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Stories of fate


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儘 (『花籠』外伝)

儘 第三部 2

「なんだよ、どうした?」

 はっと目を開けると椿の顔が間近にあった。

「…椿」

 同じ顔。同じ声。だけど、これは、明かに彼が知っている‘椿’だった。

「椿?」
「お前が呼んだんだぞ」

 龍一の枕元に腰を下ろし、呆れたような声色で椿は言った。

 そうだ、ここは―。椿の母方の実家だと言っていた。まだ身体を起こして周囲を見たことがないため、外の景色は分からない。しかし、明るい日中にすらほとんど人の声も聞こえないところを見ると、相当な田舎であろうことだけは想像に難くなかった。

「俺は…何を? 君を呼んだ?」
「うなされてたよ」
「何か言ってたか?」
「さあ。通り掛ったとき、声が聞こえただけだ」

 周囲は静かだった。今は真夜中だろう。しかし、椿はまったくの普段着姿だった。

「…君、出掛けるところだったのかい?」
「なんで?」
「いや―」

 思わず目をそらした龍一の視線の先を追って、椿は立ち上がって障子の引き戸を薄く開けた。その隙間から月の明かりが差し込んでくる。柔らかい青白い光だ。その傍らにそっと佇み、椿は壁に背を預けて龍一を見下ろした。

「…夢をみた」
「そうだろうな」

 龍一は不意に笑みを浮かべた。それを見て椿は怪訝な顔をする。

「なんだよ、気持ち悪いな」
「いや、なんか惜しいことをした」
「何がだ?」
「君が夜這いに来た夢だったんだ」
「それは…夢の話か?」
「たった今、君とここで―」
「やめろ、気色悪い」

 本気で不快さを浮かべた椿の表情にどこかホッとして、龍一は僅かに声を立てて笑った。

「なんで、俺は素直に君に抱かれなかったんだろう?」
「変態か、お前は!」
「君が殺してくれるんだったら―」
「それは俺じゃない」椿は静かに言った。
「お前が見たのは俺じゃなかったんだよ」

 龍一は驚いて彼を見つめた。

「それは、俺の姿を借りたお前自身だ」

 ぱちんと何かが頭の中ではじけた気がした。

「いつまでも死にたがってんじゃねぇよ」

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