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Stories of fate


花籠 4

花籠 4 (オーケストラの奏で) 40

 ここに情報がすべて繋がった。ジャスミンの、正確には李緒からの情報で、椿は概ね‘彼’であることを推測した。そして追ってもたらされたローズが決死の思いで得た最終情報。

 これで、危険を犯してターゲットの潜伏先を探る必要も、所在の確認も必要なくなった。気付かれないように闇に紛れる必要すらない。もともと優位な彼は、刺客の到着を待って迎え撃つつもりだろう。しかも、占い師の最後の占いだ。彼は、そこで椿を待っている、という明確なビジョン。

 彼に勝てる要員は今現在『花籠』にはいない。それを、椿が誰よりも分かっていた。

 宵闇が辺りを包み込む。すでに、不知火の本社ビルに待機していた椿が、最期の指令を受けて侵入を試みようとしていた。しかし、今回、急な展開のためにセキュリティの解除をする間がない。そして、囮となる人間も連れてきてはいなかった。

 東京の町並みを見下ろす最上階の窓。ローズが見覚えがあると感じたのは、彼が以前に請け負った仕事で、ここを思い浮かべた人間がいたからだ。死者の思念を辿って行き着いた魔の巣窟。不知火の人間に恨みを抱いて死んでいった人間は数知れない。

 殺るか殺られるか。…いや、経験、実力とも向こうが上だ。勝てるチャンスがあるとすれば、本気で相手の一瞬の隙を突くこと。…まぁ、十中八九無理っぽいけど? せめて、深手を、いや、戦闘能力を下げる程度に、龍一が逃げられる程度に怪我を負わせることが出来れば…。

 白く高い壁を見上げてすうと息を吸い込んだとき、不意に赤い人影が警備を突破して中へ走りこんだのを見た。
 その軽やかな身のこなしに、椿は最初ジャスミンかと思った。しかし、違った。女だ。

 そして、分かった。ここ数日、ずっと彼に張り付いていた何者か、知っている気配のようで、しかも敵意がないので放っておいた人物であろう。おそらくそれが、彼女だったのだ。

 彼女は彼女なりに役割を考え、椿の協力をすることで報復を果たそうとしているのだろうか。

「アイリス…毒を操る女豹か」

 通りすがりに、彼女は警備の人間を次々眠らせていく。一陣の風を感じた瞬間には視界が暗くなっているという状態らしい。

 そして、警備の人間のポケットから探った鍵で、中へ入り込む。

 カメラが作動して、当然の如く、警備室に待機していた警備員がやってくる。女一人にさすがに警報ベルまでは鳴らさないようだ。

 彼女を取り押さえようと警備員が大騒ぎをしている隙をついて、黒い影が彼らの背後を横切っていった。
 

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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~


椿が一人で乗り込もうとしているところへアイリスがサポートなんて、粋です。

どこへ行っていたのかと思ったら、無駄なく追っていたのですね。さすが。

これで椿はターゲットに集中できる? で、それでどうなるのですかっ。

もー、近づいてるでしょうこれ・・・
てか、椿が対峙するのですか。ドキドキ・・・
#1820[2012/03/06 17:24]  けい  URL 

けいさまへ

けいさん、

> 椿が一人で乗り込もうとしているところへアイリスがサポートなんて、粋です。
> どこへ行っていたのかと思ったら、無駄なく追っていたのですね。さすが。

↑↑↑そうおっしゃられてみると、今回、皆、好き勝手に動いているやつが多いっすね(・・;
気付かなかった。
よくそれで、命令系統が生きていたわ。びっくりだ。
さすがに羽鳥ちゃんもすべてを把握していた訳じゃないだろうし。
はははは。

> てか、椿が対峙するのですか。ドキドキ・・・

↑↑↑たぶん、そうでしょう。
たまには役に立たないとね、椿も(^^;
#1823[2012/03/07 07:59]  fate  URL 

前話でローズと奈緒が、なんとか無事らしいのを見届けて、ホッとしました。
fateさんも、鬼ではなかった!
(いやきっと、奈緒ちゃんを失いたくなかったのだと読者Lは思う)
でも、ハラハラしたなあ~><

さあ、いよいよ、椿の出番ですね。
アイリスが補助までしてくれるのだから、失敗は許されない。
しかし、敵はいったい誰?
椿、大丈夫なんだろうか。
#1825[2012/03/07 09:11]  lime  URL  [Edit]

limeさまへ

limeさん、

> 前話でローズと奈緒が、なんとか無事らしいのを見届けて、ホッとしました。
> fateさんも、鬼ではなかった!

↑↑↑うっ…、な、なんか、心臓が…っ

> (いやきっと、奈緒ちゃんを失いたくなかったのだと読者Lは思う)


↑↑↑おおう、読者L!!
なんて素敵な響き!(何故、ここに食いつく!)
なんか、キラとエルのLを思い出しました。fateは、キラよりLが好きだったのに~~~っ

> さあ、いよいよ、椿の出番ですね。
> アイリスが補助までしてくれるのだから、失敗は許されない。
> しかし、敵はいったい誰?
> 椿、大丈夫なんだろうか。

↑↑↑椿は…こいつも、けっこう危ういよね、fateの中では。
はははは。


#1826[2012/03/07 09:27]  fate  URL 

おおっ、そろそろクライマックスって感じですね。

ここへたどり着くまで、なかなか粋な演出が続きました。
さすがfateさんです。

やれるか? 椿。

#1829[2012/03/07 19:08]  ヒロハル  URL 

ヒロハルさまへ

ヒロハルさん、

> おおっ、そろそろクライマックスって感じですね。

↑↑↑はいっ!
その通りざんすっ
ああああ、ここまでよくぞついてきてくださいましたっ!!!

> ここへたどり着くまで、なかなか粋な演出が続きました。
> さすがfateさんです。

↑↑↑え、そ、そうっすか?
へへへへ。(←照れている。気持ちワルイ(--;)

> やれるか? 椿。

↑↑↑これ、仕事の相手がもともと違ってたから、分が悪いっすよね。椿ってだいたい一般人が相手だったんだもんなぁ。
#1834[2012/03/08 07:55]  fate  URL 

なんか、かなり危ない相手のようですね。
あの黒椿がびびるなんて・・・・。
しかし、颯爽と現れたアイリス! カッコヨス!
きっと赤いライダースーツかなんか身にまとってるんですよね? んで、すっごいスタイルいいんですよね?www 

シリーズものの続編書いてたのでちょっと間が開いたけど、残り一気に読んじゃうよーん^^
#1925[2012/03/21 10:43]  あび  URL 

あびさまへ

あびさん、

いらっしゃいませ。
お待ちしておりましたよん(^^)

> しかし、颯爽と現れたアイリス! カッコヨス!
> きっと赤いライダースーツかなんか身にまとってるんですよね? んで、すっごいスタイルいいんですよね?www 

↑↑↑わおうっ!
そりゃ、スゴイわ! 似合いそうで怖い(^^;
スタイルは良いだろうなぁ。これだけしなやかに動けるからなぁ!!
fateも見たいぞ、その赤いライダースーツ姿のアイちゃんっ!!!

> シリーズものの続編書いてたのでちょっと間が開いたけど、残り一気に読んじゃうよーん^^

↑↑↑おおおおっ、それはこちらも楽しみだ~~~
#1928[2012/03/21 11:36]  fate  URL 














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