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Stories of fate


花籠 4

花籠 4 (終幕) 48 

 兵呉は、白崎から奇妙な連絡を受けて以来、落ち着かなかった。会長の名前で呼び出され、奇妙なメッセージを受け取り、幽霊に出会った。このままじゃとり殺される、と彼は喚き、二度と本社とは関わりたくないと電話を切られた。

 何を言ってるんだ? と食い下がろうとしたが、遅かった。いずれ、白崎はおかしな妄想にとり憑かれているようだ。あの暗殺者を忌み嫌い、通訳もご免だと帰った挙句、今後、二度と連絡を寄越すなという。

 いったい何がどうなっているのかさっぱり分からなかったが、彼にも薄々感じていたことがある。

 連日世間を騒がせている通り魔や発砲事件や爆破事件。これだけ立て続けに通常では起こる筈のない事件が続いている。これもすべてあの暗殺者が関わっているとしたら、もしかして、不知火はとんでもない化け物を抱えてしまっているのかも知れない。

 そこに至ってようやく恐ろしくなってきたのだ。

 会長も‘アリョーシャ’を少なからず持て余している様子が窺えるし、一刻も早く『花篭龍一』を始末して帰ってもらった方が良いだろう。

 そんな矢先、‘アリョーシャ’が言ったのだ。今夜、龍一の放った刺客がやってくるかも知れない、と。或いは本人が堪えきれずに姿を現すかも知れない、自分が迎え撃つために、最上階を無人にしておいて欲しいと。

 不知火親子は大喜びでその夜は関連のホテルに宿を取った。

 彼らはまさか‘アリョーシャ’が殺られるとは露ほども考えてはいなかった。その存在すら知らなかったとはいえ、極北の人間というだけで一目置いていたし、彼の活躍は情報としては得ていた。そして、日本の『花籠』という組織の存在は、実を言うとあまり実感が湧かずに、更に日本にプロの暗殺者がいるとは考えが及んでいなかった。

 翌朝、彼らが目にしたのは暗殺者の死体と薬の作用で動けなくなっている彼の部下の姿だった。


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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~


予告どおり、運命を握られてしまった白崎。お気の毒様。手を引いて正解でしたね。

殺伐とした風景・・・。後始末はそっちで宜しくね。
これに懲りて、もう悪さはしないように?
#1871[2012/03/13 18:07]  けい  URL 

けいさまへ

けいさん、

はい、やっと! すべては終息に向かいます。
でも、不知火が手を引いただけで、アリョーシャが死んだだけで、組織そのものは生きていて、そういう闇の根源は絶つことは出来ない。
日本企業はバカだから、またどっかが似たようなことを仕出かすかも知れないし、暴力団グループが資金源としてどうしても利用しているんだろう。

と、こういう架空の世界じゃなくっても、現実は悲しい。
#1876[2012/03/14 07:31]  fate  URL 














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