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Stories of fate


下化衆生 (R-18)

下化衆生 (見えない鎖に縛られて) 10

 違う、と口では言って、必死に抵抗しているつもりでも、身体が反応するのを止められなかった。

「イヤ、りょ…っ、いやぁぁっ」

 ぐい、と両足を抱え上げられ、彼が身体の中へ入ってくるのが分かった。ほとんど抵抗はなく、美久の身体はすっかり彼を受け入れる準備が出来ていたことが否応なしに感じられる。そのまま奥まで進んで遼一は更に美久の腰を抱き寄せて奥を突いた。

「あ、あ…っ」

 のけ反るような熱い快感が腰からせり上がってきて背筋を駆け抜けた。

「や…だ、遼一…中で出さないで。お願い、イヤだ…っ」

 必死に彼の背にしがみついて美久は懇願する。ぴったり肌を合わせたまま、まだ動かずにいてくれる間に、それだけはどうしても告げておかなければならない。

「りょ…んっ」

 尚も何かを言おうとした途端、口をふさがれた。今までにない熱く激しい勢いで舌を押し込まれ、舐め溶かすように舌をしゃぶられた。舌の裏を丁寧になぞられると下半身がぞくぞくし、交じり合った唾液が喉の奥に流し込まれていく。甘く熱いそれを何度も喉を鳴らして飲み込み、美久は次第にざわざわと腰の辺りが熱くなるのを感じていた。

 キスだけでイカされそうだった。
 きゅうっと中の彼をきつく抱きしめる。

 遼一は微かに腰を揺らすだけで、ほとんど動いてはいない。それなのに、もう美久はむずがゆい熱に翻弄され始め、これ以上、どんな小さな刺激でももう耐えられそうになかった。

 美久の様子に気付かない遼一ではない。背にまわしていた腕で更に彼女の身体をきつく抱き寄せ、自身を押し込む。そして、舌を絡めたまま片方の手で、胸をつかみあげ、指の間に挟んだ突起をくりくりと弄んだ。びくん、と美久の身体がのけ反り、次の瞬間、射精を促すように彼を包む粘膜が痙攣を始めた。

 足のつま先まで痙攣が走り抜けた美久の身体は、緊張状態から一気に解放され、脱力した。
 やっと唇を離し、遼一は虚ろに空(くう)を見つめる彼女の顔を見下ろした。

「美久ちゃん、君、感度良いね」

 くすりと意地悪な笑みを浮かべる。
 まだ、恍惚感から抜け出せずに、美久は喘ぎながら彼の瞳に焦点を合わせた。

「…りょ…」
「自分は気持ち良くイッたのに、俺には中で出すな、って?」

 くくく、と遼一は喉で笑う。
 青ざめる美久の様子に構わずに、遼一はにこりと笑った。

「良いよ、今はやめておいても。その代わり、言っただろ? 契約書は書いてもらおうかな」
「え?」

 ぼんやりした頭で、美久の思考はさっぱり働かない。

「良いだろ?」

 なんだか分からないが、コントロールしてもらえるなら、今は何でもする。美久は半分以上、放心状態のまま頷いた。

 それを確認して遼一は身体を放す。遼一は上着だけを羽織って、美久の身体を抱き起こした。タオルで前を隠しただけの美久をソファに座らせ、遼一はパソコンデスクへ向かい、そして、机の引き出しから出してきた用紙は…

「婚姻届?」

 茫然、として美久はその公文書用紙を凝視する。ペンと朱肉を机の上にとん、と置き、遼一はほぼ無表情で美久を見下ろした。二つ並んだ署名欄の片方は既に彼の名前で埋められている。

「どうぞ?」

 一度、遼一を見上げて、救いの色のない瞳に出会い、美久は恐る恐るテーブルの上の用紙に視線を落とした。まるで、視線をそらした瞬間に消えていてくれるのではないかと期待したように。

「こ…これ…」
「書いてくれるよね?」

 脅すような低い声が上から降ってくる。

「それとも…」

 ゆっくりと遼一は美久の横へ歩み寄る。ぎくりとして彼を見上げると、遼一は妖艶な笑みを浮かべてその手を美久の抱えていたタオルの中へ滑り込ませる。

「子作りしても良いけど? 今、ここで」
「…っ」

 そのまま彼女の身体を抱え上げようという気配を感じて、美久は慌てて悲鳴のような声をあげた。

「待ってっ、待って。…書く。書きます」

 必死に遼一の上にしがみついて美久はその手を押し留める。
 ああ、そう、と遼一は言い、すっと彼女から離れた。

「で…でも、あの…っ」

 哀願するような視線で遼一の姿を追う美久を、彼は窓に寄りかかって見下ろした。

「何?」
「…これ…今すぐ…出すんじゃ…」
「ああ、まだ提出はしないよ」

 青ざめてはいても、明かにほっとした安堵の表情を浮かべた美久は、それでも、震える手でペンを握った。
 書いても提出さえしなければ…
 そんなこと、何の保証もないのに、美久はもう冷静にモノゴトを判断など出来なくなっていたのだろう。
 
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