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Stories of fate


花籠 4

花籠 4 (襲撃) 5

「牡丹が襲われたんですって?」

 緊急の召集を受けて三人が集まる。まだ日の上ったばかりの早い時間帯で、いつものその家は東側の窓から光が入るだけの妙に薄明るい空間となっていた。既にソファに座っていたジャスミンと、どこか落ち着かない様子で窓際に立つアカシアを、最後にやってきたアイリスは扉を開けた途端、蒼白な表情で凝視する。

「ああ。…昨夜遅く、花篭から連絡が入った。」
「どういうことなのっ?」
「通り魔らしい。」

 アカシアの声は低くかすれ、沈痛だった。

「牡丹が、どうして簡単にやられちゃったのかなぁ?」

 ジャスミンの言葉に、アイリスは声を震わせた。

「あの子は、貴方とは違うのよ、ジャス。牡丹は攻撃用の訓練は受けてない。あの子の特異な能力で戦うだけ。身体的には一般人と変わらないのよ。」
「…それ、問題だよね。」

 ジャスミンの言葉にアカシアは呻いた。まさにそれ。身体的攻撃能力を持っているのは二人の男だけ。アイリスも武器は毒物。あとは逃げの一手である。それでも彼女は場数を踏んでいるので逃げの技も磨かれているし、その身軽さも手伝って、更にジャスミンが彼女の後方支援に当たることが多いので仕事での危険はそれほどない。そして、牡丹も最前線に出ることはほとんどない。ただ、指示を送る相手のある程度そばにいないといけないのでターゲットには近づくが、それが牡丹の仕業だなどとは誰も思わない。彼は巻き込まれた被害者の素振りで現場から逃げ出すことが可能なのだ。そして、仕事の現場ではアカシアが恐らく自身の命に変えても彼のことは守るであろう。

 だが、仕事以外の場では。
 牡丹はか弱い一般市民に過ぎないのだ。そして、彼らは、仕事として依頼を受けたターゲット以外に、仕事の武器の使用は許されない。つまり、ジャスミンはナイフを、アイリスは毒物を、牡丹は蛇を使ってはいけない。しかも、牡丹の武器は生き物だ。武器というよりは彼にとっては‘相棒’のようなものだ。彼はそのとき、自らの命より、カバンの中に抱えた蛇を守ろうとして刺されてしまったのだ。

「登録に当たっては、ある程度の訓練を義務付けないと…」

 ジャスミンは、彼の父親であり師匠である‘椿’の言葉を今さら正しかったのだと思う。椿は常々、登録メンバーが自らに降りかかる危険を避ける術を学ぶための最低限の訓練を受けさせるべきだと言っていた。ただ、メンバーの能力があまりにバラエティに富むため、単純に特技を生かすだけのようなメンバーにはその必要性を見出せず、花篭はメンバー全員に通達を出すに至ってはいなかった。

「仕事内容に関わらず、『花籠』に登録するメリットとして、自己防衛の訓練を受けられるっていう特典を用意しても良いかも知れないな…」
「うん、それ…やった方が良いよ。アイちゃんも。」
「そんなことよりっ、牡丹の容態はどうなの?」

 ソファに腰を下ろして両手を顔の前に組み、微かに震えていたアイリスは、二人の会話に苛立ったような声をあげた。アイリスの取り乱した様子に二人は驚きの視線を向け、その空気にアイリス自身もはっとして自嘲気味に苦笑した。

「ああ、…ごめんなさい。なんだか、思い出してしまって…」
「大丈夫だ、手術も無事済んで夕方には一般病棟に移るらしい。面会も出来るそうだが…まぁ、俺らが見舞いに行く訳にはいかないよ。」

 ほっとしたと同時にどこか複雑な表情を浮かべ、アイリスは唇を噛み締めたように見えた。

「ごめんなさい。違うのよ。…今までそんな風に思ったことはなかったのに、昔、亡くした人が同じ年頃で。突然、重なってしまっただけ。あの子は牡丹なのに。」
「…いや。俺たちはそれぞれいろんな過去を背負っているんだ。お前が牡丹に誰かを重ねたっておかしいことじゃねぇよ…」
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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~


俺ら、は、見舞いに行けない、のか・・・んんー・・・

牡丹が守ったかばんの中に’相棒’がいたのか。何を守ったんだろうと思っていました。そうだよね。

それにしても、あれはただの通り魔ではないでしょう。理由が知りたい。もし、4人の中で一番弱そうな牡丹が狙われて、それが見せしめとかの理由なら怒る。アカシアが。いや、みんな。私も。いや、それでなくてもすでにショッキングだけど・・・

龍ちゃんからの指示を待つ。
#1430[2012/01/27 08:53]  けい  URL 

けいさまへ

けいさん、

> 俺ら、は、見舞いに行けない、のか・・・んんー・・・

↑↑↑い…いかん、アカシアったら、そんなこと言ってたのか。忘れてた。
行っちゃったよ、コイツ…(ああ、ネタバレ…)

> 龍ちゃんからの指示を待つ。

↑↑↑ところが、意外に役に立たんのだ、こいつ。
一体どうしたらいんだろう?
っていうか、ようやく昨夜描きあげました。
もしかして加筆する可能性はあるけど、なんとか終わりました。
がっ!!! 収拾つきました、じゃないところがミソなんだなぁ…

けっこう無駄に長くなったので、予約投稿終わっている以降は更新速度あげます(^^;
突っ込みどころ満載です。
「おいおいおい」と突っ込んでいただいた場合はご意見を取り入れて加筆修正有りです。
が、人の生き死にに関しては訂正受け付けませんので~~~
わはははは。
(悪魔か?(--;)
#1432[2012/01/27 09:56]  fate  URL 

やっぱり牡丹は、カバンの中の相棒を守ろうとしたんですね。
もう~、かわいいんだから、牡丹ちゃん。(突っ込み方が変)
自分のことより、気持ちがそっちに行っちゃったんですね。

しかし、やっぱりただの通り魔じゃなさそうですよね。
なんの陰謀か。
次の犠牲者はだれなのか。

もう、死者も予約投稿されちゃったのでしょうか><
つらい・・・・。
でも、気になる・・・。
#1510[2012/02/03 19:35]  lime  URL  [Edit]

limeさまへ

limeさん、

> やっぱり牡丹は、カバンの中の相棒を守ろうとしたんですね。
> もう~、かわいいんだから、牡丹ちゃん。(突っ込み方が変)

↑↑↑そうだったんですよ、なんかね~
彼は相棒に対して負い目があるみたいで…

> 次の犠牲者はだれなのか。

↑↑↑おおおおおっ
そうなんすよ、誰でしょうかっ!!!

> もう、死者も予約投稿されちゃったのでしょうか><
> つらい・・・・。
> でも、気になる・・・。

↑↑↑…いや、ほら、結局、なんだかんだ言ってもfateくんですから(^^;
(なんのこっちゃ(--;)

#1513[2012/02/04 08:08]  fate  URL 

そうか。
皆、個人的に体を鍛えておかねばならんし、特殊能力以外のことは自ら習得するしかないわけか。

fateさん、もし特典として自己防衛訓練をつけるのだとしたら、やっぱり私、花籠無理そう。
だって体鍛えるの嫌いだもん。自分に甘いから。笑。
#1567[2012/02/08 17:31]  ヒロハル  URL 

ヒロハルさまへ

ヒロハルさん、

あれです、(どれ?)これは人材登録派遣会社のようなモンなんで、特技ってのは個人のモノなんですよ。
なので、会社では使える人材には仕事をまわすけど…ってな感じになっちゃうんじゃないですかね、やはり。
仕事(お金)が欲しけりゃ、やはりそれなりに努力せんと。
まぁ、登録にお金がかかる訳じゃないんで、登録してるだけでもいんでしょうけど。
で、あそこに行って、そこにいる人に君のこの力を使って協力してあげて(例えば、モンタージュ作成とか、食べた料理の素材と産地が分かる人がレストランとかで産地偽造を見抜くとかね)、みたいな連絡が来て、その用事を済ませたら普通はさっさと帰ります。
んで、後日報酬が振り込まれる…って感じですかね。

> fateさん、もし特典として自己防衛訓練をつけるのだとしたら、やっぱり私、花籠無理そう。
> だって体鍛えるの嫌いだもん。自分に甘いから。笑。

↑↑↑何?
そんなんでどーするっ!
…なんて、これはここでジャスミンが勝手に提案しているだけなんで、採用されるかどうかは知りません(^^;
#1572[2012/02/09 08:20]  fate  URL 

椿さんご指名です!

いやいやいや、これ必要でしょう。
せめて護身術くらいは体得しておかないと、危ない事件に関わることもあるなら危険ですよー!
椿さん、よその組織に出張してる場合じゃないですよー!
#1761[2012/02/29 19:44]  あび  URL 

Re: 椿さんご指名です!

あびさん、

椿は、指名しない方が…(^^;
いや、意外に面倒見良いのかなぁ???
fateだったら、悠馬さんに教えてもらいたいかな~
あ、でも、実は龍ちゃんって、何気に忍者っぽいこととかやるのかも。

一番は、アイリスさんが良い。
早くアイちゃんにそういうの体得してもらわんと!

#1768[2012/03/01 08:34]  fate  URL 














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