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Stories of fate


Sunset syndrome

Sunset syndrome (父の帰宅) 16

 こんだけ複雑な思いでいたのに、父の帰宅は相当間抜けだった。
 いや、息子が危篤だなんて電報を打たせた俺が悪い。
 それは、反省する。
 しかし…おい、親父。それはないだろう…




 一応、俺のアパートの住所は控えていたらしい。まぁ、そりゃ、そうだ。夕陽に教えたくらいなんだから。しかし、危篤と言ったら普通は病院にいると思うのが普通だろう? いや、その可能性を考えないでくれたことは、確かに有り難かった。

 空港から、いや、もしかしてその前から親父はかなり取り乱していたらしく、飛行機の中で乗客アテンダントに、タクシーの運転手に、とにかく帰路の道々会う人に父は、息子が死にそうで急いで日本へ戻る途中だと切々と訴え続けてきたそうだ。

 お陰で、たくさんの励ましと言付けと、見舞いの品を抱えて、彼は俺のアパートの前で半分泣きながら佇んでいた。どこの新興宗教の勧誘かと思った。

「…親父?」

 その日、たまたま買い物途中の夕陽と会って、友人宅から戻った俺が一緒に部屋に帰ると、そこには大荷物と共に花束やらお守りやら訳の分からない物を山ほど抱えた見るからに怪しいオヤジが途方に暮れて立っていたのだ。

「月斗っ、お前…まさか、お前、…幽霊か? もう、間に合わなかったのか?」

 あまりの親父のその呆けっぷりに、夕陽も感激の再会を演じそびれて、思わず、ぽかんとしてしまう程だった。そして、後々、思い出す度に、夕陽は大笑いしている。


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[コメディ・恋愛

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