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Stories of fate


スムリティ(R-18)

スムリティ (休養) 23

「それにしても、どうしてあの場所が分かったんですか?」

 その朝は、劉瀞は私の無事を確認しに来ただけのようで、看護師さんが朝の検温に来る前に仕事に出かけてしまった。
 そして、一日そばにいて話し相手になってくれていた弥生がそろそろ帰るね、という辺り、夕食前に再びやってきた。

 ずっと付き添ってくれた弥生にお礼を言って、劉瀞は、弥生を自分の車で彼女の部屋まで送らせたようだ。
 まだ、身体を起こせなくて、私は横になったままで彼を見上げてふと聞いてみる。

「お前の居場所は24時間ずっと分かってるよ。」
「…はあ?な…っ、なんで?」

 劉瀞は、その件に関してはあまり興味のない話題のようで、つまらなそうに、ふんと鼻を鳴らす。

「トラブルに巻き込まれたことが分かってから、相手を特定して助け出す算段に手間取っただけで、居場所は初めから分かっていた。まあ、どこにいる、という場所は分かっても、そこにどんな建物があるのかは知らなかったけどね。」
「…なんで?」

 私はバカみたいに同じ質問を繰り返す。
 劉瀞って透視能力でもあるの?エスパーなの?もしかして、宇宙人?

「だから、迷子防止の鎖を付けといただろ?」

 言われて、私はやっとはっと思い当たる。
 この、左手首のチェーン?
 恐る恐る左手を見つめる私の様子にやつは笑った。

「情報は衛星で追ってるから、地球上にいる限り、お前は俺から逃げられないんだよ。」
「…。」

 そうか。だから、弥生の家にいるときも、あっさり迎えに来たのか…。

「ホテルの近場をうろうろしている間は大丈夫だと分かっていたけど、突然、車で移動しているとしか思えない動きをしたときから、ずっと追ってはいたんだ。何かが、おかしいと思って。」

 劉瀞は不意に真顔になって言った。

「…お前、何をしたんだ?」
「何…って?」

 私はムッとするより、少し不安になって彼の顔を見上げた。

「何か、やつらの目を引くような行動を取らなかったか?目立つような。」
「何も…」

 本当に何も思い浮かばなくて、私は首を振った。

「…じゃあ、ホテルを出てからのことを順を追って言ってみな。」

 私は少し考えてその日の行動を反芻する。

「ホテルを出て、公園に向かおうとしていたんだけど、道が分からなくて…。そしたら、公園に向かっているらしい幼児の集団に出会ってついて行きました。それから…公園で子ども達が遊ぶのをぼうっと眺めて、子どもが一人道路に飛び出してしまって、車に轢かれそうな状況になっていたから、助けて…屋台で…」
「子どもを助けた?」

 劉瀞の眉がぴくりと動いた。
 うん、と私は頷く。

「どうやって?」
「どうって…別に。ただ、道路から抱いて連れて来ました。」
「ふうん…。先生方は気付かなかったのか?」
「いえ、先生方が叫んでいたから気付いたんです。道路の真ん中にその子がいて、そこで待っててって先生が言ってるのに、その子は駆け出しそうだったから。」
「だから?」

 劉瀞の声は静かだったけど、なんだか、目が怖かった。

「…ええと、だから、私がそこまで駆けて行って、その子を抱えて車を避けて…」

 はあ、と劉瀞はため息をつく。

「行き交う車を避けてその子に辿り着き、その子を抱えて戻ってきた?」
「はあ…、まあ、そんな感じです。」

 劉瀞は再度ため息をつく。

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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

~ Comment ~


良かったぁ

美咲ちゃんが助かって良かったです!
でも、助けにきたのが庄司だったのはちょっと予想外でした。
それにしても、劉瀞、美咲ちゃんにべた惚れじゃないですかww
#886[2011/12/11 15:06]  ゆない。  URL 

Re: 良かったぁ

ゆない。さん、

ここまで進んでくださいましたか!

> でも、助けにきたのが庄司だったのはちょっと予想外でした。

↑↑↑これ、他の方にも言われましたが、…そ、そうなんか??
いや、あんまり何にも考えてなかった…
単に、劉瀞が来たら出来過ぎだろう、と思ったので(・・;

> それにしても、劉瀞、美咲ちゃんにべた惚れじゃないですかww

↑↑↑そうなんすよ、奥さん(誰(--;)!!
そこがミソです(どこ?)!
だから、物語が進むんだ~
へへへへ。
朝っぱらからテンションが変なので、執筆に戻ります。きっと益々変な物語が生まれるであろう(-"-;

#892[2011/12/12 08:22]  fate  URL 

そうなんですね

やっぱりべた惚れなんですねー。
恋愛小説ですよね。

恋愛って障壁があればあるほど燃え上がると申します。
現代は障壁が少ないから、小説では同性間の恋になったり不倫になったりするんですよね。

自分も書くくせに、私もネット小説を見て、なんでこうボーイズラヴばっかり? と思っているのですよ。
普通の恋は書いていてもつまらないというのはあるのかもしれませんね。

でも、私はボーイズラヴよりも(そっちも嫌いではないのですが)fateさんの書かれる普通じゃない「恋」のほうが好きです。
#1474[2012/01/31 11:00]  あかね  URL 

Re: そうなんですね

あかねさん、

おおおおっ、恋愛小説になってますかっ?
まぁ、こいつらの場合、障害の意味合いも種類も初めから世間一般と違いますが(^^;
でも、確かに障害ありますなぁ。

> でも、私はボーイズラヴよりも(そっちも嫌いではないのですが)fateさんの書かれる普通じゃない「恋」のほうが好きです。

↑↑↑ありがとうございます(^^)
ふふふふ。しかし、ちょっとフツーっぽい恋愛も実は描いているのダ。
ここにはまだupしてないが。
…が、fateの思う普通と世間一般の普通は違う気もするので、やはりフツーだなんて言うのはやめときます(--;

その内、upします。
『Sunset syndrome』ってやつです。ラブコメで描き出したのに、ちょっと、あれ? とシリアス入った作ですが、これも軽いので読みやすい、筈!! です。


#1477[2012/01/31 14:03]  fate  URL 














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