Stories of fate


Sunset syndrome

Sunset syndrome (受難) 4

 翌日朝食を済ませてから、俺は大学へ向かう道すがら、しばらく放ったらかしにしていた恋人に連絡を入れてみる。

 彼女は専門学生で、俺がたまに行く喫茶店でアルバイトをしていた。そこで、去年の春に、オーダーしたコーヒーを思い切り俺にぶちまかしてくれて、…まぁ、それがきっかけで知り合った。

 彼女は美容師になる夢を抱いていた。来年、卒業予定の彼女は、そろそろ喫茶店のバイトは辞めて、美容院で研修できるところを探したいと言っていた。
 電話をすると、かなり鳴らしてから、やっと彼女は出てくれた。

「…はい」

 心なしか声が暗い。

「あ、…俺。どうした? 慶子、元気なくない?」
「何の用?」
「…え? どうしたんだよ?」

 いきなり不機嫌な彼女に俺は慌てる。

「しばらく連絡しなかったのは悪かったけど、卒論仕上げるんだって、言ってただろ?本当に忙しかったんだよ」
「知ってるよ、そんなこと。あたしが何で怒ってるか、分かんないの?」

 冷たい声に、俺は心当たりを探してみる。

 え?最後に会ったとき、時間に遅れて行ったこと? それとももっと前に一緒に出かけたときに、彼女のスカートにアイスクリームを溢しちゃったこと? いや、もっと前、彼女に手渡そうとした500円玉を側溝に落っことして見つけられなかったことかな?

「…分かんないんだ」
「いや、ちょっと待って! …ええと…」
「もう、良いよ」
「なんだよ、一体何怒ってんだ? 俺が何かしたか?」

 瞬間、慶子は息を吸い込んだ。

「女と暮らしてるんでしょ? もう、良いよ。いくらあたしだって、あんな知らされ方されたら傷つくんだからね!」

 プチ!ツーツーツー…。

「ちょ…ちょっと待てよ! あれは違うんだって…っ」

 切れた電話に何を言っても仕方がないのに、道端に立ち尽くして言い訳を叫んでいる自分に気付いて俺は思わず辺りを見渡す。

 あんな知らされ方…って、どんなのだ?
 俺は携帯電話を握り締めたまま茫然とする。そして、不意に昨夜の夕陽の言葉がイヤ〜な感触で蘇ってきた。
 なんか、友達が訪ねてきたとか、言ってた…?

 俺はダッシュでアパートに戻る。

「夕陽っ」

 玄関の扉を開けて、俺は叫ぶ。

「は〜い」

 と、彼女は明るく出て来た。手には洗濯洗剤を持っている。洗濯の最中だったようだ。

「おいっ、君さぁ、夕べ何か言ってなかった?俺の友達がどうとか…」
「え?…あ、うん。月斗くんが図書館に行っているとき、女の子が訪ねてきたから、『今、図書館に出かけました。』って…」
「それで?」
「…ええと、どちら様ですか?って言われて、『母です。』って答え…」
「その女の子って、こう、ポニーテールした色白で、20歳くらいの子?」
「うん、そう。月斗くんの彼女なんでしょ?」

 俺は、目の前が真っ暗になる。

「なんで、そんなことを言ったんだよ…」
「…だから、…ええと、ごめんなさい。やっぱり、怒ってるの?彼女…」
「そりゃ、怒るわ! っていうか、どうせならもっとちゃんと説明しろよ!!!」
「…ごめんなさい」

 ここで夕陽を責めたって仕方がない。俺は、再度、慶子に電話を掛けてみたが、何度コールしても、もう彼女は出てくれなかった。

 今度会ったら、しっかり説明しよう…と俺は一旦大学へ向かった。せっかく仕上げた卒論を提出してしまわなければいけなかったし。

 はあぁぁ…、と俺は、登校の道中、思わずため息がもれた。


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[コメディ・恋愛

〜 Comment 〜


どうもです。最果ての覇王です(^^)

まぁ彼女さんにとってもこれは悲しいことですよねぇ。家に女がいて、母親だとかいわれてもねぇ。

まぁ、私は夕陽さんみたいな女の人好きですが←何言ってやがるww

続きを楽しみに後日もお邪魔します♪

ではでは(^^)
#1794[2012/03/03 23:45]  最果ての覇王  URL 

最果ての覇王さまへ

最果ての覇王さん

> どうもです。最果ての覇王です(^^)

↑↑↑おおう、いらっしゃいませ〜〜

> まぁ彼女さんにとってもこれは悲しいことですよねぇ。家に女がいて、母親だとかいわれてもねぇ。

↑↑↑まったくっすよ。こっちこそ、「はああ?」って感じですね(−−;

> まぁ、私は夕陽さんみたいな女の人好きですが←何言ってやがるww

↑↑↑おお、そ、そうですか?
人は悪くないんだけど、常識がズレてるんでしょうかね、このヒト(^^;

> 続きを楽しみに後日もお邪魔します♪
> ではでは(^^)

↑↑↑ありがとうございます〜〜〜(^^)
#1800[2012/03/04 09:46]  fate  URL 

fateさん、お加減はどう?
私もぼちぼちと、遊びにきますので、返信とかは急がなくていいですよ〜。

それにしても、この展開、おもしろい。
こうなったらどこまで月斗くんが苛められるのか、じっくり見てみたい。
いや、夕陽さんはそんなつもりはないんでしょうが。

やっぱり月は、陽には勝てないかな^^
#1974[2012/04/01 16:14]  lime  URL  [Edit]

limeさまへ

limeさん、

> fateさん、お加減はどう?

↑↑↑ありがとうございます!
いや、たぶん、大丈夫です。(と、朝はいつも思う(−−;)
少しずつ放浪開始させていただきます。
今週くらいには復活出来ると思ってます!!!

> それにしても、この展開、おもしろい。

↑↑↑そ、そうすか?
なんとなく誰も悪気はないのに、変な風に進んで行くって、割と恋愛モノには多いっすよね。
皆さん、恋愛の最中ってテンパっているのかなぁ。
少し、落ち着けばいろいろ見えるし分かるのに、思い込みって周囲からは笑えます。
いや、月斗の場合は特に、です。
チカラワザだ〜〜〜 と、いろいろな方におっしゃられましたので。ふふふふ。

> やっぱり月は、陽には勝てないかな^^

↑↑↑おおおおおっ、さすが天体好きのlimeさんのお言葉は違う!
ちょっと感動しました。
そう言われてみれば、そうじゃん。
ははははは。
まぁ、頑張れ、月斗!
#1977[2012/04/02 07:34]  fate  URL 














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