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Stories of fate


スムリティ(R-18)

スムリティ (救出) 19

 その後、男二人はどこかに電話をかけ続け、いつの間に設置していたのか小型のカメラが私を撮影していた。

 恐らく、その映像を劉瀞に送っているのだろう。私のバックは何の変哲もない土色の壁と畳のみで、この場所を示すような何も映らないようになっている。

 突然、猛烈な吐き気が襲い、私はほとんど残ってはいなかったが、僅かに未消化の胃の中の内容物をその場に吐き戻した。頭がずきずきと痛み、目の前の男の顔が歪んでぐるぐるまわる。

「おい、大丈夫か?」

 白髪の小柄な男が心配そうに若い男に問いかける。

「死んだって構いはしないよ。」
「…そんな指示は受けていない。映像を流している以上、生かしておかないと切り札にはならないだろう。」

 ふん、と若い男はせせら笑った。

「おい、どうした?大丈夫か?」

 白髪の男の手が私に触れた。倒れたまま吐いたので、私の顔は吐物まみれだ。私の身体を引きこして、その手は何か布で私の顔を拭いてくれた。

 そういう知識はあるのだろう。その男は私の身体を横向きに寝かせ、再び吐いても吐物が喉に詰まって窒息しないような体制にしてくれた。

「時間は?」

 小柄な男は立ち上がって腕時計を見た。

「リミットはあと30分。返答がなければ、今度はこいつの腕を切り落とす。」
「それまでに死んでしまったらどうする。」
「死にやしないよ。」
「こんなに痛めつける必要なんかあったのか?」

 次第に二人の会話もよく分からなくなってくる。
 ああ、もしかして私はこのまま死ぬかも知れないな。
 初めて、そんなことを思った。

 そんなことを考えたことは今までなかったのに、不意に‘死’を身近に考えた。そして、その途端、思いもしなかった感情が湧き起こった。

 そして…!
 次の瞬間、何が起こったのだろう?その部屋の中は不意に真っ白な閃光に包まれ、私は一瞬、目がくらみ何も見えなくなった。

 大きな音が響き、叫び声が聞こえた。喧騒の中、私も何か叫んだかもしれない。もう、何もかもがよく分からなかった。

 視界がまったく利かない状態で、私は不意に誰かの腕に抱えあげられた。
 それが誰の腕なのか分からない。どちらの男だったのか。
 しかし、そいつは私の耳元でささやいたのだ。

「生きてるか?大丈夫だな?」

 知っている声だった。
 私は思わず声をあげそうになった。

 庄司…っ?
 

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ジャンル:[小説・文学] テーマ:[現代小説

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