FC2ブログ

Stories of fate


花籠 4

花籠 4 (襲撃) 10

 その日、早朝から各地で一斉に通り魔事件が発生。龍一の素早い通達で、ほとんどのメンバーは、襲われはしたが軽症程度で済み、死者や重傷者は出なかった。そして、襲われたメンバーはここ半年間で仕事の依頼を受けたことのある人材に限られていたことが判明。龍一の考え通り、パソコンに入力されていた仕事の情報から追われた可能性が高まった。つまり、相手は龍一の所在をまだ掴んでいないのだろうと思われた。

 龍一にゆさぶりを掛けるために弱い者を狙ってきたのだ。

 李緒は、その職業の空気を読むという変わった特技に花篭が興味を抱き、登録を考えたばかりのことで、まだ仕事は一度も請け負ってはいなかった。しかし、彼女は椿とジャスミンと二度の仕事に関わっている。それを考えるとジャスミンは不安だった。部屋まで送ってその後一人にする、ということに安心出来ず、会社に迎えに行った足でそのまましばらく自宅に連れ帰ろうかと考えた。

「李緒ちゃん、実はさぁ、ちょっと世間が物騒になっててさぁ。一人で置くのが心配なんだよね。しばらくウチに来ないかなぁ?」
「…え、えっ?」
「部屋はちゃんと別に貸してあげるし、何か必要な物があるなら今、アパートに寄って取ってきても良いから。」

 言われた意味をようやく理解して、李緒は混乱する。

「…え? ジャスミンの…家? に?」
「うん、そう。」
「で…でもっ…あの、お家の方は…」
「両親が…いるかな、たぶん、親父はしばらく帰らないだろうな。母がいるよ。」

 何でもないことのようににこにこ言われて、並んで歩いていた李緒は、驚いてその場に立ち止まった。

「そ…っ」
「しばらくで良いよ。この騒ぎが収まるまで。」
「でも…その、どうして…」
「大丈夫。」

 にこりと彼は李緒の肩を抱く。それ以降、ほとんど何の説明もされずにアパートの前まで到着し、二人は一旦彼女の部屋へ向かう。

 階段をあがっている途中で、ジャスミンはふとした違和感にばっと李緒の身体を抱きかかえる。瞬間、踊り場から男が一人ナイフを手に襲い掛かってきた。ジャスミンは李緒を抱えたまま、彼女を庇うように相手に背を向け、そのまま彼女を背後に置いて、振り向きざまの回し蹴りで相手の手を鋭く蹴り上げた。

 それほど場慣れしている訳ではないらしい、素人同然の相手は、手からナイフを飛ばされ「うわっ」と声をあげて蹴られて痛みに手を抱える。

 帽子を深くかぶり、顔はよく見えなかったが若い男であるらしいことは声で分かった。作業着のような上下のつなぎを着ている。それほど身体能力は高くはない。恐らく金で雇われただけの要員であろう。この男を問い質したところで、恐らく何も情報は得られない。

 殺すつもりではない、これは威嚇であり、挑発だ。恐らくネットか何かで適当な人材を募り、金をちらつかせて襲って欲しい人物を提示する。自らの手は汚さず、自らの姿は表さず、影から人を操り、混乱を引き起こし、収束のために花篭本人が出てくるのを待つつもりなのか。

 逃げていく男を追うことはせずに、ジャスミンは怯えて固まっている李緒を支えて立たせる。

「怪我は…?」

 李緒は震えたまま小さく首を振った。何が起こったのか、彼女にはうまく把握できずに、茫然としていた。

「もう大丈夫だと思うから、とりあえず部屋に行ってみようか。」

 不安そうにジャスミンを見上げて、それでも、李緒は小さく頷いた。
 ジャスミンがいるなら、一緒なら、何も怖くない。


関連記事
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 紺碧の蒼
もくじ  3kaku_s_L.png 真紅の闇
もくじ  3kaku_s_L.png 黄泉の肖像
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 2
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 3
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 4
もくじ  3kaku_s_L.png 花籠 外伝集
もくじ  3kaku_s_L.png 蒼い月
もくじ  3kaku_s_L.png 永遠の刹那
もくじ  3kaku_s_L.png Sunset syndrome
もくじ  3kaku_s_L.png 陰影 2
もくじ  3kaku_s_L.png Horizon(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png Sacrifice(R-18)
もくじ  3kaku_s_L.png 閑話休題
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  ↑記事冒頭へ  
←ブログ拍手へのお礼…    →花籠 4 (襲撃) 11
*Edit TB(0) | CO(6)
ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~


おっと、更新速度が上がって置いてかれた・・・けど、慌てません。

李緒ちゃんが狙われた。おいおい・・・
怖かったよね。でも、ジャスミンと一緒で良かった。

そうですね。実家で深雪さんと一緒にいたほうが良いかも。二人のご対面が楽しみ^^
#1472[2012/01/31 07:28]  けい  URL 

けいさまへ

けいさん、

いつもリアルタイムでありがとうございます(^^)
こちらもマイペースです。
女神さまペースでどうぞ!

はい~、遂に、ジャスミンたっら、実家に連れ込みます。
まったくなんだかんだで手が早いわ~
(あれ?違う???(^^;)
#1473[2012/01/31 08:16]  fate  URL 

じわじわと、脅かされはじめましたね。
奈緒ちゃん組も、李緒ちゃん組も心配・・・。

というか、このまえfateさんが、ローズあたりが一番危ないって言ったのがすごく気になってます。
大丈夫ですよね????

しかし、李緒ちゃんを実家に招くジャスミン。
うーん、抜け目ない!
李緒ちゃん、困惑~~^^
まあ、李緒ちゃんとママさんなら、上手くやれるかな。

それより、椿が帰ってきたら・・・。
李緒ちゃん、パパに取られちゃうよ~~、ジャス。(それも面白そう)
#1578[2012/02/09 18:25]  lime  URL  [Edit]

limeさまへ

limeさん、

> 奈緒ちゃん組も、李緒ちゃん組も心配・・・。

↑↑↑おおお、良いですねぇ、その表現っ!!!
そうなんですよ、なんだか、他サイトで‘4’を読破してくださった読者さまが、ご感想に終始したのが、奈緒ちゃん、李緒ちゃんについてでした。
あれ? これって、誰が主役…? とfateも勘違いしそうになりました(^^;
いや、きっとこれって、主役はメンバーじゃなくって、女の子二人かも知れません。
特に主役設定ってなかったし。(良いのか???(--;)

> というか、このまえfateさんが、ローズあたりが一番危ないって言ったのがすごく気になってます。
> 大丈夫ですよね????

↑↑↑ふはははははは~~~
(悪役の笑い)
どうですかね。
う~ん、生きるのが下手っていうか、突き詰め過ぎるっていうか、真面目過ぎるっていうか、生きにくい人ですよね、こいつは。もう少し楽に考えようや、って言いたくなります。
そういう人って、危うく感じませんかね?

> それより、椿が帰ってきたら・・・。
> 李緒ちゃん、パパに取られちゃうよ~~、ジャス。(それも面白そう)

↑↑↑おおおおっ、なんて楽しい設定。
思わず、描き直そうかとも思ってしまいました!!!
李緒ちゃんは、いずれ、放っておくとアブナイ(いろんな意味で)と感じていただろうから、ジャスミンはいずれ家に連れて帰ったんじゃないかな、と思います。あんまり深い意図もなく。
そうなんです、こいつは何にも考えていないから強い!

ありがとうございました(^^)

#1591[2012/02/11 08:13]  fate  URL 

ほーら!

だから言わんこっちゃない!
状況判断が甘いよジャスミンくん!
と、妙に勝ち誇ったような気に・・・・w
#1771[2012/03/01 11:57]  あび  URL 

Re: ほーら!

あびさん、

そうなんですよ~
何気に情報が洩れてましたよね~~~

でもお陰で、…ふふふふふ。
イミフの笑い(--;

#1773[2012/03/01 12:25]  fate  URL 














管理者にだけ表示を許可する

~ Trackback ~


  ↑記事冒頭へ  
←ブログ拍手へのお礼…    →花籠 4 (襲撃) 11