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Stories of fate


花籠 4

花籠 4 (終幕) 52

 しばらく安静にしているかと思った椿は、一日休んだと思ったら、翌日にはすぐに悠馬と共に『花籠』本部へ赴き、龍一と新たな組織作りに奔走を始めた。

 その後、間もなく悠馬は『スムリティ』本部へ戻って行ったが、椿はしばらく日本に残ることに決めたらしい。
 結局、李緒のアパートは引き払って、彼女は正式にジャスミンの家に移り住んでしまった。

 そして、李緒のコードネームは、ジャスミンが与えた。
 李の字をそのまま使って‘すもも’だ。

「それって、花じゃなくて、果物じゃないのか?」

 と、椿は不思議そうに言ったが、「良いんだよぉ、どうせ、俺はそれ使わないし。彼女は李緒ちゃんだからね」とジャスミンは笑う。

「花篭は元気なの?」
「やつは意気消沈している暇なんてないよ。まだまだやらなきゃならないことだらけだからな」

 椿は目を細めた。

「お前のお仲間はどうなんだ?」
「うん、牡丹も退院したし、まぁ、なんとかやってるよ」

 牡丹は、退院した足で、相棒と別れたあの現場へ向かった。まだ血の跡がうっすら残っていたが、そこは静かな住宅の一画に戻っていた。
 彼が呼ぶと、相棒は比較的すぐに顔を出した。

「ああ、良かった、無事で…」

 そろそろと彼は近寄ってきたが、牡丹は一瞬躊躇した。

「…今まで、自由で良かったろ? 君がずっとここにいたいんなら、それで僕は構わないよ。時々会いにくるし…」

 しかし、牡丹が言い終わらない内に、蛇は一瞬の躊躇いもなく、彼が伸ばした腕にするすると絡みついてきた。

「…え、でも…その、良いのかい? また、カバンに閉じ込められて不自由な生活に戻るんだよ?」

 更に牡丹が言い終わらない内に、彼は、牡丹が抱えてきたいつものカバンに、勝手に隙間を見つけてするするっと戻っていった。
 牡丹は、胸が詰まって一瞬言葉を失った。

「そっか。また、一緒に仕事しような」

 涙が滲んで視界がぼやけ、牡丹はそれを手の甲でぬぐって微笑んだ。


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[短編小説

~ Comment ~


そうだそうだ。龍ちゃん、サボっている暇はない。
椿、どんどんハッパかけてやってよ。

てか、椿も頑丈なお父さんですね。
李緒ちゃんもみんなと一緒に住めるようになって良かった。
で、ジャスミン2世は・・・

fateさんが焦っている(?)脇を通り過ぎて、
牡丹に退院おめでとうと、相棒とのつながりの復活おめでとう^^
#1909[2012/03/19 16:14]  けい  URL 

けいさまへ

けいさん、

龍ちゃんも、少しは働かないとやっていけないし、時間が空くといろいろ考えちゃうだろうから、少し動かないとね。
‘竹’の生まれ故郷にでも赴いたんではなかろうか?

> てか、椿も頑丈なお父さんですね。

↑↑↑言われてみれば…
こいつは、殺しても死なないでへらへらしてそうである意味怖い(--;

> 李緒ちゃんもみんなと一緒に住めるようになって良かった。
> で、ジャスミン2世は・・・

↑↑↑なんだか、一気に終結させちゃったので、細かいことは語られずしまいでした。
気が向いたら、そういうことも外伝で…
なんて、いつ気が向くやら(^^;

牡丹と相棒もなかなか好きでした。
きっと今後も仲良くやってくでしょう!
はい、若いので回復が早くってさっさと退院してきました~~~
ありがとうございました~~~

#1911[2012/03/19 18:31]  fate  URL 














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