翌日朝食を済ませてから、俺は大学へ向かう道すがら、しばらく放ったらかしにしていた恋人に連絡を入れてみる。
彼女は専門学生で、俺がたまに行く喫茶店でアルバイトをしていた。そこで、去年の春に、オーダーしたコーヒーを思い切り俺にぶちまかしてくれて、…まぁ、それがきっかけで知り合った。
彼女は美容師になる夢を抱いていた。来年、卒業予定の彼女は、そろそろ喫茶店のバイトは辞めて、美容院で研修できるところを探したいと言っていた。
電話をすると、かなり鳴らしてから、やっと彼女は出てくれた。
「…はい」
心なしか声が暗い。
「あ、…俺。どうした? 慶子、元気なくない?」
「何の用?」
「…え? どうしたんだよ?」
いきなり不機嫌な彼女に俺は慌てる。
「しばらく連絡しなかったのは悪かったけど、卒論仕上げるんだって、言ってただろ?本当に忙しかったんだよ」
「知ってるよ、そんなこと。あたしが何で怒ってるか、分かんないの?」
冷たい声に、俺は心当たりを探してみる。
え?最後に会ったとき、時間に遅れて行ったこと? それとももっと前に一緒に出かけたときに、彼女のスカートにアイスクリームを溢しちゃったこと? いや、もっと前、彼女に手渡そうとした500円玉を側溝に落っことして見つけられなかったことかな?
「…分かんないんだ」
「いや、ちょっと待って! …ええと…」
「もう、良いよ」
「なんだよ、一体何怒ってんだ? 俺が何かしたか?」
瞬間、慶子は息を吸い込んだ。
「女と暮らしてるんでしょ? もう、良いよ。いくらあたしだって、あんな知らされ方されたら傷つくんだからね!」
プチ!ツーツーツー…。
「ちょ…ちょっと待てよ! あれは違うんだって…っ」
切れた電話に何を言っても仕方がないのに、道端に立ち尽くして言い訳を叫んでいる自分に気付いて俺は思わず辺りを見渡す。
あんな知らされ方…って、どんなのだ?
俺は携帯電話を握り締めたまま茫然とする。そして、不意に昨夜の夕陽の言葉がイヤ〜な感触で蘇ってきた。
なんか、友達が訪ねてきたとか、言ってた…?
俺はダッシュでアパートに戻る。
「夕陽っ」
玄関の扉を開けて、俺は叫ぶ。
「は〜い」
と、彼女は明るく出て来た。手には洗濯洗剤を持っている。洗濯の最中だったようだ。
「おいっ、君さぁ、夕べ何か言ってなかった?俺の友達がどうとか…」
「え?…あ、うん。月斗くんが図書館に行っているとき、女の子が訪ねてきたから、『今、図書館に出かけました。』って…」
「それで?」
「…ええと、どちら様ですか?って言われて、『母です。』って答え…」
「その女の子って、こう、ポニーテールした色白で、20歳くらいの子?」
「うん、そう。月斗くんの彼女なんでしょ?」
俺は、目の前が真っ暗になる。
「なんで、そんなことを言ったんだよ…」
「…だから、…ええと、ごめんなさい。やっぱり、怒ってるの?彼女…」
「そりゃ、怒るわ! っていうか、どうせならもっとちゃんと説明しろよ!!!」
「…ごめんなさい」
ここで夕陽を責めたって仕方がない。俺は、再度、慶子に電話を掛けてみたが、何度コールしても、もう彼女は出てくれなかった。
今度会ったら、しっかり説明しよう…と俺は一旦大学へ向かった。せっかく仕上げた卒論を提出してしまわなければいけなかったし。
はあぁぁ…、と俺は、登校の道中、思わずため息がもれた。
彼女は専門学生で、俺がたまに行く喫茶店でアルバイトをしていた。そこで、去年の春に、オーダーしたコーヒーを思い切り俺にぶちまかしてくれて、…まぁ、それがきっかけで知り合った。
彼女は美容師になる夢を抱いていた。来年、卒業予定の彼女は、そろそろ喫茶店のバイトは辞めて、美容院で研修できるところを探したいと言っていた。
電話をすると、かなり鳴らしてから、やっと彼女は出てくれた。
「…はい」
心なしか声が暗い。
「あ、…俺。どうした? 慶子、元気なくない?」
「何の用?」
「…え? どうしたんだよ?」
いきなり不機嫌な彼女に俺は慌てる。
「しばらく連絡しなかったのは悪かったけど、卒論仕上げるんだって、言ってただろ?本当に忙しかったんだよ」
「知ってるよ、そんなこと。あたしが何で怒ってるか、分かんないの?」
冷たい声に、俺は心当たりを探してみる。
え?最後に会ったとき、時間に遅れて行ったこと? それとももっと前に一緒に出かけたときに、彼女のスカートにアイスクリームを溢しちゃったこと? いや、もっと前、彼女に手渡そうとした500円玉を側溝に落っことして見つけられなかったことかな?
「…分かんないんだ」
「いや、ちょっと待って! …ええと…」
「もう、良いよ」
「なんだよ、一体何怒ってんだ? 俺が何かしたか?」
瞬間、慶子は息を吸い込んだ。
「女と暮らしてるんでしょ? もう、良いよ。いくらあたしだって、あんな知らされ方されたら傷つくんだからね!」
プチ!ツーツーツー…。
「ちょ…ちょっと待てよ! あれは違うんだって…っ」
切れた電話に何を言っても仕方がないのに、道端に立ち尽くして言い訳を叫んでいる自分に気付いて俺は思わず辺りを見渡す。
あんな知らされ方…って、どんなのだ?
俺は携帯電話を握り締めたまま茫然とする。そして、不意に昨夜の夕陽の言葉がイヤ〜な感触で蘇ってきた。
なんか、友達が訪ねてきたとか、言ってた…?
俺はダッシュでアパートに戻る。
「夕陽っ」
玄関の扉を開けて、俺は叫ぶ。
「は〜い」
と、彼女は明るく出て来た。手には洗濯洗剤を持っている。洗濯の最中だったようだ。
「おいっ、君さぁ、夕べ何か言ってなかった?俺の友達がどうとか…」
「え?…あ、うん。月斗くんが図書館に行っているとき、女の子が訪ねてきたから、『今、図書館に出かけました。』って…」
「それで?」
「…ええと、どちら様ですか?って言われて、『母です。』って答え…」
「その女の子って、こう、ポニーテールした色白で、20歳くらいの子?」
「うん、そう。月斗くんの彼女なんでしょ?」
俺は、目の前が真っ暗になる。
「なんで、そんなことを言ったんだよ…」
「…だから、…ええと、ごめんなさい。やっぱり、怒ってるの?彼女…」
「そりゃ、怒るわ! っていうか、どうせならもっとちゃんと説明しろよ!!!」
「…ごめんなさい」
ここで夕陽を責めたって仕方がない。俺は、再度、慶子に電話を掛けてみたが、何度コールしても、もう彼女は出てくれなかった。
今度会ったら、しっかり説明しよう…と俺は一旦大学へ向かった。せっかく仕上げた卒論を提出してしまわなければいけなかったし。
はあぁぁ…、と俺は、登校の道中、思わずため息がもれた。
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