薬の効果だったのだ、と葵は思っていた。あれは錯覚に過ぎない。だって、これは、‘弟’だ。恋情を抱く筈がなかった。そして、その弟は、冷たい瞳の奥に孤独の影がひそんでいるケモノでしかない。

 だけど、と。葵はふと思った。彼は葵にないものをいっぱい持っていた。尊敬に値する多くのものを。


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[恋愛:エロス:官能小説

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