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Stories of fate


花籠 3

花籠 3 (動き出した輪) 11

 奈緒が声を掛けた女性を、ローズは訝しげに見つめた。どこか現実にフィットし切れていないというか、間違って御伽噺の中から抜け出てきたお姫さまが、童話の世界をそのまま持ち込んだような奇妙な空気を抱く女だと。顔立ちは幼いが、恐らく奈緒より幾分年上らしい。

 なんだろう? 何故、彼女は自分たちに反応したんだろう?

 奥の4人掛けの席に陣取り、それぞれ、適当にランチを注文して食べ始めながら、ローズはなんとはなしにその女性のことを気に掛けていた。

「…危なっかしい女だな。」

 彼女に背を向ける体勢のスミレが、ローズの視線を捕えて小さな声で呟く。

「そう思うか?」
「全身隙だらけ。襲ってくださいって感じだよ、あれじゃあ。」

 スミレは、カレーライスをあっという間に平らげ、3人で頼んだ大盛りのサラダに手を出しながら周りには聞こえない程度の小さな声で続ける。

「それに、気付いているか? あの女は、ずっと俺たちを視線の端に捕えている。何か異質なモノを見つけたみたいな視線でな。」
「…異質なもの?」

 ローズの横で、奈緒がふと不安そうに聞いた。
 その言葉に、思わず一人ぼっちだったときのことを思い出してしまった。誰も彼女を必要としてくれなかった、自分の存在すら不確かだったあの頃。

 そして、ふとひそひそ話し続けるローズとスミレの声がとても懐かしく温かく感じて、ほっと息をつく。
 この二人と共に‘異’なるモノだと括られても構わないと奈緒は言葉にして思った。
 一緒なら、良い。

「いや、分からん。ただ、彼女は俺たちが入って来たとき、ものすごく驚いたようにこっちを見た。その後、他の客がいくら入って来ても、まったく気にも留めていない。…何かを感じて振り返ったことだけは確かだな。」
「空気を読む?」
「…もっと、こう…超能力的なものかもな。」

 スミレはレタスをかじりながらにやりとする。

 奈緒は、こっそりと先ほどの女性に視線を向けてみる。3人が店に足を踏み入れた途端、振り返って自分たちを見た彼女は、一瞬、すごく嬉しそうな表情をしていた。しかし、次の瞬間にはくっきりと失望の悲しい瞳になり、そして、彼女は俯いて肩を震わせた。

 待ち合わせという感じではなかった。だけど、もしかして来てくれるかも知れない誰かを待っていたのかも知れない。
 それを思うと、奈緒はちょっと心が痛んだ。待つことしか出来ないときの孤独と恐怖。それを彼女も知っている。

「ちょっとあの人と話してみても…良い?」
「ダメだよ。」

 ローズとスミレは、同時に禁止の言葉を発する。しかも二人とも淡々と食事を続けながら、だ。一瞬、ぽかんとした奈緒は、次の瞬間にはムッとする。
 こういうことだけ、二人は意見が合うんだ!

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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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謹賀新年

こんばんは~、たつひこです。
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いしまっす^^

年末のひとり修羅場も無事に終わり、年末年始の帰省からも戻り、ようやくパソコンをゆったり気分で開くことができました♪

花籠、ふたつの組織がどんどんリンクしてきましたね。しかも、組織のエライ人たち同士だけじゃなくて、喫茶店の片隅でも話が動いている!

もし選べるならどっちの組織に入るのがいいかなーとか自分でも考えてみたんですけど、どう考えても殺しの才能はなさそうなので、スムリティがいいです。いやあ、こんな理由だとはったおされそうですけど。
肩コリというか背中のハリがよくならないのです(=_=)劉瀞のお姉さんでいうと鍼灸のような技術を身につけたい。しかし、背中とか肩は自分では施術できないんですよねえ。そんなわけで、今年はおもっしろい小説を書けるようになってコリまでほぐしきりたいと考えています。
fateさんの今年の抱負はなんでしょう~?
#1197[2012/01/02 22:07]  たつひこ  URL 

Re: 謹賀新年

たつひこさん、

こちらこそ、くれぐれもよろしくお願いいたします(^^)

> 年末のひとり修羅場も無事に終わり、年末年始の帰省からも戻り、ようやくパソコンをゆったり気分で開くことができました♪

↑↑↑おおおおお、それは大変でしたっ!
もう、帰省から戻られたんですね。それも何気に大変ですな~

> 花籠、ふたつの組織がどんどんリンクしてきましたね。しかも、組織のエライ人たち同士だけじゃなくて、喫茶店の片隅でも話が動いている!

↑↑↑なんか、そんな風におっしゃっていただけると、すごく面白いハナシに聞こえて「おおおお!」という気がしました(^^;

> もし選べるならどっちの組織に入るのがいいかなーとか自分でも考えてみたんですけど、どう考えても殺しの才能はなさそうなので、スムリティがいいです。いやあ、こんな理由だとはったおされそうですけど。

↑↑↑ヒロハルさんにも『花籠』に登録したいとおっしゃっていただきましたし、何げに優秀な人材が各地から集まりそうで、組織拡大のチャーンスっ!!!!

> 肩コリというか背中のハリがよくならないのです(=_=)劉瀞のお姉さんでいうと鍼灸のような技術を身につけたい。しかし、背中とか肩は自分では施術できないんですよねえ。

↑↑↑いや、局所に直接鍼するだけじゃないから、ある程度自分でも出来るらしい。
出張、頼んであげましょうか~??(マジで!)

> そんなわけで、今年はおもっしろい小説を書けるようになってコリまでほぐしきりたいと考えています。
> fateさんの今年の抱負はなんでしょう~?

↑↑↑fateさんの抱負ですかぁ?
fateさんは『花籠』をとりあえずなんとかしないと、‘4’が今収拾つかない事態に陥っておって(-"-*
うおおぅ! と、今まで既に完成していた作品をupしていたたけだったので、初めて悶え苦しんでおります。
と、いうことでいつもは数ページずつupしていたのに、今は出し惜しみして時間稼ぎをしておるんダ。
まぁ、まだupしてないヤバい世界はいくつかあるんだけど、今、fateくん、‘闇’が薄くて、なかなかそっちの加筆作業に入れん。
なんで、こんなの描いた? っていう変態なworldなので~(^^;

何故、正月からこんな暴露バナシを…(--;

#1204[2012/01/03 08:15]  fate  URL 














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