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Stories of fate


Sunset syndrome

Sunset syndrome (バカか、俺…) 21

 はっと目を開けるとそこは真っ白な天井と、白い壁。

 どこだ、ここっ?
 天井が視界に広がってるってことは、俺は仰向けに寝ているんだと思って、身体を起こそうとして「いってぇぇっ!」と叫ぶ。どこが、って、どこもかしこも痛かった。

「月斗くんっ、何してんのっ」

 ええ? 夕陽?
 声のした方に顔を向けると、そこに泣き腫らした顔をした夕陽が俺を睨みつけていた。

「あ、…夕陽、お前いったいどこに…」

 顔を動かすとなんだか、背中が痛い。頭が痛い。いったい何がどうなってるんだっけ?
 確か、夕陽を追っかけてあちこち走り回って、そして…

 思い出した!
 俺は、あの男の姿が目に入った途端、かああっと頭に血が上ってあいつ目掛けて殴りかかっていたのだ。夕陽を返せ! と叫びながら。

「知らねぇよ、そんな女。お前、頭おかしいんじゃないのか?」

 相手は薄ら笑いを浮かべたまま俺を適当になぎ払い、数人の仲間も加わって、よってたかって俺を殴り、蹴りつけ、俺が動けなくなったのを確認すると去っていった…らしい。

 まぁ…夕陽がここにいるってことは、あいつにとってはまったくの濡れ衣で…言いがかりをつけられて怒ったのは、むしろ当然で…

 それに、今思えば、あの男があのとき夕陽を攫おうとした男と本当に同一人物だったか? というところまで定かではない。似た風貌の関係ないやつだった可能性もある。

 はぁぁぁぁっ、と俺はため息が出た。

「バカか、俺…」
「本当にバカよ」

 夕陽が俺の傍らに座って、泣いているような声で言った。

「…ごめん、夕陽。本当に頭が冷えたよ」

 俺は言った。祝福してやろう、と心かえら思えた。親父にも「おめでとう」を言ってやりたい。

「親父は?」
「部屋に書き置き残してきたから、もうすぐこっちに来ると思う」
「…君は、あれからどこに行ってたんだい?」

 すると、夕陽はちょっと顔を赤らめた。

「良いじゃない、そんなこと」
「なんでだよ。そもそも…」

 言い掛けて、俺ははっとして黙った。そうだ、もう何もかも今更だ。

「いや、良いよ。君が無事で分かった。…親父は…まだかな」

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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[コメディ・恋愛

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