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Stories of fate


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儘 (『花籠』外伝)

儘 3 

 傷が回復してくると、春樹は、自分を助けた相手が随分と得体の知れない人間であることが分かってきた。彼は運動能力がずば抜けて優れているだけのごく普通の男だったが、白髪の老人と暮らしているらしいこの家の主は、見た目は日本人と思われるのに、ときに彼には理解出来ない不思議な言葉を使い、食事の内容も、生活自体もとても変わっていた。

「君、名前は?」
「…春樹」

 あまりに相手の得体が知れないため、姓を名乗るのを憚られた。ようやく身体を起こして食事が出来るようになった頃だった。それでなくても、頻繁に彼の病床を訪れていたその男は、不思議な薬草入りのスープと玄米の粥をまずそうにすすっている春樹のベッドの脇に、わざわざ椅子を持ってきて腰かけている。

「どう書くの?」
「季節の春に樹木だよ」
「へえ、じゃあ、椿だ」
「何、言ってんの、春樹だって」
「木偏に春だったら椿じゃないか」
「なんだって字を勝手に組み合わせるんだ!」

 相手のどこかズレた物言いに、春樹は苛立つ。

「怒るなよ。君、年はいくつさ?」
「聞いてどうする」
「どうもしないよ、なんでそんなに怒ってるんだい?」
「…19だよ」
「え、じゃあ、俺と同じだ」

 まぁ、そんなところだろうな、と春樹は思う。しかし、例え彼が16歳だと言っても、こいつは「同じだ」と言いそうな気もした。

「お前は?」
「だから19だって」
「名前だよ」
「ああ―」相手は一瞬だけ躊躇ったが、不意ににこりと微笑んで答えた。「花篭龍一。字はそのまんまさ」
「変な名前だな」

 龍一はふふ、と笑った。その笑顔がひどく幼く見えた。

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