Stories of fate


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虚空の果ての青 第一部

虚空の果ての青 (狩られた仔猫) 7

 優は、周りの空気の違和感にはっと目を開ける。
 目に映ったのは、白く高い天井。明らかに普通の部屋ではない豪華な蛍光灯。そして、不思議な模様の白い壁紙。

 こ…ここは、どこ?

 ゆっくり身体を起こして恐る恐る辺りを見回すと、そこは、彼女が見たこともないような綺麗な作りのホテルの一室だった。部屋はひとつで仕切りはなかったが、空間を区切るような造りの奥にプライベート・ルームのように寝室があり、彼女はその端に置かれている広いベッドの上に寝かされていた。

「起きた?」

 不意に聞いたことのある声が聞こえて、優は飛び上がりそうになった。
 さきほど、登校を待ち伏せて優の腕をつかんだ人物に間違いなかった。

 一瞬僅かに視線だけを素早く走らせたが、優の目には人影は映らなかった。どこから声が聞こえていたんだろう?と震えながら彼女は身体をこわばらせる。心持ち、後ろへとじりじり後ずさってみる。

 人の気配を感じない。

 そっと部屋の様子を見回す。恐らく出入り口の扉と思われる方向には、簡易的なキッチンとダイニングが見える。そこにも人の姿は見当たらない。しかし、部屋の造りは広く、ドアまでの距離はかなりあった。それでも、そこまで辿り着ければ…と、優は思った。

 固まっていた手足になんとか力をこめて、優はベッドから飛び降りるように一気に駆け出した。
 恐怖に足がもつれ、必ず追って来るであろう気配に怯え、無我夢中だった。

 優の背後の窓際に佇んでいた樹は、ドアの方向を確認して、逃げる態勢に入った少女の様子をじっと観察していた。そして、案の定、ドアに向かって駆け出した彼女をゆっくりと追った。

 優は、辿り着いたドアを震える手で必死に開けようとしていた。ドアノブをめちゃくちゃに回して、扉を押したり引いたりする。僅かにドアが開いたが、何かが引っ掛かってそれ以上扉は開かない。

 内側から出るときのロックはなかったが、チェーンがかかっていた。ホテルの部屋など入ったことのない優は、それの外し方が分からないのだ。扉を閉めないでチェーンを外そうとしているので、当然外れない。

 優が慌てふためいている間に、樹はくすくす笑いながら追いついた。

「優ちゃん、反対だよ。こっちにスライドさせないと開かないよ」

 背後から、チェーンを握る優の腕を捕え、樹は優のお腹に手をまわした。

「きゃあああっ…いやあっ」

 ぐらりと視界が揺れ、優は倒れそうになる。

「いや…あ…助けて…いやあっ」

 小さな声で、優は許しを請う。すでに、呼吸が乱れ始め、全身からざあっと一気に血の気が引く。ずるずると崩れ落ちた優の小さな身体を抱きとめて、樹は耳元にささやく。

「無駄だよ、優ちゃん? この部屋は防音がかなりしっかりしてるからね。助けはないよ。良いかい? 俺の言うことをよく聞いて?」

 熱い吐息が髪を揺らし、男の口が耳に触れそうなほど近いことを感じる。
 それだけで、普段はもう耐えられはしないはずだった。嫌悪に息が苦しくなり、気が遠くなるのだ。しかし、優はそのとき、彼の声がまるで内側から響くように意識を捕らわれていた。

「俺の名前は、樹。ここは俺が年間契約で借りているホテルの部屋。ホテルの人間は俺が呼ばない限りはここには来ないし、助けはないよ?」

 樹は、パニックに陥って、ほとんど彼の話を聞いていないらしい様子の腕の中の少女を、不意に抱き上げ、ぐい、と自分の方に顔を向けさせる。

「優ちゃん、良いかい? よく聞いて? 俺は普段は父親の系列会社を手伝っている。年収は、まあ、そこそこ。で、何を言いたいかというとね、優ちゃん? そんな風に誰にも心を開けない君に、ちょっと興味を持ってね」

 間近に男の顔。それだけで優は思考がまったく停止してしまった。

「どう? 優しくするから、俺に抱かれてみない?」


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まとめtyaiました【虚空の果ての青 (狩られた仔猫) 7】

 優は、周りの空気の違和感にはっと目を開ける。 目に映ったのは、白く高い天井。明らかに普通の部屋ではない豪華な蛍光灯。そして、不思議な模様の白い壁紙。 こ…ここは、どこ? ゆっくり身体を起こして恐る恐る辺りを見回すと、そこは、彼女が見たこともないような...
[2012/05/02 00:28] URL まとめwoネタ速suru

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