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Stories of fate


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儘 (『花籠』外伝)

儘 1

「無茶をするね」

 目を開けると、そう言って覗き込む二つの瞳と出会った。

「…誰―だ」

 春樹ははっと身体を起こそうとして、背筋に脳天を貫くような痛みを感じて呻き声を上げる。

「動けやしないよ、そんな状態で」

 目を細める相手の笑い声に苛立ちながら、春樹は苦痛をこらえて周囲の空気を探る。薄暗く奇妙に静かな空間。どこか古い家屋の匂いがする。ベッドの傍らで彼を覗き込んでいたのは、春樹と年のそう変わらない若い男だった。これ以上ない漆黒の瞳と闇色の髪の毛が、むしろ幻想的に彼の存在を曖昧にさせている。

「ひどい汗だ」

 男の手がすうっと春樹の額に伸び、彼は反射的にそれを払って全身を強張らせた。腕を上げただけで引きつるような痛みが身体全体を貫き、苦悶の色を浮かべながらも彼の眼には警戒の光が明滅している。一瞬、その拒絶に意表を突かれた表情を浮かべた男は、すぐに「ふふ…」と屈託のない笑みを浮かべた。

「手負いの獣のようだね。さしずめ黒豹といったところかな」
「俺に触るな」呻るように低く春樹は相手を睨みつける。
「触らないけど」男は背後から小さなスプレー缶のような物を取り出した。「どうも、眠ってもらわないと治療すらさせてもらえそうにないみたいだね」
「な―」

 シュッと鼻先に何かを噴きかけられて、しまった、と感じたときには遅かった。

「少し眠った方が良いよ。その傷、尋常じゃないからね」

 意識が遠のく刹那、男の静かな声が少し嬉しそうに明るく響いた、気がした。

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